合流後の龍貴は、少し生き生きしていてなんというか、うざい。
そういうことは特に口に出さないが、茶々が構っているので問題はないが……、

（あの勢いで、神だのなんだの言われるのは流石に面倒だな。）

そうは思っても特に訂正するつもりはない。
気付くのを待つだけ――というより、面倒臭いだけ。
そういうのを求めるなら、とりたてて正す必要はないということもある。

だが小姑のようなプレッシャーも少なからずあったり、
また燦燦と輝く太陽のようなまなざしも鬱陶しかったりする。

……だからといって、そんな理由で正さない。面倒臭い。


（つーか、普通気付くもんだと周りは思うんだろうな。）

妄信とは猛進ということだ。
一点を目指して目を逸らさないような、そんな感覚。
そういった性格では、本来ないと思うがことのほか、まだ毒が抜けないようだ。

そういう龍貴を見ると、苛立ちというより面倒くささが出てくる。
だからといって突き放すわけではない。
それが庇護を求めているから。

無意識とか…　まぁ意識的にそういうのができたら詐欺師なのだが。
天性とはいわないまでも、まぁこの場合はどうでもいいか。と思いなつつ。

少年の少女の姿見は、諦観と慣れ、それと僅かな安心の現われが見れる。

おそらく今のままが居心地がいいのだろう。
変化を求めているものの、築いたものを捨てるわけではない。
捨てきれないのではなく、大事だからということでもなく。

習慣だろう。

捨てる、という考えはあまりないのだ。

だから、面倒臭い。


「面倒臭ぇのが揃ってるってな、倍面倒臭ぇ。」

捨てられないのは、彼も同じだ。
いや、あっちはそもそもそういう風に鍛え上げられたものだろう。
用途から見ても、そういう風な感じだ。

実際のところ、そちらのほうが珍しく面倒臭い。

それでも、まぁ

「――面倒臭ぇな。」


“あいつ”のほうがまだマシだな。
と、

なんでもないことを思った。

あちらも面倒臭いが、こちらも面倒臭い。
どこへいっても面倒臭いのがついてまわる。
面倒臭いのが当たり前だから、面倒臭いのは面倒臭くて無視する。

そういえば、とふと手紙を広げる。

「連絡はねぇな。まぁあっても困るんだが。」

仕事中といえるから、何か連絡されても対処はしかねる。
ただまぁ、邪魔になるようなことはないからそれでいいのだと思うが。
そもそも邪魔とも思うまい。

中身がないのは、どちらも一緒なのだから。

「まぁ精々、五月蝿いのがいなくてせいせいするとか、そういう連絡かね。」

そういう連絡もおそらくないだろう。
あるとしたら、本当に、それは、必要なことだけだろうから。
そしてまず“あいつ”はそんな連絡はしないと考える。

そこだけは、似ている。


「……つか、まぁこの研修みたいな状態をなんとかしてほしいがな。」

無理だろうと思いつつ、何度かモーションをかけているが一向に変化はない。
指向性がないと仕事もしづらいのだが、とここ数日の頭痛の種だ。頭痛などしてないが。

劇薬でもないと、テコでも動かないだろうと最近は思う。
それこそ、連絡がくるぐらいの、劇薬でもないと。

どっちにしても、面倒なことには変わりなさそうだ。

あまあまあまっていわれた…　　あまちゃんっていわれた…

NOすもぐり、NO海女ちゃん。頑なにお断りの意で首を横に振った。
あの日見た水辺兵士の姿を僕達はまだ忘れられない。

secret base 〜水辺兵士がくれたもの〜　←青銅。 　

（ばっさり投げられた、身も蓋もない言葉に真顔で返した答えがこれである）

（こちらに向き直って胡坐のまま呟いたカツヱに、しばし待たれよ、と告げて中座する。
――程無くして戻って来た忍の手には、徳利と二人分のぐい呑み茶碗）

（二つのぐい呑みを満たし、一つをカツヱに向けて差し出す。
何処から手に入れてきたやら、
口を近づければふわりと米酒の香りが鼻腔をくすぐるだろう）

（まるで見当違いだったならば、拙者も錆びついたものでござるが…と、
軽く笑って碗を傾ける。
般若湯を一口干した後、差し向かいに胡坐をかく仙女へ顔を向け）

　埃をはたいて笠をかぶりなおし、