［基本］OK.　［戦闘］OK.　［戦闘:エイド1］OK.　［戦闘:エイド2］OK.　［戦闘:エイド3］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

▼今回日記の前話：30回目更新
http://lisge.com/ib/k/30/r805.html

▽関連日記：8回目更新
http://lisge.com/ib/k/8/r805.html


























「……母、さん？」






自分の声がひどく遠く聞こえた。


もう30時間近く彷徨い続けた狭間世界で、彼は自分の母親と対峙していた。
腰まで届く長い黒髪に紫掛かった瞳──異能力を宿さない目の色。
華奢で小さな背丈、病弱な面影の残る白い肌。大事にしていた四葉のクローバーのペンダント。


何もかも全部知っている。
日ノ下 楸 その人だった。


無防備に茫漠と立ち尽くす事しか出来ない間、母親は自分の子どもに腕を伸ばして来る。
肉色に爛れた腕が否応無しに視界に入った。
焼ごてを圧された様なグロテスクな外見。身体の弱い母の腕にそんな痕がある事に絶句したが、
それ以上に男の肝を冷やしたのは一つの事実だった──それを見るのは初めてではない、という事。
これまで道すがら散々見かけては駆逐されるのを目の当たりにした。影響力が低い者が徐々に成れ果てると話を聞いた、







最悪な想像が脳裏を駆け巡る。









（────違う）


（違うそんな訳ない！ 母さんは茨街には居ない！ 異能力者じゃない！！）




（────でも）




（でも、もし……偶然あの時、ワールドスワップが起きた瞬間に街に来てたら──）











「──どうしたの。顔色がすごく悪いわ。……まさか怪我してるの！？」



今度はやけに母の声がはっきり聞こえた。
直後、腕を思い切り掴まれる感覚がある。眼前の母は今にも泣き出しそうな表情で自分の腕や身体のあちこちを何度も検めた。
そのまま一度溜息を吐く様にはぁ、と深く呼吸をする。腕をするりと持ち上げると、か細い指で彼の頬を撫ぜていった。
力を掛けない撫で方。
きっと小鳥の胸を指でさする時と同じくらいの力しか無い。目を細めながら淡く笑う母は消えてしまいそうな程に儚なかった。



「……ひどい目に遭ったのね。こんなにやつれて……服もぼろぼろだわ。痛かったでしょう」



揺籠を揺らす様な優しい声色。
生まれつき病弱な母は痛みに敏感な人だった。
ほんの擦り傷でも、家族の誰かが怪我をした事が分かれば飛んで来て悲しんだ。同じ痛みを抱いた様に。
母の目を通して見える世界はきっと、籠の中の鳥と同じだったのだろう。
何もかもが自分より巨大で威圧的。身を守る檻が無いとすぐに外界の存在に押し潰されてしまう。
繊細で打たれ弱くて──穏和で慈しみ深い人。










