決めた。私が一度こう、って決めたコトはそうそう覆さないってアークは承知だよな？　じゃ、何言い出しても口挟まないでおくれよ？

……。

何度もエルの言葉をあんま考えるの得意じゃぁない私なりに考えてみたよ。だが、その言葉はどっかで自分に嘘ついてんだ。もしくは誤魔化してるか。

ロウが変わる事を望まない理由ってのは、聞いた話が原因で。
そこでエル自身が立ち止まってるから頼れなくなるのが怖くて、変わってしまったら同じように死んでしまうんじゃないか、って思うから、変わって欲しくないって思ってるんだろ？
なのに《ロウが変わりたいと願って、変わってしまうのなら、わたしはそれを受け入れるしかない》だって？

なぁ、エル。エルは、その怖かった時に記憶を、大事だったヒトごと全部忘れたいと思うかい？
そうしたら、今とは違う形でロウの変化を受け入れられるのか？
……ヒトもさぁ、それこそ凄惨な体験やら忘れてしまいたいような恐怖の影響で記憶を無くしちまう場合があるそうだが。

……私は、そうやって痛みも、辛さも。過去の心の傷も、身体の傷も。記憶していけるからこそ、変化も成長もあるんだと思ってるよ。

以前、言ったよなぁ。最悪記憶消去の対象になるかもしれない話を聞くかどうか、って。ロウの答えは、消されたとしても残るかもしれない何か、に賭けるって答えだった。そこに私は……アンタ達２人に、可能性を見出せたんだ。

……２人に教えてやるよ。結界も必要ない。上の連中が手出ししてくるってなら、正面から相手になってやる。

……！マスター……それはさすがに知られれば処罰では済まぬぞ……！！

うちの故郷の同族連中があちこちの異世界に派遣されても、感情がそう芽生えない理由なら予想はつくんだよ。私みたいな最初から異端だった特例を除けば、ね。

端的にいえば。派遣の度に“本来の自分の記憶は封じられて”役目を終えて帰還する折は“関わった関係者すべての記憶と本人のその世界ので記憶も消去される”仕組みになってんのさ。
どうしてかって？　別世界の記憶を他所へ持ち込まないため、ってのと、下手に何かに思い入れやら持ってたら次の世界で困るから、だそーだ。都合よく戦闘経験値だけは残るんだから、よく出来てるよな。

ホントに道具だとしか思ってないよーな扱いだろ？　で、そーやって何度も経験と消去を繰り返してると、半分位の個体は磨耗して“故障”要するに気が触れたり、どっかしらおかしくなっちまう。
以前話した“異端児”扱いされてるアイツは、ロウが言ったのと同じようにして“消しきれなかった何か”が蓄積したレアケースだろうね。その分で自我が強いからか、割に長生きの部類だし。

私は最初から色んな意味で同じ一族の中でも立ち位置が違う。よって異世界回った記憶も全部持ってる特例だ。
が、これは姓と一族の情報を明かさないのが本来の条件。

が、２人に出会ったからこそ決めた。私は、アイツの思いも含めて今の私達の在り方を変えたい。
だから与えられた条件を私は破ってやる。禁忌をあえて破って上の連中の考えを変えさせる為の１歩とする為に。

エル達を見てて改めて思った。どんだけ痛くて辛い思いでも、誰かの都合でそれをいじくりまわして、役目のため、世界のため、で納得出来るもんか！

決意を篭めて改めて名乗ろう。私の名はシェルシェーリィ・ウェーハスハール。
“世界の天秤を整える者達”と呼ばれる一族の中で“現存する唯一にして最強の剣”もしくは“混沌を狩る者”と称されるのが私。
他の連中と違った役割や条件の中で生きてきた。

……ロウとエルとここで出会わなくて。“アイツ”がそう長くないって知らなかったら。
こっから先も違和感持ったままで生きていたのかもしれないけど、ね。

エル。私に過去の事件を必死に声絞り出して伝えようとした段階で、もう１歩は変化してんだよ。
じゃぁもう１歩、歩いてみないかい？　ロウが変化すんのが怖いのは、エルが同じ場所に立ち止まったままだからじゃないのかい？
ロウの思いも分かる、だが、エルがそのままじゃぁ、２人の行く先は私が見てみたいものじゃぁない。

所詮、私も自分勝手だと思うよ。私達とは違う可能性を、２人に見てみたいなんてね。

干渉して影響与えた分の責任取れとか言われても無理だ。
が、本当の意味で“生きる”気があるなら、少し手引き位は出来る。話も出来る。

……どっちかっていうと願いに近い。が……変わりたいのなら、２人揃って私の手を取ってくれると、思いたい。
……私と一緒に《変わる方法と可能性》を、探さないかい……？
私の名の由来は“探求者”……長い間探し求めていたものの答えは、もしかしたら……これなのかもしれない……って、ね。

張り切るのはいいが、無茶はしないでおくれよ。

さっさと片付けないとね。

言葉が届かぬというのならば、届けるまで・・・です！

けだものが相手・・・。駆除して早く先へ進む。

まさかエムルスまで出ようとするとは思わなかったがね…、
来てしまったものは仕方ない、か。

だがいい機会かもしれない。
これまでの旅で学んだこと、私に示してくれるね？

うん…、わかって…ます。
おれが見てきたもの、ここで活かしてみせるから……

ユグさん…それからミチカ…、
おれのこと、それからみんなのこと、どうか見守っていて…。

………。

――良し、終わったか。大した損害もなく何よりだ。

障害、排除完了。エル、怪我はない？

みなさん、お怪我はありませんか？　治癒致します！

無駄な労力、無駄な命、そして無駄な勇気・・・蛮勇。

…よし、おわったね。

エル、行くよ。

先は長いですしどんどん進んでしまいましょう。ゴールはまだまだ遠いです。

時間の無駄、とっとと進む。

せっかくだし拾っておきましょう。錬成の材料になるかもしれませんし！

……これ、何？

何かに使えそうですね。ひ、ひろいぐいなどはしたないことはしませんよ！？

これ・・・何だろ。

一手ご教授願おう、かな。

攻城戦に活かせる、良い経験ができる事を期待してる。
お互いに手加減なしでよろしく。

言葉が届かぬというのならば、届けるまで・・・です！

何か面白いものを見せてくれるの？

よろしくお願いしますね

皆さん頑張りましょう！　じゃんじゃん蹂躙しちゃってください！

私の経験値として役立ってもらう

さ。参りましょうか