「ん………。」



ある朝、窓から差し込む朝日。
ぼくはゆっくり目を開けると、あまりの眩しさに思わず再び目を閉じる。

それでもゆっくりと目を開け、手で光を遮りながら太陽の高さを測る。


「まぶし……っ。……もうお昼前、かな。起きなきゃ……。」


そういって身体を起こすも、低血圧のその身体はすぐには動けず、ベッドを背もたれにして座る。

視線を横に移すと、『彼』はまだすやすやと眠っている。
そんな彼を起こさないようにしながら、寝顔を眺め微笑む。


「ふふっ、まだぐっすりだね。ご飯の準備終わるまでは寝かせておいてあげようかな。」


ぼくは彼を起こさないように、重たい身体を上げベッドを降りると、お風呂場へと歩いて行った。




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「は〜、さっぱりした。」

暫く後、お風呂場から半そでシャツに麻の長ズボンのラフな格好で出てくる。

台所の蛇口をひねり水を出し、コップ1杯の水を飲み干すと、朝ごはんの準備に取り掛かり始めた。


「今日の朝ご飯は〜、パンにしようかな。スクランブルエッグと、アスパラの炒めものと……。」

「あと牛乳とヨーグルト、っと。」


パンを切り、具材を切って調理の準備をする。
牛乳はコップ2個、ヨーグルトもお皿に2個用意してテーブルに用意する。

あらかた準備が整ったところで一息つくと、ベッドへと歩いて行く。
そろそろリオンを起こす時間のようだ。

アリエスは、リオンの銀色の髪を撫でながら、優しく声をかける。



「リオン、朝だよ。おきてー。」


うぅん…、と声にならない声を出すが、目を開ける気配はない。


今度はほっぺたをペチペチ叩きながらちょっと大き目に声をかける。


「リーオーンー、おーきーてー！」


リオンは眩しそうに目を開け、手で太陽の明るい光を遮る。
眠そうなまぶたを持ち上げ、その碧眼でアリエスをぼーっと見つめる。


「おはよー、朝だよっ。朝じゃないけどっ。」


開口一番よくわからないことを言われ、リオンは苦笑して。


「まったく……アリエス朝から何言ってるんだよ。おはよう。」


リオンは身体を起こし、ベッドから出ると、アリエスの頭をわしゃわしゃと撫でる。


「ん……っ。だってもうお昼近いんだもーん。
ごはんの準備してるから、シャワー浴びておいでよ。寝て汗かいちゃってるでしょ。」


そういうとリオンは頷いて。


「そうだね、入ってくるかな。」


リオンがお風呂場へと歩いて行くのを見送ると、アリエスは台所へと戻る。
ザアッと、お風呂場から水が地面をたたく音が聞こえてくる。

アリエスは、トースターにパンをセットし、
フライパンを火にかけ、油を引き、卵を落とすとじゅわぁ、と音を立てて卵が膨れていく。

ふんふん、と時折鼻歌を歌いながら、料理を進めていく。


シャワーの音が止み、しばらくすると、リオンがお風呂場から現れる。
香り立つ焼けるパンの香りに気づくと、その香りがする方へと近づいていく。


「良いシャワーだった！　って、いい匂いだ。今日はパンなんだね。」


鼻をふんふんしながら台所へと近づいてくる。


「うんっ、もうできるよ〜。リオン、これテーブル持ってって。」


スクランブルエッグの脇に、アスパラの炒め物をのせながら声をかける。
ホカホカと湯気がたちおいしそうな香りを出している。


「わ、こっちもおいしそう！うん、テーブル持ってくね。あ、あとフォークも。」


リオンがテーブルに運んでる間に、トースターがチンっ、と音を立てる。
パンをお皿に乗せ、バターをトーストの上に落とす。とろっ、とトーストの表面をバターが流れ落ちていく。

リオンが待つテーブルへ持っていくと、嬉しそうな様子でパンを見つめる。


「じゃあ、たべよう！いただきます！」

「うん、いただきまーすっ。」





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ちょっと遅めの朝ごはんが終わり、ぼくは窓を開けて外を眺める。

だいぶ日が昇り、もうお昼どきだ。

ぼーっと、涼しい風に当たりながら、何を考えるでもなく、人が行きかう様子を眺める。


「アリエス、何見てるの？」


彼がそう声をかけて、ぼくの横に来て同じく外を見る。
銀色の髪の毛が風にサラサラと揺れ、シャンプーを香らせる。
特に理由があってみていたわけではないので、生返事を返す。


「ん〜……？なーんとなくぼーっと外見てただけだよ〜。」


彼は、そっか、と言うと、ぼくを後ろから抱きしめる。
ぼくも、前に回された彼の手を、両手で抱きしめる。

ぼくは目を閉じると、彼の体温を感じて幸せに顔を緩ませる。


「リオン……あったかいね。」


そういうと彼はさらにぼくをぎゅっ、と抱きしめ、顔を横にもってくる。


「アリエスもあったかいよ。」


彼に抱きしめられると、その抱擁を身体いっぱいに感じて目を閉じ微笑む。


「うん、ぼくもぽかぽか〜。ずっとこうしてたいね、えへへ。」


彼が耳元でふふっ、と笑う。


「うん、ずっとしてあげる。ずっと。」


その声を聴いて肩越しに後ろを見ると、彼と目が合ってしまう。
その彼のまっすぐな瞳を見て、身体が熱くなり頬が紅潮する。

そのまま彼に身体を委ねるように体重をかけると、
彼は片手をぼくの足へと回し、ぼくの身体がふわっ、と宙を舞う。
軽々と持ち上げられたぼくの身体は、彼の胸元で抱きかかえられる。

そのまま彼は椅子へ座ると、ひざにぼくを座らせ抱きしめる。

彼の心臓の鼓動が聞こえる……。

「ずっと……一緒だよ。」

その音と、昼の陽気と穏やかな風に眠気を誘われると、ぼくはゆっくりと意識を手放していった。





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Eno883 リオン君お借りしました！
ありがとうございます！

「ちゃんと聞きたい」という言葉を受け、「それじゃあ」と話し始める

（イカ談に、荷物をごそごそした後で小さな包みを渡す）

（その言葉に多少引きつりつつ）

（言葉に頭ぽんぽんとしつつ）

（続いた言葉には神妙な顔で）

くびを　よこに　ぶんぶん　ふっている

しばらく　かんがえた　あと　きのえだを　ひろって　じめんに　おえかき

じめんには　へたくそな　まるが　なんこか　かかれて　いた

さらっととんでもない事を口にしたような気もする。

ばしばしと叩かれたのにくすくす笑って。

微かに眉を顰めてアリエスに問う。

真面目な顔で見つめるときっぱりと言い。

言いながら取り出した小箱を渡す。開けてみたならピンクサファイアのティアドロップがついたチョーカーが入っているのがわかるだろう。

アリエスが話しかけると少女はちょっとだけ顔を出し、そのまま一目散にどこかへと走り去ってしまった。

軽く頷いて

指で長さを示す。大体40cm前後から70cm前後くらいだろうか

やや首を傾げる

たはは、と苦笑した。

結局謝っていた。

うんうん、とうなずく。

顔を拭き終わり

思わずきょろきょろした。

先ほどのことを思い出したのか、心配そうに付け足す。