1576日目。

流石に…精神的に弱る。

今回の敗因も情報収集の不足と慢心か…。

連携云々については書いても不毛なだけだ。

何にしても新たなエンブリオを入手できなかったことが痛手だ。

次は数こそ同数だが明らかに格上を含む相手。

勝てる、だろうか…。






―――験体番号六番ノ手記、第九頁。




＊＊＊

短く書き終えて本を閉じる。明らかに浮かない顔の六。

ギイ、と音を立てて椅子にもたれ掛かると背後に気配を感じ

いきなり耳をガシっと掴まれる。

ぱっ…と手を離し1､2歩下がるノーム。

＊＊＊

この日もお説教で夜は更ける…。

何分、長く生きてると最初の頃が曖昧でさー　とあっけらかんと笑う。
その口ぶりからすると、六が察する通り見た目通りの年齢ではないのだろう。

湯屋への道案内がてら、暇なので先ほどの話題をいくつか続けて話す。

挑発には喉で笑って返す。
距離的を変えず、やや見下ろす形になっているのはわざとか否か。

亜人ではないという本人の目を見て、言葉を聞いた上で首を傾げる。

特に大義名分も無いけれど参加している、と聞けば軽く肩をすくめる。

「――人斬りが多いらしいから、気をつけるんだな」


もし貴方が鋭敏な嗅覚を持っていれば、
煙に混じって周囲にわずかに漂う鉄錆びたような匂いに気付くかもしれない。

そういって彼女の魔導アーマーが巨大な寸胴鍋を持ちだした。
無論、カレーがいっぱい入っているようだ……

クスリと笑みながら。

ぎゅう、とクマのぬいぐるみを抱き上げてみせ。

耳を垂れさせ、残念そうにしているその姿はどう見ても中毒者です。

興味津々と言った様子で耳をぴこぴこ揺らしてます。

最後の言葉だけは聞こえないようにポソッと呟き

そう言ってケラケラ笑ったあと

突然名乗るのでした。