全知全能の神がいた。
彼は世界を統べ、そこに住む生命にあらゆるモノを授け、与えた。

世界は豊かになったが、生命は次第に怠惰していき、緩やかに終わりへ向かっていた。
彼と、そして生命たちが気がついたときには既に遅かった。そこは彼ら以外が住める世界ではなくなっていたのだ。

彼らはなんとかしようとしたが、彼は全知全能であるがゆえに、疎通がとれなかった。
全てを知っているが故に、わからなかったのだ。よくある話である。

悩んだ彼は、自分の生命を２つに分けた。
１つは人の魂。全知だがなにもできない息子。
１つは獣の魂。全能だがなにもしらない娘。
それが新しい世界を作り、あわよくばこの世界を救ってくれると信じて。

息子はその叡智にて苦難に立ち向かい。
娘はその才覚にて世界を支えん。

私はローゼリア。獣の魂の娘。今はその知識のために、旅をする。