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死霊というものは、とにかく弱い。

肉体は霊魂の枷となる一方で、護りでもある。
体を持たない剥き出しの魂は、その場の影響を強く受ける。
善いものなら良かったが、悪いもの──怨み辛みには、至極囚われやすかった。
地縛霊になるならましな方。怨念に晒され続け続ければ、自らが悪霊になることさえある。
人の居つかないアパート、事故の続く踏切に、自殺の名所となった崖。
すべて、故のない事ではない。

逆に、生物に影響を齎すことは、それはそれは難しかった。
死霊の存在を感じる者は限られる。
幼い子供や野生の動物などの、勘の鋭いもの──でなければ、特殊な修行を積んだ人間にしか、
その場にいる死霊を感知することはできない。
加えて、意思疎通となれば、余程の修行を積んでも難しいのが現実だった。

死霊は弱い。
だが、それでも、誰に知られなかったとしても、その声が通じなくとも、存在は消えない。


大八洲において、死者の御霊は、穢れや未練が失せたあと、根之堅洲國に流れ着く。
それが在るべき流れで、自然の摂理であった。
だが、ハザマにおいては、この流れ自体が、うまく機能していなかった。
死んで尚、世界の壁は越えられない。
行くべき場所に向かう事もできず、祖先の霊だとか、神族やその眷属に手を引かれる事もない。

つまるところ。
形代という体を失い、清の保護を失っても、
深谷は、まだハザマの地に存在していた。

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深谷がアンジニティにいた頃。

死鬼となった深谷が最初に持ったのは、後悔だった。
神に仕えた者として、妖怪を祓う者として、自らが妖怪になり果てるなど、屈辱以外の何物でもない。
それも、自ら教え導いた弟子に、その心情を無視した結果でと思えば、どこまでも苦しかった。
既に死んだ身なれば、激情に駆られて暴れ、それを慰めとすることもできない。
悔やんでも悔やんでも、広がるのは不毛の大地ばかり。
妖怪に近付き、自我を失いかけた清とは会話もままならないし、
清を責めても何にもならないことが、深谷には理解できてしまう。
時は戻せない。死者が生き返れないのと同じく、当たり前のことだった。

自力で大八洲に戻ることもできず、清共々、全てを終わりにする踏ん切りもつかず
清に逆らう事もできないまま、とにかくも清を守り、生き延びさせた。
他の罪人や、アンジニティの厳しい気候に負けぬよう過ごしながら
死鬼としての自己を知り、清について知ろうと努めていた。


正しい残り時間もわからない。
終わりの見えない彷徨の中、ある時、突然に、深谷は気づいた。

確か、清に逆らってみようと思ったのだ。
言語による命令がなくとも、深谷には、清の思惑に反する行動はできない。
清から離れれば、清の傍に戻らなくてはならないという気になったし、
清が動こうとしない時、それでも危険な罪人が近くにいるなどで清を動かそうとすれば、
ひどく億劫に感じた。
それは使役されている以上、当たり前のことだ。

だからどの程度逆らうことができるのか、試してみようと思ったのだ。


動こうとしない清の手を掴み、強く引く。
意味のない事をやめるべきだと、清に逆らうべきではないと、思考が変えられるのに抵抗し、
そのまま引き続けようとした。

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「……お」

結果。清の方が根負けした。
立ち上がって、のろのろと深谷の引くままに歩き始めたのだ。

@@/31/
「…………」
@@/48/
「……もしかして」

気付いてみれば何ということもない、細く幽かな、しかし光明だった。
清の支配は、非常に弱かったのだ。
深谷が想像していたよりもずっと。

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清が深谷を死鬼としたのは、式神を使役する術の応用だ。
使役術の要点、その中でも最も大切な原則を、清は守れていなかった。

名前。

清は死霊となった深谷に、『三劔司』と名をつけた。
三劔司、瀬古の深谷。どちらも深谷の本名で、清もそれを認識していた。
既に持っている名を、改めて付けてしまったのだ。
これでは、完全な使役などできない。

首輪は確かに繋がれ、手綱も清に繋がっている。自力で破ることは不可能だった。
だが、もう一押し。支配を緩める決め手があれば、深谷は清に勝ち、自由になれる。




人の心を忘れたせいか、清は半妖とも言うべき状態で安定していた。
近くに、清に影響を与える妖怪がいなかったのも大きいし
深谷が近くにいることが、良い影響を与えたのかもしれない。
これを、もう少し妖に傾けるだけでいい。




