前王の娘――オリヴィア姫とか使用人の連中からは呼ばれていたが、と会った。
彼女から得られた協力はヴァルキリーとその先への転移陣のみ。あとは素晴らしい暴力などと皮肉かを言われたくらいだ。
暴力がメルンテーゼでは現状、最終的な解決になっていることをどれだけの一揆衆が自覚できているのかは疑問だが、オリヴィアがあのような暴力を試してきたのはそれを分からせるためなのかもしれない。


　　前王の親族辺りを担ぐか、現地民に前王の親族を僭称させるという手はどうやらもう使えないようだ。財団が政治的にまたは経済的な有利を取るには、先王を見つけるしかもうなさそうだ。
当然、直接に影響力を振るうことはメルンテーゼの民の賛成は得られないどころか、世界間世論にも問題がでる。


　　いずれにしても新王パラダイスの首を取るなり、追い詰めるには一揆衆の力のみで、どうにかする必要がやはりあるということだ。　
それができそうな一揆小隊もそろそろ絞られてきたように思える。
　　まず考えられるのは先を行く、過去の去る庭と律法騎士団だ。
彼らは赤毛の参謀の取決の影響を受けと大部分の一揆衆から排斥を受けている都合があるとはいえ
先を進み続けている。
彼らが成功したなら一揆集結後には参謀や一揆衆の団結など(元からそのような物はないものの)は後世からだと笑い話になってしまうだろう。
彼らの踏み固めた侵攻ルートを私たちは進んでいるのだから。
　　次点は、人に化ける羊と賞金首狩りの着物の女性。
単騎の小隊といえども、他の一揆衆と比べると目的を見失わずにできるだけのことをしているように見える。四人の小隊によらずに一揆が終わったとしたらこれも笑い話になりえることだ。
　　そのまた次は、余りにも大きいため定見を持たない徒党の中の精鋭か、研ぎ澄まされた力を持つシノビたち、日和見に見えて仕方がなかった態度の少年たちだろうか。
侵攻よりも人狩り・賞金首狩りに恐らく適した戦力が気になるものの、多勢に無勢ということもある。
先を進んでいないといえ、何時前に出てくるのか油断ならない。

　色々考えてみても、最終的には意外なことになりそうな気がしてならない。
それでも私たち、宣誓の胚もそろそろ取り残されない動きを考えなくては……