黒々染まる軽さ

貧しいから。始まりはそんな理由だった
人達はその少年が見えなかった、いや見ていなかったのだ
だから品物を鞄に隠した

不愉快だから。始まりはそんな理由だった
その青年はある人が嫌いだった、いや大嫌いだった
だから刃物を振りかざした

邪魔だったから。始まりはそんな理由だった
その男は象徴を守れない、いや守らなかった
だから肖像を壊した

そして、その人間は始まりのきっかけを繰り返しながら
生きてきた。いずれ裁かれる事を知りながらも
流された結果が××××だっただけだと知らずに

──消された過去。不愉快なおとぎ話
語り手は世界を飛ばされ、物語の口を閉ざす

紅々縫う弱さ

物には魂が宿り、者となる
その青年はひとつの家に忍び込んでいた
始まりは【嫌い】それだけだったのに

人に未練を残し、屍を残す
家の少女は青年の悪意に巻き込まれた
未練は【好き】それだけだった

心には悪が染まり、血にそまる
少女の伝言は青年の心を惑わした
見えたのは【人形】の姿だった

だから、青年は残された優しさで人形を盗み
預かった。もう返せぬとわかっていても
最後の伝言が「*******」だったから

──残された伝言。理不尽な体験記
紡ぎ手は強く掴まれ、物語の幅を増やす

黄々笑う辛さ

その物を壊すなら、何処が確実なのか
悪意に身を委ねれば見えるだろう。その結果が
ほら、ひと思いに試してみればいい

その男を裁くなら、どれが平等なのか
正義に心を委ねれば感じるだろう。その罪が
そう、相手の事など考えなくていい

その罪を許すなら、其処に辿れるのか
苦しみに体を委ねては駄目だろう。その行為が
でも、感情から逃れるならいい

ついに、男は裁かれる事を甘んじて
受け入れた。結果を教えられずに
突きつけられた判決が○○○だとしても

──飛ばされた世界。無慈悲な幻想歌
書き手は事象を監視し、物語の終を記す

碧々始まる嬉しさ

──記されていない空白の１ページ

──静かに閉じる一冊の過去