ラハム、と呼ばれたドールのエンブリオは部屋の中を見回した。
8畳ほどの部屋に家電製品が所狭しと置かれている。
快適なネット使用空間。
ただ、どの製品も、いや、部屋の壁紙も、妙な色合いであった。
吹きつけたように赤をはじめ、青や緑、黄色の色が飛び散っている。


ボリボリと音がする。
森神が何かを齧っている音だ。
握っているそれは人間の脚のようで、妙に毛むくじゃら。
肉からは緑色の液体が吹き出している。

森神がその脚を喰いつくすと、左手から何かがぬっと姿を現した。
蝙蝠のような翼があるが眼が五つあり、その額からは角が伸びている。
脚は触手のように長く、毛がなくつるつるの肌だ。

キーキーと鳴き喚くそれを、森神は容赦なく引き千切り、また食べ始めた。

ペロリと蝙蝠の奇形を食べ尽くす。
指を鳴らすと壁や家電などに付いた奇妙な血液から緑色の苔、あるいはカビだろうか。
それがわさっと生えたかと思うと、瞬時に朽ちていく。
あとには何ものこらず、綺麗になる。

森神はパソコンのキーボードを打ち、タァーン！とエンターキーを押す。

ディスプレイには一人の女の写真が表示されている。

再びエンターキーをタァーンッ！する。
映し出された映像に、二人の従者は顔を見合わせる。

愛の告白とかそこらへんは、さらりとフィルターされた模様？

ムッコロボの口部分が開き、ダイナミックに梯子が飛び出したッ!!

手の平サイズの小型ロボがわんさか出てくる…！
その数は三桁に達してなおも増え続けるッッ〜〜〜!!!