Ｈの月　２０の日。

この世界における暦の一区切りがきたようです。
新年を祝う習慣は私の世界にもありましたし、私も祝賀のひと時を過ごすことにしました。
なかなか思う通りに事が進まず、最近は悩ましい日が続いていましたしね。

年の区切りを迎える深夜、素晴らしき贈り物は村の子供。
年越しの瞬間を夜空の元で迎えようと思っていたのでしょうか。
ですが、子供の夜更かしは危険であると親は注意すべきです。
取り返しのつかないことというのは世の中によくあることなのですから。
人目を避けて森の奥まで攫い、そこで過ごす至福の時間。
微かな星の光だけが照らす、幻想的な風景。
今回はリスクを考慮し猿轡をかませていましたが、漏れ聞こえる苦悶の声もまた趣きがありました。
星明りに煌めく涙の雫の美しいこと。
夜風の肌寒さを温めてくれる体温と血液の暖かさ。
その熱が徐々に失われていく様は、代わりに私の心を温めてくれました。
泡沫の幻のように、儚く消える命。
短いのそのひと時でしたが、人の心をこんなにも潤してくれます。

そんな心温まるひと時でしたが残念な予想も的中。
村からの距離も近く、偽装させる手段も乏しかった今回。
やはり発覚は免れませんでした。
騒ぎは次第に大きくなり、今もまだ慌ただしい声が時折聞こえてきます。
手掛かりを残すほど無様なことはしておりませんが、
しばらくは行動に気を付けておかならければいけません。
一般人を標的とする行為も厳禁です。
手間取っている準備をしっかり進めなければいけませんね。
昨年は問題の多い年ではありましたが、今年は良い年にしたいものです。
この一年の幸多きことを祈りましょう。