○月＃日

今日はそろそろ昔の話でも書くとしよう。

俺がまだ子どもだった頃の話だ。
そもそも親がいなかった俺は当時グレて施設を抜け出して街で繰り出し好き勝手やっていたんだ。
あの日は街中に通り魔が現れているって噂が立っていたけど俺は知らぬ顔だった。
そして夜中、運の悪い事にその通り魔に路地裏で出くわしちまったんだ。
相手は大きなナイフを持つ大男、とてもじゃないけど叶う相手じゃない。

ナイフを掠められ、傷ついていく肌。
当時の俺は、涙を流しただ怯えるだけ。

（俺、ここで死んじまうのか……？）

そんなとき、声が聞こえた。

「待て！とうとう見つけたぞ、街を脅かす通り魔め！」

その声に通り魔は手を止める。
そして俺が声がした方を見てみると……そこにいたのは男だった。
黒い帽子とフォーマルな服装……こんな路地裏には似合わない格好だ。

「随分と足跡をたどるのに手間どったが……今ここで捕まえる！ディテクティブ・チェンジ！」

すると男の体が突如光りはじめ……なんと、仮面とマントでおおわれた姿に変化した。
テレビで見るような……いわゆるアメリカ産のヒーローのような格好だ。

「推理するまでもなく現行犯だ……力づくで取り押さえてくれよう！ふん！」

奇妙な姿に変わった男は人間離れした速度で通り魔の近くに迫る。
直後通り魔の手のナイフは宙へ飛び、そのままパンチを直撃させ通り魔を一撃で倒した。
そして、今度は俺に近寄ってきた。

「全く、こんな子どもまで襲うとは見境のない……君、大丈夫か？
もう安心してくれ、私はただの探偵だ」

「た、探……偵……」

この出来事をきっかけに俺は探偵という職業を知り、後にあの時助けてくれた探偵に弟子入りしたんだが……
この続きはまたの機会にしよう。

そうだ、この度俺は効率的な捜査のため一旦今のメンバーの大半と別行動を取る事になった。
その顛末についてを次に書くとしよう。