アマハルの所為(とは一概に言えないのだが、まぁ大体はアマハルの所為と言っていいだろう)で
ティムラハが常用していたローブが駄目になってしまった。
その為、フードを巣としていたキヨとヨドについて話し合うこととなった。
キヨはその成り立ちから、エンブリオとして存在するものの意識が薄弱である。
着いて来いと言えばそうするが、移動速度は牛のように遅く、細かな方向転換も得意としない。
キヨの移動速度に合わせるわけにもいかない為、誰かしらかが誘導するしかない。
さてどうするかとアマハルと河童を交えてあーだこーだと話し合った結果――

ティムラハが竹魚籠をたすき掛けで背負う。
そういうことになった。

多少思うところはあるのだが、ティムラハは何だかんだで面倒見は良い。
己の飼っている動物に関わる責任はきちんと取ろうとする人間だ。
エンブリオとの契約関係をペットと同列視するのは賛否があるだろうが、
見た目が良くない、という程度の問題は天秤の秤に乗せるまでもない。ないんだ。ないだろう？

少し歯切れの悪い言葉と様子に、それ以上踏み込んでいいのだろうかと疑問系でたずねる。
先の件もあり、聞いていいのだろうかと考えると少しだけ迷う。人との距離感は、難しい。

みどりの瞳で青年を見上げた少女は得意げにえへん、と威張って見せながら得意げに笑う。

呼び名を確認するようにゆるく首をかしげてたずねる。

べしべしという音にようやく気づく。尻尾、尻尾、とこしょこしょと声をかける。

完全にずれきっている娘と河童に負けるなと息巻く子リスと。
反れるどころか悪化の勢いしかない。

自分と同じ傍観体勢だったクマのぬいぐるみ…の様な存在に気づいたらしい。
ぽつりと問いかける。