７日目

記：＊＊＊＊＊＊

　天然の城壁たる深い森は、侵攻者達の歩みを想像以上に強く拒んでいた。行く手を阻まんとする森林の住人たちが、その牙を、爪をぎらつかせ、ケルを含む一行の前に立ちはだかった。そして、その中に、星屑をまとったような一頭の狼、ダイアーウルフの姿があった。

「みんな行くよっ！ まずは厄介なのを！」

　号令が上がる。と、同時に、お互いに一歩飛び出した。全員が持ちうる全力を振るい合う戦が始まったのだ。

後衛の放つ全体攻撃のあとに続いて飛び込んだ前衛の二人が示し合わせたように一体のレッサーヴァンパイアを囲む。

「ブラッディ！」

「ファング！！」

　叫ぶ技名は同じ。そして、吸魂の弾丸と拳が交差する。煙巻く砂埃、地に落ちる薬莢、次弾装填のために引かれるボルト…………

倒しきれなかった。ケルは叫ぶ、仲間への警告を。ともすれば、

体制を崩した彼女が背後からの一撃を交わす術はない。あまりにも強烈過ぎる一撃はそこで彼女の意識を刈り取ってしまった。

そうして、目が覚めたときにはすべてが終わったあとであった。結果は互角。相打ちと言ってもいいだろう。魔物は再び自然へと戻り、取り残された各々が順に目を覚ます。長い間眠っていたのか、目を覚ましたケルの視界には心配そうな顔をして覗きこんでいる仲間達の姿があった。

「……みんな、ぼろぼろだ」

誰かが言う。そうだね、と各人が肯定を返す。

「あー、負けた負けた。もう、ホント容赦無いんだから」

口々に明るい声が上がる。程なくして、笑い声。湿っぽい雰囲気なんてどこ吹く風、ボロボロの四人はまた立ち上がり、次なる目的地を目指すだろう。

§§§

記：ケル・サーベラス

くっそー、悔しいな。やっぱり、自分の力不足を凄く感じちゃう……。守るべき立場の人間が先に寝てちゃ意味がないじゃない……

目が覚めた時に、ルーシェちゃんの泣きそうな心配そうな顔を見て、この娘にはこんな顔をさせちゃいけないと思ったの。うん。そうれだったら、うじうじ悩んでても仕方ないよね！これで終わってわけじゃないし！次があるよね、うん、うん、次がんばろう！

そういえば、祀ちゃんに洋服をもらったの！ 例の、見たことないデザインの洋服、制服、らいしいのだけれど、私の知ってる制服とは違うみたい。私の知ってる制服は軍隊の人とかが着てる礼服で女の子は着れないからね。

それで、言われるままに着てみたけど、これ見えちゃうよね？！ 中身、見えてるよね？！


＊PTメンバーのルーシェちゃん、ノワちゃん、祀ちゃんに登場してもらいました。感謝！