【オオカミさん　その3】





「あんまり良い思い出ないんだよね、その名前」

ようやく何か喋ったと思ったら、ずいぶんと流暢に人間語を話してきた狼のナオ。
数秒の間レナは驚きで硬直し、プーロは興味津々でくねくねと身体を動かしながら様子を見る。

レナは心配そうにナオに尋ねる。
ナオは面倒臭そうに座り込み、あくびをした後。

「かつて私は『闇の門』と呼ばれた場所でちょっとくつろいでたんだけど、
そこに一人の男がやってきてね、恰好を見るに私達の敵だと判断できた。
そこで私はヒトに化けて油断させようと思い立ったわけ。」

ふんふんと、レナは真剣に話を聞いている。
プーロも同じようにうんうんと頷いているかのようだった。

「目論見通り、その男は私を見て「おっ　いいおんな」って口にしてたわね。
これは間違いなく殺れる、そして食えると確信したんだけど・・・

どういうわけかすんでのところでわけのわからない独り言を言いだしたかと思ったら・・・
突然銀色の矢で私は撃ち抜かれてそのままお陀仏・・・とまぁそんな感じ」

この女、結構壮絶なんだな・・・と思ってしまったレナとプーロであった。

(無造作に腕を出して見せると，その腕が肘の辺りでぽろっと落ちた。)

(あわてることなく腕を拾うと，断面を合わせて接着させる。動きに変なところは無いようだ。)

そうして照れ笑いを浮かべる。

やや首を傾げる。

一人頷く。