星屑の山の奥地にひっそりと佇む屋敷。
その打ち捨てられたようなボロボロの屋敷の中を探索する。
王城とは全く関係のなさそうな屋敷だけど……どこに何があるかわかんねーし、こう言う関係なさそうなところにひょっこりと伝説の武器が！みてーな事があるのはなんつーか、おとぎ話でもよくある話だ。まあ、ねーだろうけど。
しかし、このおんぼろ具合はちょっとしたお化け屋敷ってヤツだな。
そこらへんの扉が急に開いてゾンビが出てきても逆に納得しそうなくらいってもんだ。
屋敷の中を一通り見て回ったが、取り立てて面白いものも見つからない。残すは一番奥の部屋だ。
ここに何もなければこの屋敷にはもう用なしって所だな。

オレ達は古びた扉の取っ手に手をかける。
年季の入った扉は悲鳴のように甲高い軋みを響かせながら開くと、中にはこれまでの雰囲気とは違ったものがあった。
貴族が使うような天蓋つきのベッドに横たわる、一目でも分かるくらいに身分の高そうな雰囲気が漂う女の子と、その子を護る様に佇む使用人に見える二人の男女。
オレ達に気づくやいなや、二人は手に持った槍を向け警戒をする。
オレ達もそれに合わせて構える。
まだ敵かは分からねーが……こっち側もあっち側も突然のことに動揺をしていた。
しかし、ベッドで寝ていた女の子が起き上がり、見た目の歳とは裏腹に落ち着いた様子で使用人の二人に敵ではないと制止する。
敵、ではない……のか？
そう思ったが、彼女の言葉はそこでは終わらなかった。
『見定めるべき、相手です。力を持つべきか、否かを――』
そういい終えると、何もなかったオレ等の目の前に真っ白な鎧を着た女戦士が現れた。
こいつはあの子のエンブリオってやつか。
なるほど、わかんねえ。
わかんねえが……まあ、向かってくるからには何もしないでいる訳にもいかない。
ちょっとばかしやってやろうじゃねーか。





女戦士を倒すと、彼女はオレ達に自分の正体を明かした。
こいつ、どうやらこの国の前王の娘なんだと。つまりはお姫様だ。
どうりでこう、雰囲気が違うわけだ。
で、お姫様はオレ等に今の状況を教えてくれた。
こいつの親父、前王が王位を今の王に渡したら前王が行方不明が行方不明になって、今の王のパラダイスが来てからエンブリオが増えたと。
まあ要約するとそんな感じだった。
エンブリオが増えた、ねえ……パラダイスがネクターを独り占めしているっつーのと関係があるんだろうか。
パラダイスもエンブリオじゃないかって話も出てるらしいが……さっきの女戦士のエンブリオを見る限り、確かに人間と姿かたちがそっくりなら人間と成り代わるって事もあるのかもしれねーな。
ともあれ、お姫様の突然の面接にはオレ等は受かった様で、城の中で暴れて来いっつーまあアバウトな依頼を受けちまった。ついでに前王、親父さんも探してくれと。
……多分、ついでのが本命なのかもしれねーな。

ま、やることは大差ない。
とっとと王様をしばいてオレは元の世界に帰る。それだけだな。

＞なかなか真剣であったようだ。