
「――師匠との出会いはそんな感じだな。
本当に無茶苦茶強い。
技量と経験の差といわれれば、
それはそうなのだろうが、
やはりちょっと自身をなくす程度には、な。」
「割と物語やお話だと、
そういう具合に技とか、
経験の差で出し抜いたり、
力だけの相手を圧倒するのは普通にあることだけど……」
そんなにも違うのかな?
なんて首をかしげる葵に対して、
思わず映美莉は苦笑しながら、
「まぁ、確かによくあることではあるし、
不可能ではないが……
とちらも圧倒的に劣ってるとはいえ、
それでもなお押し切れるだけの力があるとはおもっっていたからな。
自信過剰といわれればそれまでだが、
それでもなお、
自負とかプライドといったものが、
多少はぽっきりいくものさ。」
やれやれまいったねとばかりに肩をすくめる映美莉。
そんな様子によっぽどこらえたんだろうなと、
ちょっと同情交じりに葵は微笑みつつ――
「でも、得ることは多かったみたいだし、
まだまだ時間はたっぷりあるし、
そのうち勝てるようになるから焦る必要もないと思うし、
そんなこといって、
本気でやれば勝てる算段とか、
手段とかいくつかもってそうな気がするんだけど……」
実のところどうかと聞かれれば、
ひょっとしたらという手段はあるといえば、
ある。
通じるかどうかは別だし、
それに……
「なりふり構わずに殺しにいくとかならワンチャンスはあるが、
そこまでして戦うべきではないからなぁ。。。
それに、師匠の技と自分の能力を組み合わせたり、
新しい発想があれば、
さほど危険なもの以外……
つまりは我のほうで加減できるものを除けば、
大体先に師匠に見せることにしている。
明らかにオーバーキルなものになってしまっては、
さすがに人に使うのはまずいし、
それを使えるものに落とし込むにしても、
やはり師匠のアドバイスしほしいからな。
それでどうにかなるようなものならともかく、
どうにもならないものは、
さすがに使えない。」
必要があればそれでも使わなければならないのだろうが、
そんな必要性がある状況には遭遇したくないというか、
その前にどうにかしたいものだ、と、
ちょっと憂鬱になりながら少しため息を吐く映美莉。
そんな様子をみて、葵は少し心配そうに、
「えっ……と、
そんなにまずい技なの……かな……?
こう、きちんと、
人に対して使っていい技なのかどうか、
どうすれば使っても問題ないようにできるのか、
いろいろ試行錯誤したりするのはいいけれど、
どうにもならない技って……」
「使えば生半可な相手なら木っ端になるような、
なんだろうな。
鉄砲で獲物を打ち落とす狩りで、
バズーカ砲をぶっぱなすような技というか……
どうあがいても火力過多の技ができてしまうこともあることでな……
さらに言えば、
それを実戦レベルで使えるかというと、
なかなか難しい。
どうしても、思いつきでやってみたらたできた代物だし、
溜めや動作に関しても考慮してない部分もあるからな。
いわゆるできそうだからやったけど、大惨事だった……
というやつだ。」
そうして思いつきで出来ること自体はすごくはあるが、
結局のところ、
能力によって無理矢理形にしたような代物だ。
使い勝手がいいかどうかに関しては形になった時点では考慮外だし、
それは昇華できるものかに関しては完全な未知数である。
そして無駄を削ぎ落し形にした結果、
威力が跳ね上がることもあるわけで……
つまりはそういうことである。
「それは……
人に向けて使ってはいけないやつ……
うん。やりすぎはよくないし、
そんなの初見で万が一が起きたら目も当てられないよね……」
神妙な様子でうなずく葵に、
映美莉は苦笑しつつ、
「そして、万が一すら起きない技なら、
あっという間に対処されて、
確実に負けるな。
明らかな小技とかであれば組み込みやすいから、
たまに使ってたりはするが。
割合使い勝手はいいし、
万一の事故の可能性も少ないからな。
実戦で鍛え上げれば、
それだけで頼もしい技に早変わりだしな。」
ちょっと自慢気になる。
自慢気になったおかげで機嫌がよくなったのか、
苦笑から少し緩んだ笑顔へ表情をかえる映美莉に、
なんだかほっとしたように葵はクスっと笑った。
「なんだかんだで、
いろいろ新しい発見もしてるし、
成長してるのは確かみたいで何より。
で、ええと、それで……
結局、今、道場の方って人はきてるの?」
ついでとばかりに話の矛先を変えて、
道場そのものについて聞いてみることにした葵。
その質問に対しての映美莉の返答は……
「そうだな。
我がいったあたりでは、
そこまでではないな。
先輩の方くらいで、
子供もなぁ。
最初のうちは一度きたら二度こない感じのをみかけて、
これはいけないということで、
師匠の孫と我が一肌脱いで、
今ではそれなりといったところか。
日曜日の1,2時間くらいやって、
日によってはそのあと遊んだり、食事会をしたりといった具合だな。
なかなか楽しいぞ?」
あの時は苦労したなというかのように、
懐かしみながらも微笑む映美莉に対し、葵は……
「それは楽しそうだけど、
一体どんなことしたの?
