ひとまず、ラルクゥさんに協力してもらってメルンテーゼの名産品を少し用意することができた。
…よく考えたら、契約延長の時点では対価は要求されないのかもしれないけど。やれることはやっておくに越したことはない。
ともあれ一安心、といったところかな？

国で色々と学んでいた頃を思い出す。
あの頃も、僕はラルクゥさんに何かとお世話になった気がするなぁ…。
……それだけ迷惑掛けたって意味でもあるんだけど。

今必要そうなことだけ言い残すと、いつも通りラルクゥさんは素早く姿を消してしまう。
気配断ちもしているのか、あの人は球体を使った索敵をしてもなかなか見付けられなかったりする…。
流石に『万能将軍』と言われてただけのことはあるなぁ、と再認識。
…そういえば、あの人は国を再建する時って協力はしてくれるのかな？
何だかんだで、一度も聞いたことがなかった。
渡し守さんとの交渉。それと、兄さんとの話が落ち着いた頃に、話題に出してみようかな。

唐突にハルに話し掛けられる。それだけ心配してくれてるってことなのかな？
どちらかというと、協力意識でやってくれてる方が嬉しくはあるんだけど…。
それを訊くつもりはない。僕からすればこういう風に接し合えるだけで、充分だから。

そうだ。これからやるのはあくまで交渉。
尤も、国で兄さんがやっていたようなものとは比較にならないほどちっぽけなものだけど。
僕にとっては重要なことだ。

意を決して足を踏み出す。
皆のお陰で、だいぶ勇気が出てきた。
がんばろう。そして、伝えよう。

流石に難しいかなあ、と付け足して首を傾げた。

回復には自信があるようで、自信に満ちた顔で答える。

そうそう〜、と一緒に頷く。

シオンのまわりの球体が光りだしたのを見てどうしたのかとちょっと目を泳がせる。

タドタドシクしてくる様子を見て、彼女はトガノはDTなのねと勝手に結論付けつつも手の甲にキスをされた後

えぇ……明日にでも（にこっと

眉を顰めて心配そうにシオンの顔を見つめ返す。

一瞬、酷く険しい表情を浮かべた。

シオンが着替えたがっていると聞き、表情が強張る。

誰から見てもわざとらしい仕草で、よろよろとシオンの方へふら付いて行き、ぎゅーっと抱きしめる。