次元が違うっていうのは、まさにこういう事を言うんだろう。

　荒れ果てた大地で出会った、このコヒメという少女は、高校生くらいの華奢な体をしていた。なのに、現れる敵をその手に持った刀――じゃなくて、竹光というらしい木刀で、あっという間に打ちのめしていく。　聞けば、旅をする前に手練れの人間から指導を受けていたらしい。
　正直、俺はこの子の十分の一の実力も持ち合わせちゃいないだろう。男女差別ってわけじゃないが、単純に情けなさを感じ、異世界に放り出されたこともあってどうにも落ち着かない。それを相手も感じ取ってるのか、こっちをチラチラ見ては目線をそらす。

（うまくやってかねえとなぁ）

　命を賭けている場面で助けてもらっている手前、そうでない所ではせめて気を休めることのできるような間柄でいたいと思う。多分、パーティってのはそういうもんだろう。まあ、そう言ったところで気のきいた言葉がポンポンと口にできるわけじゃないのだけど。

「ねぇ！」

　なんて考えていると、コヒメが緊張した様子で話しかけてきた。

「なんだ？」
「突然なんだけど……」

　相手を委縮させないように、なるべき気楽な感じで答える。まあ、よほどのことじゃない限りはこんな感じでいこう。気楽さを意識ってのも、それはそれで気楽なのかって感じだけど――　

「アタシの尻尾触ってみない？」

　――オーケー、何言ってんだこいつ。