格の勝るものは、使役できない。
妖怪になり始めているとはいえ、清は人間。
だから、死霊の妖怪の混ざり物である深谷を使役できている。
だが、妖怪になってしまえば、深谷を支配下にはおけない。
そして、禰宜としての神力さえ使えれば、妖怪となった清を、浄めることができる。

もちろん、課題はいくつもあった。
自由となって、清に支配されることがなくなっても、即座に清に影響を受け、諸共妖怪になっては意味がない。
また、人の心を失った清を妖怪にするのは、非常に難しいことだった。

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(だが、道筋は見えた。)

自分の死後に残るものが欲しかったし、それは、清であってほしかった。
退魔師としての後継を作り、一人で生きていく力をつけさせれば、自分の人生は報われると考えていた。
アンジニティで暮らす内、そういった雑念は失せて、最も大切な望みが形になる。

@@/106/
(ただ清が、大八洲で生きているだけでいい。)

自分の代わりとも、生の延長とも少し違う。
清がどんな存在であっても、それを赦し、生きている事を言祝ごう。
深谷の神が万人の健康長寿を望むように、深谷は、清の生を望む。
孤独と絶望より生じた穢れを取り払い、日の元に帰すことができれば
まだ望みはあると、生者の可能性を、深谷は信じる。

深谷はその信念に賭けて、清を人に戻し、大八洲に帰すと誓いを立てた。

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そして話は、ハザマへと戻る。

侵略戦争に招かれたことで、深谷の計画は大きく前進した。
人としての情緒を取り戻した清は、深谷の一言一言に傷つき、穢れを深めてくれたし
無数の式神を行使することもまた、清の妖怪化を手伝った。
深谷はわざと清を追い詰め、脅威を感じさせ、手に余る術を使い続けるよう導いた。

清は深谷の思惑通りに苦しみ抜いて、身の内に穢れを溜め込んだ。
イバラシティでの記憶が清を人たらしめて、穢れが清を妖怪に近付ける。
そして天秤は、今、深谷の望んだ方に傾いた。

今や深谷は自由だ。
体を声を、肌も呼吸も、人としての全てを失いながら、
今こそ深谷は、己の目的の為に、動き出すことができる。

ENo.620 トバルカイン とのやりとり


ENo.631 ＊＊＊ とのやりとり

ItemNo.15 ローストなぞにくサンド を食べました！
　体調が 1 回復！（21⇒22）
　今回の全戦闘において 攻撃30 防御30 増幅30 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

時空LV を 10 UP！（LV20⇒30、-10CP）
付加LV を 10 UP！（LV51⇒61、-10CP）

イツ(990) とカードを交換しました！

世界の欠片 （ブレイドフォーム）


ラプチャー を習得！
ガスト を習得！
パーシステンス を習得！
クリエイト：タービュランス を習得！
ファントムシーフ を習得！
風霊力 を習得！
プレゲトン を習得！
キュアサイクロン を習得！
サモン：ジン を習得！
鏡花風月 を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

不浄の滝(158) は 天青石 を入手！
不浄の滝(158) は 強い牙 を入手！

アライ区 K-18（山岳）に移動！（体調22⇒21）
アライ区 K-19（沼地）に移動！（体調21⇒20）
アライ区 K-20（沼地）に移動！（体調20⇒19）
タニモリ区 K-1（沼地）に移動！（体調19⇒18）
タニモリ区 K-2（沼地）に移動！（体調18⇒17）

［817 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［442 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［479 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［200 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［408 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［327 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［265 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［192 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［111 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［145 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［145 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［304 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［41 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［208 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光
［92 / 300］ ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
［104 / 200］ ―― 《図書館》蜂のように刺し
［96 / 200］ ―― 《赤い灯火》蟻のように喰う
［46 / 200］ ―― 《本の壁》荒れ狂う領域
［80 / 100］ ―― 《珈琲店》反転攻勢
［100 / 100］ ―― 《屋台》更なる加護
［62 / 100］ ―― 《苺畑》不安定性
［9 / 100］ ―― 《荒波》強き壁
［100 / 100］ ―― 《小集落》猛襲
［24 / 100］ ―― 《落書き壁》リアクト
［45 / 100］ ―― 《変な像》揺らぎ
［2 / 100］ ―― 《白い渦》不幸
［88 / 100］ ―― 《黒い渦》不運



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　

ザザッ――

　








少女がつぶやく。

　

　

　





雑音で声がかき消える。

　

　

　





　

　

　




　

　

　

チャットが閉じられる――