数度、手の中で鎌を回す。
風を切る音が、耳に残る。
ジャキリ、と音を立てて、命を奪う刃が、宙を舞う妖精たちへと向けられる。

優しいのだろうか。優しくありたいとは思うけれど、
今この場合においてそれは違う気がする。けれど、彼女の言葉を遮ることはなく、口を噤む。
手を、頬を撫ぜる不思議な心地。続いて紡がれた言葉に、黄昏を、見開く。

真直ぐな、言葉。

『自分を殺したい』
『絶対に殺してやる』
己の知る青年からは想像のつかない言葉――否、全てつかないわけではない。
短い間といえど旅をしているのだから。

微かに力が入ったのがわかれば、離れて行く手を。
今度は逆に己が包もうと、そっと手を伸ばす。
少しだけ違う声色の彼女を、少しだけ遠く感じて、さみしく感じて。引きとめるように、そっと、尋ねる。

平時と変わらぬ声で、問い掛けようとするけれど、少しだけ動揺と、少し淋しげな色が残ってしまう。
約束。お互いの優しさと感情がまぜこぜに伝わるようで。胸の奥がつきんと、痛む感覚。
最後の言葉には、緩く首を横に振って。