――光。
　眩い光。
　暖かい光。
　そして、少し寂しい光。

　光に包まれた世界。どこか懐かしい気持ちになる。
　とても大事な記憶のような、忘れてしまいたいような。
　光は強く、逆に全てを影にする。
　眩しくて、何も見えない。

　ここは、一体……。

　…………。

　目を開け、ゆっくりと体を起こす。
　この夢は、何度も見ている。
　ずーっと真っ白な、光の世界。
　けどその光の正体も、それが意味するところも、結局は分からない。未来のことか、過去のことか。もしかしたら何の意味も無いのかもしれない。

　寝癖のついた髪をかき、巴はふうと溜め息を吐く。

　一揆に参加してから、早一週間が経つ。
　装備が変わり、エンブリオが増え、仲間もできた。
　自分は、どうだろうか。

　己の成長は、己によって測ることは難しい。
　相手と比べることで成長を確かめることがほとんどだ。
　それなのに剣というものは、いつの時も自分との対話。

　矛盾しているようで、矛盾していない。
　より長く自分と向き合い、剣と向き合い、自分を知り、剣を知る者が強者であった。
　まだ、自分は成長の過程だ。

　物思いに耽る巴の傍には、いつの間にか黒妖がいた。

　応える巴の目は、どこか遠いところを見つめるようだった。

　軽く流す巴に、黒妖は不服そうに頭を振る。

　巴はひとつひとつ記憶を辿り、懐かしんでは微笑んだ。

　黒妖も昔を懐かしんでいるのか、表情からは分からない。

　ちょっといじけるようにして部屋を出ていく黒妖の後ろ姿は、どことなく寂しげだった。

　巴に聞こえないように呟き、黒妖はするりと去り、やがて見えなくなった。

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