鋭く，より鋭く研ぎ澄ました結果じゃよ。
布程度ならば自重のみを加えた状態で切る。

普通の鉄ではあるんじゃがなあ…と，銃弾のことかのォ？
銃弾は一般の鉛弾もあれば徹甲弾，貫くことを重視するものまで存在する。
全て切り裂くことは可能じゃな，何せ切った実例を見たからのォ。

ああ，１５００℃の高熱では融けてしまう。
熱に多少の耐性もあるのォ。

刀の特性としては，生き物を切ったときに脂がつきづらいそうじゃ。
冷たければ冷たいほどに脂がつきやすいからな。

したたか，ならば逆さにでも吊るして自重と反省を促そう。

…ふむ。
これは失礼を言ってしまったのォ。

だが，今は共に戦う仲間はおるようじゃ。
それだけでも十二分じゃろうよ。

…独りは，辛いもんじゃ。

…うむ。

俺がこの姿をとったとき。
妖怪…付喪神として成ったときには，既に母の屍…骨は兄弟たちを盗み出した盗賊どもに踏み荒らされてほぼ形をなしてはおらんかったな。
その前に殺されておったからのぉ…　

ちょうど俺が玉鋼として精製され，
最後の兄弟たちを鍛え終え，
最後の依頼主に真打を渡した直後にな。

母を想う…　俺に，俺たちに残された言葉を胸に己らしく生きることが母の弔いに成ればとは思う。

ただ一言，俺には…安らぎを，と遺してくれた。

何が安らぎになるかはわからん。
今の俺の悪政の王を引き摺り下ろすという目的は間違っているかもしれん。
少なくとも，間違った行いはせずに胸を張って生きたいものじゃの。

んむ？ブリッジも出来るのじゃぞ？ワシは体柔らかいし妖怪じゃしのぅ？

美味しいものを食べるためには当然じゃろ？自分でせっせと世話してこそ美味しいものに辿り着けるのじゃー！

…ちっ、なのじゃー。

違うのかぇ？好きならば素直にならねば後悔するのじゃぞ？素直になったのならば、幸せハッピーなのじゃ♪

大人の余裕は大事じゃな！ウム、矛を収めるとするのじゃ！

ワシはおそらく見た事が無いやもしれぬのぅ…しかし正気度を削られるとは見た目が危険そうじゃな…！

車田吹っ飛びなのじゃー！！乙女の耳にいきなり息を吹きかけてはいかんのじゃ！鉄拳ならぬ鉄尻尾が飛んでくるのじゃぞ！

・・・雀、先に行く。

おい待ちやがれ狐ェ！ちくしょう、手間ァかけさせやがる！

愉しい時間にしましょう？

あーあ。残念だったなァ・・・っておいィ！？ちょっとは待てよ！

いかないと…

ふむ、またも一揆衆か。何度出会ったことか・・・・・余程このサバスを愛おしく思っているようだな。

・・・・・いいだろう。今日はこの世界の愛しい愛しいエンブリオについて特別に講義してやろう。

エンブリオはこの世界に存在するネクターと、契約者の生命によって・・・・・といったところは既に知っているだろうが、それは通常のエンブリオの場合の話である。多くの事象には例外が存在し、エンブリオにもまた『強制型エンブリオ』という例外が存在する。

エンブリオとの契約は通常、契約者側の意志を前提として成立するものだが、その例外においては契約者側の意志に関わらずエンブリオ側の意志によって契約が成立してしまう。

そして強制型との契約は、解約方法が判明していない。強制型自体がかなり珍しいタイプであるため、また強制型は契約間の結びつきが強く、下手なことをすれば被験体を喪失してしまう可能性があるため、解明が進んでいない。

エンブリオという言葉の意味を考えれば扱いが慎重になるのも頷ける。そもそもエンブリオという言葉は本来の意味の略称でしかなく・・・・・

・・・・・ん？

知り合いのようだぞ？・・・では講義は終了としよう、さらばだ。