円月刀に水のエンブリオの力を込め、その刃を鋭く、鋭くしていく。
そのさま、餓える狼がまだ見ぬ敵のために爪牙を研ぎ澄ますが如し。

これぞ、砂獣闘法が一手。

餓狼研爪 (がろうけんそう)

水のエンブリオの力を用いて、地面にいくつもの水の塊を配置した。
時折、ぷるぷると震えるそれは、触れたとたんに弾けそうだ。

戦場を罠で埋め尽くし、自らの戦いを優位に運ぶ……
そのさま、狡猾に罠を仕込んだ巣に獲物を引きずり込む蜘蛛の如し。

これぞ、砂獣闘法が戦場構築術。

蜘巣誘引 (ちそうゆういん)

周囲に気配を溶け込ませ、己が存在感を減らす。
しかし、完全には存在を消さず、かすかな気配を残すことこそ、この技の妙である。

敵の背後に微かな気配を残し、その気を散逸させること、
背後に迫るシャドウストーカーが如し。

これぞ砂獣闘法の歩法がひとつ。

陰獣追影 (いんじゅうついえい)

水のエンブリオに指示を出し、足元に霧を生じさせる。
そしてその身を霧の中へと潜める。

そのさま蜥蜴や蛇などの這う獣がオアシスの濃霧に身を隠すが如し。

これぞ砂獣闘法が隠行術。

這獣紛霧 (はいじゅうふんむ)

そして隠れ身の次は攻撃である。
身を隠して敵へと進み、その脚を刃にて斬りつける。

そのさま霧に隠れし這う獣が、人の脚に己が爪牙を食い込ませるが如し。

これぞ砂獣闘法が一手。

這獣爪牙 (はいじゅうそうが)

カッと目を見開き、視線により相手の意を封じ肉体を縛する。

未熟ゆえ、ほんの数秒しか動きを封じることはできないが、
敵の隙をつき、急所を穿つだけの余裕はあろう。

その視線で敵を封じるさま、砂漠の邪眼バジリスクが如し。

これぞ、砂獣闘法が瞳術。

邪眼封縛 (じゃがんふうばく)