それに、なんていうか……
稽古よりも、
そのあとがメインになってそうな気がするんだけど……」
大丈夫?と首をかしげた。
多少心配になってしまっても仕方のないことだろう。
「まぁ、実際のところそうだからな。
どちらかというと、小さい子供が多い。
ファンシーなチラシで来る人間は大体そうだ。
問題は、
なんていうか、師匠の風格が怖くてな。
指導自体は丁寧なんだが、
怯えさせてしまう。
なので、まぁ、我とお孫さんが指導補佐する感じだな。
たまに他のお弟子さんが手伝ってくれる。
それで、継続は力というし、
また来たくなるような企画ということで、
お遊戯会みたいなのとか、
皆でおいしいカレーを食べたらいいのではないかと、
あれやこれやして現在に至る……
といったところか。
そうやって、気を許して長く付き合えば、
師匠の怖さも薄れていい人だと子供も認識してくれるから、
一石二鳥。
ま、さすがに大きな食事会とかするとお金がかかるから、
毎回というわけにはいかないけど、な。」
まぁ、それでもやりようはあるものさと映美莉は笑う。
「いいなぁ、楽しそうだなぁ。
それに参加したりは……」
できない?と首をかしげる葵に対して、
映美莉が出した回答はシンプルなものだった。
「できるぞ。
習い事にくればいい。
食事会の時は大体、
こういう感じのをするから、
保護者の方にいうなり伝えてもらって持ち寄りを頼んだりするな。
中には手伝いをしてくれる保護者の方もいる。
葵にもできれば手伝ってもらえれば助かるなとは思っている。
それにまぁ、護身術を覚えるならきっちり学べば、
しっかりしたものも身につくからな。
月謝とかはそこまで高くない。
チラシが……うん。これだな。」
あまりにも当たり前の答えである。
そして、差し出されたチラシを受け取ると、
少し葵は悩んで……
「今月はちょっとピンチなんだよね。
いえ、これくらいなら問題なく出せるけど、
少し考えさせてもらおうかな……
うん。
それにしても、確かにこれじゃ小さい子ばっかりになりそう。
お手伝いもそれはそれで楽しそうだし、
特に気にはしないかな。
うーん……
来月からは必ず?」
などとかわいく首をかしげながら、
ダメかな?と問うかのように映美莉をじっと見る葵。
「ありがたい話だな。
別に慌てる話でもなし。
自分のいいタイミングでいいと思う。
ただ、忘れないようにな。
といったところかな。
そして、我がありがとうというのが正しい。
ありがとう葵。実に助かる。」
それに対してにっこり笑顔で礼をいう映美莉。
葵はなんだか照れ臭くなったのか、
少し顔を赤くして視線をそらし、
「そういえば、
ほかにもお弟子さんいるんだよね。
いったいどんな人なのかな?
