5日目

記：＊＊＊＊＊＊

　ケル・サーベラスはおっかなびっくり薄暗い森のなかを進んで行く。天然の城壁たる深い森は攻め込もうとする敵に対して常に不意打ちの恐怖を与え続けるのだ。流れることのない重い空気が溜まり、時折聞こえる何かの叫び声が少女の不安をより高めるものとなっていた。
　
ガサガサ！

　ひょこっ、そんな様子で茂みから顔を出したのは、ウエーブのかかった銀髪をリボンでまとめた高校生ほどの年端の少女であった。

「ん、貴女一人？ 調度良かった。今からエンブリオ探しに行くんだけど、一緒に来ない？」

　人懐っこそうな明るい笑顔を向ける。そんな笑顔に曖昧な返事を返すケルをよそ目に少女はケルの手を引きガサガサと森のなかにできた小路を進んでいく。

「えっと、あのっ、エンブリオってどんな……っ」

　歩幅の違いから、やや小走りにケルは少女に連れられていく。そんなケルの切れ切れの問いかけに少女は「ダイアーウルフだよ！」と快活に答えたのだった。答えた後、不意に少女は足を止める。

「もしかして、嫌だった？」

そう言って、少女が小首を傾げるよりも早くケルが返答したのは言うまでもない。

「ぜ、ぜひおねがいします！」

少し息に切れたケルに少女は再び眩しい笑顔を向けた。

「よろしい！ それじゃ紹介するね、私は古郡 祀、あと、そこの二人は今回パーティーを組むルーシェちゃんとノワちゃんだよ！ よろしくね！」

薄暗かった森がにわかに明るくなったような気がした。

§§§

記：ケル・サーベラス

「エンブリオ探しに行くけど、一緒に来ない？」って誘われたの。誘ってくれたのはウエーブのかかった銀髪をリボンで一つにまとめた女の子、祀ちゃん。イマドキのっていうのかな？ 凄く可愛いけど、見たことない不思議な服装…… あんな短いスカート、私には恥ずかしくて無理だなぁ

　そんな祀ちゃんに紹介されたのが一緒に行動しているらしい２人。ルーシェちゃんとノワちゃん。ルーシェちゃんはきれいな白髪の女の子でヒーラーさん、大人しい子なのかな？ そして、ノワちゃんはガンナーさんで…………

（少し間隔が開く）

今度、触らせてもらえないか聞いてみよう
　
　ともかく、この３人としばらくは一緒に行動することになるかな。狙うは高ランクエンブリオ！ 可愛い子だといいなぁ…… ふつつかものですがよろしくお願いします！