こんな人、ひとりしか知らない。










「無理しないで。今まで散々歩いてきて疲れたでしょう。お母さんがいるから少し休んで。あなたは──」

楸 「──やっぱり、可哀想ね。」

その一言が胸を抉った。
それまで撫ぜられていた手でいきなり首を絞められた様な感覚。
咄嗟に顔を上げても既に遅い。眼前には何処までも慈愛に満ちた母が笑っている。

楸 「知ってたわ。普通の子じゃなかったから。 　なんで男の子なのにお化粧するの？ どうして女の人を好きにならないの。 　私、あなたの事が全然分からなかった」

楸 「いい歳してそんなに派手な格好して── 　みんなと同じ様になれなくて踏み外している事ばかりで……本当に可哀想だった」

ツバキ 「な、なに……っ母さん、ちょっと待っ……──！」

げほ、と咳き込みながら言葉を返そうとしても上手く音が出せない。
叱責と憐憫が入り混じった様な母の声が訥々と溢れる。優しい筈の人の声が、

優しい？
違う。
自分の幸福の檻に収まらない存在がいる事を赦せないのだ。


理解できない。受け容れられない｡不快。
そう思うならそれでいい筈なのに。
或いはそっと目を背ければいい。


人が感じる感情は自然に水が湧き出る泉と同じだ。
身体の内側から溢れるそれを制限する事なんて他人には出来ない。


──理解できないならそれでいいのに。
人格への想像力の無いまま素直に顕してしまえば、それは無邪気な言葉の暴力だ。

楸 「私、自分の育て方が間違ってたってずっと思ってたわ。 　すごく気に病んだ。何が間違ってたのか──どうしたらちゃんと育てられたのって」

楸 「だからたくさんの神様にお祈りして、 　……お金は必要だったけど、いいの。あなたの為ならそんなの惜しくないわ」

楸 「それにね、不思議とお金を使えば使う程なんだか私が幸せな気持ちになっていったの。 　段々あなた達みたいな人の事も分かって来て、」

「──……やめて」

「────もう止めて！！そんな目で見ないでよ！！」

彼の赤眼が一際強い閃光を放った。
狂愛の魔眼の力。それは視線を一定時間合わせた相手の心を奪って従わせる、日ノ下 椿の異能。

激昂したままに力を使った彼は直後、冷静になってしまう。
────異能力を使った！異能力者でない相手にこの強制的な力を使う事は忌避していたのに！
しかも自分の母親に！ 一時の感情に流されて力任せに相手を従わせようとするなんて、なんて────。












「──、」






「──……なんて、醜い」






言葉が溢れる。
一度声に出して自分の耳に届けば最後、それは言霊の力を宿してしまう──呪いの力を。






「醜い、……醜い、醜い、────醜い！！」






ばぎん、と罅が入る音。
頬に亀裂が入った。──正確には彼の魂を宿す、椿柄の小櫛が壊れ始めた。
絶対零度で凍り付いていく様なぱきぱきとした音が彼の顔を、上半身を、下肢を、身体全身を駆け巡っていった。



「どうして！？ こんな風になりたかったんじゃないのに！！ 嫌、いや、こんなの────」



誰もいないベースキャンプの片隅で顔を覆う。
言葉に堪えられず非異能力者に力を使った事──彼自身への裏切り。
築き上げた美しいもの。弛まぬ努力と実力と自尊心。それを此処まで来て自らの手で叩き壊してしまった。

赤い口紅を塗った唇の表面がはらはらと落ちていく。
──赤は大切な色だったのに。嘗て生きていた祖母が手を爛れさせながら、誰にも真似できない漆塗りを施していた色。
同じ色をした瞳が人を呪ったのだ。彼女の様になりたかったのに──この手で誰かを、誰かが望んだ姿にしたかった筈なのに！

自分の欠片と一緒に水が滴り落ちていくのが見えた。涙だった。
泣く事なんて何年もしていなかった。涙なんて見せられないと思って……、……いつからそう思っていたのだろう。
上手く思い出せない。









「────は、」

「は……っはははは……── そうよ。そうだわ。アタシの異能力は他人を支配するんだから。
　アタシは……──アタシは弱くなんてない。もう二度と可哀想だなんて言わせない！！」



空虚な笑い声。
築き上げた精神力が崩れた今、もう失うものは何も無いとばかりに彼の価値観は反転する。
愛に狂わせる魔眼の異能を授かったのにわざわざ自分で抑えていたなんて。
弱く醜い生き物とどうして同じ土俵に立たなくてはならない？

その発想が【否定】への片道切符である事を、もう彼は憶えていない。
反転した思考は坂道を転がり落ちていく。割り切ってしまえば今やこの異能を自制する枷は何も無い。
自分の思い通りに使えばいい──いつの間にか母の声は聞こえなくなっていた。

