この連日、シオンは欠かさずディルとの交信を行っているようだ。
会話内容は聞かれたくないのか、必ず私や咎人のいないところでひっそりと行う。
まぁ私もそういった類のものに聞き入るほど野暮ではない。ひとまずは好き勝手にさせておいて問題ないとは思う、が…。

シオン曰く「そうしないとスムーズに交信ができないから」という話だった。契約更新も実質そのために行ったようにさえ感じる。
……最早そういう目的での更新は何の効力もないと思うのだが。
この差し金を引いているのは、やはりハルなのだろうか。

私は、この方針には未だに賛同しかねる。
そもそも、何故ここまで引っ張る必要があるのだ？
知るのが遅くなればなるほど、その衝撃も増しそうなものだというのに…。

あまりハルの考えそうなことではない。
むしろこれは、シオンを使い捨ての駒として認識していなければできない行為ではないだろうか。

何か、私の認知せぬところで陰謀めいたものが渦巻いているような気がしてならない。
やはりハルのことはもう少々問い詰めるべきなのだろうか…。
しかし、どうやって……。

ジャリッ。
僅かに足音が響いた。
……誰なのかは振り返らずとも分かる。

普段とは毛色の違う武器を構える。

-------------------別サイド-----------

このベルンハルデというやつはどこまでもマイペースに振舞う。

パチンと指を鳴らすと霊が霧散するだろう。

一つ軽く首をふって

くすくす笑ってる様子からして反応を多少楽しんでいたらしい

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育つ環境が特殊であったのでそれなりにヤバイ成分が含まれていたりする、普通に飲む分には何の問題も無いらしい。

自分意外の村人全員が焼け死んだ事や、彼の言葉の意味を考えればまだ幸運に恵まれている方だろうか……

生物が生きていくために適していない環境に顔を真っ青にしている、きっと頭の中では後悔しているに違いない。

そう言ってヘリヤは手をふって教会の方に駆けていきました。


（PL)現在ストーリーの都合で一度メッセを切り上げております。
ヘリヤと遊んで頂きありがとうございました。メッセ再開の折はまたよろしくお願いいたします。

　血族というからには伝統ある家系なのだろうと、想像を寄せ。
　伝統や格式は心に闇を抱えやすいものだが、旅や冒険とは逆の道を行きそうな気がして首をかしげる。
　しかし、不器用という発言には思わず「くすり」と悪戯っぽい微笑みを零した。
　そこがまた愛らしいのだと、彼は自分で気づいているだろうか。

　くふふと含みを持たせた反応を返し、くるっと背など向けてみせるかもしれない。
　不意打ちの言葉には、まだ心臓がドキドキと早鐘を打ち続けている。だから顔を見せたくないのもあり。
　儂も大概じゃのう、と。胸を抑えて深く深呼吸をした。

　自らが見てきた経験談を含め、貴族との戦い方を語る。
　これが彼の役に立つのかどうかは判らないが、彼が得たいと思う知識ならば与えない理由はなく。
　ただ時々、寂寥の色が瞳に宿る。これは、狐を使役してきた古き主たちの話でもあるからだ。
　――いつか、トガノという青年の物語を誰かに聴かせることになるのだろうか。

　この感覚がなんと呼ばれるものなのか、当然ながら狐は自覚している。

　化狐とは、相手を騙すことに特化した妖狐の呼称。相手を悦ばせて堕落させる習性をもっている。
　平然と欺くことに良心の呵責は覚えない。妖怪とは、最初からそういうものだ。
　それでもごく偶に、何故か「騙したくない」と思える相手が現れることがある。
　呼吸するように嘘をついてきた自分が、普段通りに振る舞えなくなり、窒息しそうになってしまうのだ。

　兆候は見えていた。気づくのが遅れただけだ。
　トガノには詳しく告げていないが「真名を教える」とは、主になっても良いという許可である。
　鼓にとっての主とは、全てを捧げられる相手のことを指す。
　しかし「主」と認めることは、九尾が持つ傾国の宿命に巻き込むことでもある。
　それを忘れて真名を教えて、激しい後悔に襲われる一方で、自分の手綱を握られたと陶酔もしていた。

　だから、愛した振りで満足させるつもりだった。人間の短い一生ぐらい、騙しきることは造作もない。

　実績はある。主と呼べば凋落していく末路も、夫と呼べば幸せに看取ることは出来たのだから。
　迂闊にも真名を捧げてしまったが、まだ主と呼んでいない。踏みとどまれている。
　主の意味を教えなければ、トガノが自分へ呼称変更を求めることもあるまい。
　愛せと命じられれば愛しもしよう。主ではない。良人として愛することは嘘にはならないはずだ。

　しかし、理性が抵抗しても耐えられるものではないらしい。
　愛することと愛する振りでは、行為は同じでも、天地以上に開きがあるようだ。

　抱きしめられたまま、泣きながら、譫言のように紡ぐ。
　頭ではわかっていた。触れられている場所から波紋のように、歓喜の悦びが広がっている。
　真名で命じて貰えれば、仕方なく愛しているのだと自分を誤魔化すことも出来たのだ。
　九尾の宿命やら宿業やらに、思い悩まされることなく流されていけたのだ。
　すべて、護れたかも知れないのに。

　最後の最後まで欺き徹そうとしていたものまで、奪われてしまった。

　眦に、一際大きな涙の粒が生まれた。

　背にまわした腕に、ぎゅっと力が籠もる。
　まるで小さな子供が抱きしめているかのように、弱々しい全力だった。

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　シオンの支離滅裂な反応を読み取って、残念とばかりに肩をすくめる。
　手は離さない。何故か握りしめたままだった。
　

　真顔で首をかしげ。

　一心同体だというのに、シオンとハル、２人の間には微妙な溝があるらしいと読み取る。
　むろん、顔には出さない。
　ただ、心に留めておく事柄だろうと思いはする。トガノの目的次第ではあるが。

　シオンの説明を静かに聴き、深く頷く。目を閉じて、想像を吟味して。

　随分と虫のいい話だと思うが、むろん口には出さない。
　自国の為に他国を踏み台にするのは、権益の確保からみても当然の行動であろうし。
　問題は、これはシオンだけが考えている現在図だということだった。
　ハルはともかく、兄や、他の者達の思惑はどうだろう。あまりに綺麗すぎる気がしないでもなかった。

　少年が泣きやんだのを見て満足を表情に浮かべ、心に浮かんだことを尋ねてみる。

特段悪びれた様子も無く、あっけらかんと言ってのける。

次いで出たシオンの言葉を聞けば眉をひそめて、その顔を覗き込んだ。

ゆらり、刀の鞘に手が添えられる。

鞘より刀が、するりと抜き放たれる。
体躯全体で威するように刃を構えながら、シオンの返事を待った。

モクは静かに武器を構える……

モクはある方向を指さしている……

木で作られた台に乗って、踊りながら歌っている女の子がいる
１曲歌い終わると、ちらほらいる観客に向かって話しかけ始めた