そんなに数は多くないんだよね?」
誤魔化すかのようにそういって話をそらした。
「ん。そうだな。
まぁ、今も道場に来ることがあるのはってだけかもしれないが、
女性が二人に男性が一人だったか。
それなりにいい年の人だな。
見た目も一人を除いて年相応だ。」
「一人を除いて?」
特に追及する気はなかったらしく、
しっかりと返答をする映美莉の言葉に、
何か変な言葉を聞いた気がして問いかける。
「まぁ、なにがしかの能力なのだろうが、
師匠と同じくらいの年、あるいはそれ以上だというのに、
私達とそうかわらない年の見た目をした女性が一人いる。
キレイな美人だが、
ダメだな。年齢がどうとかではなく、
なんていうか、師匠と距離が近すぎるというか、
多分一回ふられてはいるのだろうけど、
あきらめてないって奴だな。
腕前自体は大したものというか、
師匠にも負けないくらいだし、
面倒見はいいからな。
子供達とも仲良くやっている。」
「それはなんというか……
……
反応に困る人だね。
ほかの二人は……?」
あまり深く考えないほうがよさそうだと判断したのか、
続きを促す葵に映美莉は一つ頷き、
「女性のもう片方は初老の女性だな。
結構いいところのお嬢様だったらしく、
茶道、華道、書道いわゆる三道の段持ちで、
上品な女性だ。
その分やはり、何か武も嗜み身を守るのに最適と思ったんだろうな。
かなりの腕前だぞ。
さすがに我と戦うにはそこまで強い異能をもってるわけじゃないらしく、
無理だろうとのことだが、
生半可な相手なら相手にならないだろうな。
で、最後の男性は、
警察の人だな。
結構ガタイが大きく、
強面だ。
昔はヤンチャしてたらしい。
まぁ、二人とも子供とはあまり関わり合いはないな。
タイミングが合わないのも大きいが、
気を使っている面もあるのかもしれない。」
「思った以上に普通な感じ……
以外ではないのかな?」
そして、今日もまた一日が過ぎてゆく、
こうした他愛のない話の彩として、
師匠に関する話がでたのは、
ちょっぴり誇らしい気持ちになるものだなんて映美莉は思いつつ、
彼女は忘れていた。
この後、そんな余韻を吹き飛ばすような厳しい修行がある事を。
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えみりん 「こんなにも時間があけば、日記など余裕……」 |
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えみりん 「もうなにも怖くない、そんな風に思った時期もありました。」 |
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えみりん 「でも、そんなことはなかったぜ!」 |
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えみりん 「……」 |
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えみりん 「え、ちょっとまって、なんでチキレってるの我。」 |
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えみりん 「おかしい。おかしくない?おかしいでしょこんなの。」 |
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えみりん 「……」 |
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えみりん 「まぁ、俗にいう、時間余らせすぎて後回しにし続けた結果なわけだが、」 |
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えみりん 「期間が短いのは論外としても、期間が長ければ長いで、やはり時間がたりないな。」 |
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えみりん 「最大の問題はモチベと記憶だなぁ。」 |
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えみりん 「まぁ、自己管理してればいいって話なんだけどな!」 |
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えみりん 「自己管理能力低いんだよぁ……ぐぬぬ。」 |
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えみりん 「さて、無事日記がかきあげられているといいのだが……」 |
 |
えみりん 「……」 |
 |
えみりん 「我ながら不安しかねぇ!あ、ちなみにいつも後書きからかいてます。はい。」 |
 |
えみりん 「先に後書きかいた方が文字調整しやすいからしかたないね。」 |
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えみりん 「これ逆だと、後書きこんなに大量に書かないとだめなの?大丈夫?」 |
 |
えみりん 「しかし、この形式だと、文字数の調整がしやすい!気がするのだ!」 |
 |
えみりん 「……」 |
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えみりん 「ま、書きたいネタがぱっと浮かべばこういう事もないのだろうがね。」 |
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えみりん 「世知辛い……」 |
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えみりん 「と、いうわけで今回もここまで読んでいただきありがとうございました。」 |
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えみりん 「運がよければ次回また会おう!」 |
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えみりん 「モチベ切れないといいが難しいな。」 |

[861 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[443 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[500 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[192 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[393 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
[295 / 500] ―― 《商店街》より安定な戦型
[214 / 500] ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
[150 / 500] ―― 《古寺》戦型不利の緩和
[72 / 500] ―― 《堤防》顕著な変化
[131 / 400] ―― 《駅舎》追尾撃破
[5 / 5] ―― 《美術館》異能増幅
[121 / 1000] ―― 《沼沢》いいものみっけ
[100 / 100] ―― 《道の駅》新商品入荷
[151 / 400] ―― 《果物屋》敢闘
[12 / 400] ―― 《黒い水》影響力奪取
[46 / 400] ―― 《源泉》鋭い眼光
[3 / 300] ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
―― Cross+Roseに映し出される。
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ノウレット 「呼ばれなくても出てきちゃう☆ノウレッ――」 |
ノウレット
ショートの金髪に橙色の瞳の少女。
ボクシンググローブを付け、カンガルー風の仮装をしている。やたらと動き、やたらと騒ぐ。
 |
ノウレット 「・・・・・・・・・」 |
 |
ノウレット 「え、誰もいない! ・・・・・何か落ちてます。・・・・・・・・・紙切れ?」 |
紙切れ
 |
ノウレット 「・・・えっとぉ・・・・・」 |
 |
《 サボってみます。 案内役一同 》 |
 |
ノウレット 「・・・・・・・・・・・・」 |
 |
ノウレット 「えええぇぇぇぇ・・・・・・・・・」 |
チャットが閉じられる――