手紙の送信を終えて、異世界間通信機を鞄にしまう。
向こうで一般的なメールではなく、折角メルンテーゼにいるのだからと、紙の手紙にした。

…右手で書いた。
普段は、細かい作業は左手でやっているけれど、
アルファに調整して貰ったこの右腕は、
今では箸で豆を掴む事だってできるぐらいに使いこなせる。
…コロにせがまれる腕相撲は、ちょっと怖くて、右腕では出来ないけれど…。

一晩悩んだ末に完成させた内容は、今の状況報告のようになってしまった。
送ってしまった後になって、あれで良かったか、
もっと違う書き方ができたのではないかと考え込む。
たぶん、どんな内容の手紙を送っても、私は後から悩んだと思う。
だから、これで良かった、筈…
どれだけ悩んでも、送れなければ、今までと同じ…。
折角アシェラッドに貰った勇気を無駄にする訳には、いかないもの。

若者は歩きながら、大廊下のレリーフを見上げている。

コロに追われているヴァルを見て

離れた所でまったりしている

彼女の後ろから、ユキアネサが現れてカラカラと笑いました

ふるふると頭を振ってから微笑んで

そういって、黙る。何かに気づいたように

年下の者から指折り数えて、首を傾げた。

（ミルザの頭をわしわし撫でようとしながら）

相手が自分の名前を呼ぶときに一瞬詰まったのを見て、苦笑いをする。

差し出された腕を見て、手に取るか一瞬だけ迷う。

差し出された手を慎重に取ると、少しだけ傾けたり、重さを確かめるようにしながらしげしげとみる。

見終わると、すぐにそっと手を放す。

木で作られた台に乗って、踊りながら歌っている女の子がいる
１曲歌い終わると、ちらほらいる観客に向かって話しかけ始めた