〜前回のあらすじ〜
「あけましておめでとう」
「おめでとうございます、今年も宜しくお願いします」
[あけましておめでとうございます！！]
「翠のって書初めみたいよね、おめでと」
「うむ、くるしゅうないぞ」
「いや、それ言うの私の役だからな？明けましておめでとう」

「とりあえず……御餅焼くか？」
「「「「やくー！」」」」



なんだかんだ言ってお嬢は自分でも準備をしていたらしい。
やる気が出てきたのは良いことだ。
そんな自分はそれを助ける為、会場の設営を行っているが……。

「はぁ、結構大変だな」

小規模とはいえ、準備と言うのは本当に大変だ。
普段は大人数で行ってしまうので、そこまででもないのだが。
今回それは自分一人だけだ。

「……離れて分かる良さと言うのもあるな」

こういうことは、実感しにくい。
だからこそ、普段から感謝の念などは忘れないでおこう。
そう思うのだった。

ちょっとズレている。

そのかわり新聞とかはあんまり読まないんだけどね、とペロッと舌を出して苦笑する。

（手合わせの相手となった一行、その中でも特にメルンテーゼにはそぐわぬ格好の異邦の若者二人を見て──不気味に、独り笑みを浮かべ）

仔リスから変化した、にこにこと屈託なく笑う小さな女の子がそこには居た。