「──みんな、」


「みんな────誰も彼も醜くなってしまえ！！」



























《──失礼、ツバキ様。後で怒らないで下さいね》







その場に似つかわしく無い可憐な声が響いた。
直後──彼の頬はねこの肉球パンチを受ける事となる。

ENo.548 葵 とのやりとり


ENo.631 ＊＊＊ とのやりとり

ItemNo.40 オレンジソースのミートボール を食べました！
　体調が 0 回復！（30⇒30）
　今回の全戦闘において 迫撃21 閃撃24 深手28 が発揮されます。自身の従者にも発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

守護者の姿が消え去った――

　

　

六角形の柱から天に向け、赤色の光柱が立つ。

どうやら次元タクシーで行けるようになったようだ。

領域LV を 5 UP！（LV35⇒40、-5CP）
付加LV を 5 UP！（LV71⇒76、-5CP）

相牙(85) の持つ ItemNo.46 小さな灯火 から魔晶『灯晶の指輪』を作製しました！

相牙(85) により ItemNo.43 橙色の果実 から賄飯『帆立のオレンジマリネ』をつくってもらいました！
　⇒ 帆立のオレンジマリネ／賄飯：強さ360／［効果1］迫撃21 ［効果2］閃撃24 ［効果3］深手28

つむじ(880) により ItemNo.15 紫色の果実 から魔香『ブルーベリージャム』をつくってもらいました！
　⇒ 美酒佳肴！［ 5 1 5 = 11 ］成功！料理の付加効果のLVが増加！
　⇒ ブルーベリージャム／魔香：強さ196／［効果1］－ ［効果2］－ ［効果3］防御54

ItemNo.39 螺鈿細工の手鏡 に ItemNo.21 小さな灯火+1 を付加しました！
　⇒ 螺鈿細工の手鏡／御守：強さ272／［効果1］体力50 ［効果2］奪命25 ［効果3］冥加38

つむじ(880) の持つ ItemNo.45 熟練のたこピック に ItemNo.21 楠 を付加しようとしましたが、LVが足りないようです。

悠吏(526) とカードを交換しました！

幸福四叶草 （ディーヴァ）


クリエイト：キャノン を研究しました！（深度0⇒1）
クリエイト：キャノン を研究しました！（深度1⇒2）
クリエイト：キャノン を研究しました！（深度2⇒3）

領域残滓 を習得！
サモン：ケツァルコアトル を習得！
絶対領域 を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

ツバキ(805) は 雪兎 を入手！

次元タクシーに乗り マシカ区 J-8：チェックポイント《黒い渦》 に転送されました！


マシカ区 I-8（森林）に移動！（体調30⇒29）
マシカ区 H-8（道路）に移動！（体調29⇒28）
マシカ区 G-8（道路）に移動！（体調28⇒27）
マシカ区 F-8（道路）に移動！（体調27⇒26）
マシカ区 F-9（山岳）に移動！（体調26⇒25）

採集はできませんでした。
　　 - ツバキ(805) の選択は マシカ区 J-8：チェックポイント《黒い渦》（ベースキャンプ外のため無効）

［805 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［436 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［482 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［204 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［402 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［328 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［265 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［194 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［118 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［143 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［149 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［311 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［47 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［224 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光
［94 / 300］ ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
［108 / 200］ ―― 《図書館》蜂のように刺し
［104 / 200］ ―― 《赤い灯火》蟻のように喰う
［46 / 200］ ―― 《本の壁》荒れ狂う領域
［84 / 100］ ―― 《珈琲店》反転攻勢
［100 / 100］ ―― 《屋台》更なる加護
［75 / 100］ ―― 《苺畑》不安定性
［13 / 100］ ―― 《荒波》強き壁
［100 / 100］ ―― 《小集落》猛襲
［37 / 100］ ―― 《落書き壁》リアクト
［76 / 100］ ―― 《変な像》揺らぎ
［71 / 100］ ―― 《白い渦》不幸
［100 / 100］ ―― 《黒い渦》不運
［15 / 100］ ―― 《線路》駆逐



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　

時計台が映る。

　

　

　

秒針が静かに進む。