キコの目当てだというエンブリオを探しに研究棟に侵入したが、静まり返る研究棟の中にはそれはいなかった。小生意気な蛇や小悪魔はいたが、眼中にはなかったようだ。軽く一蹴するとそそくさと立ち去って行った。

ジンギロウの手荷物がいっぱいになったようだ。
道具だけではない。両手に持てるだけにしておかねばいつかは手放すことになるのが分かってよかっただろう。彼奴が何を選ぶか楽しみなところだ。
キコもいろいろエンブリオとの契約に目移りしているようだ。攻撃性と生存性の両立か。難儀な話だ。手が塞がっていては芸はできぬというのに。
ネコは未だによく分からぬ。まぁ、片手だろうと両手だろうと苦労はすまい。欲に忠実な者は求めるものはすんなり手にはいるものよ。アリサカはそうでもないようだが。

城から戻るとネコとはぐれていた。まだ城で獲物を求めて遊び回っているのだろうか？　まぁ付き人がいるなら問題あるまい。もしかしたらそこらの一揆参加者でも味方に引き連れているだろう。暫く待つとするか。
我々の方は、そうだな……水辺を消し飛ばすことにしよう。