［基本］OK.　［戦闘］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

今年もこの時期がやってきた。
地を焼き、空を焼き、身を焼いた太陽が少しだけ衰え、
夜の風をその手から手放し、少しだけ熱波の勢力図が縮小される。
夏の終わり、秋の始まり。
その境に存在する、私の生まれた日。

───

……まあ、今更誕生日をはしゃぐ歳でもないのだが、
それどころかむしろ、この歳になるとまた一つ歳を重ねてしまったという恐怖の方が大きい。
……はしゃぐ歳でないのならせめてこの一年の身の在り方と、これからの数年を考えるいい機会だと考えるのは悪くないのではなかろうか
いや、止めよう。ドツボにはまりそうだ、それならむしろ何かおいしいものでも食べに行って自分を鼓舞した方が幾らか建設的だ。
建設的な提案が脳内で可決になり、落ち込みかけた気分を持ち直したところで、職場のドアノブを開く。
訳あって職場に住むことになった助手が空調を常時稼働しているため、暑さとは無縁の職場だ。
……通勤時の熱波と無縁なのは少しだけ羨ましく思う。

───

「というわけでですよ。思えばあの日、僕の運勢は十二位だったんです。今日はハッピーデーなので一位でした。ラッキーアイテムは情報」
「情報って……それはアイテムなのかしら」

小首を傾げて考える。使いようが大事という点で、情報はアイテムなのかもしれない。
占いやオカルトを信じる方ではないが、それでも一言申したくなる結果の出方だ。

「ちなみにクーラー壊れた日の占いは””機械に注意””、ラッキーアイテムは””命””でした」
「どんな占いなのよ」

つくづく変な占いだ。しかし、あの日は記録的に暑かったことを考えると占いコーナーなりの熱中症への注意喚起だったのかも、占いの結果を見て空調の設定温度を見直すなどして、命が救われた人が居るのかもしれない。
……いやその場合はラッキーアイテムはエアコンと断言した方が良いのではなかろうか。

「十二ですからね。星の方のやつです」
「それにしても意外……と言ったら失礼かしら。あなたてっきりそういうの興味ないと思っていたけれど」
「元々運ゲー大好きなんですよね。ほら、おみくじとか」
「ああ……なるほどね」

言われてみて、彼の好みの遊戯には一貫性があると気づく。例えば、アナログゲームにも運の要素が大いに絡むものがある。
こいこいなど典型だろう、……熟練者からしたら運要素は薄いのかもしれないが。少なくとも我々程度では運に左右される遊びの域を出ないはずだ。

「どうですか？　笹子さんも一つ。二黒土星ですか？」
「どうって言われても。あなたが占ってくれるの？」
「いいえ。でもそう思ってくれてもいいですよ」
「そう思ってくれたくないって言ったらどうする？」
「新聞を持ってきます」
「自分で見ろって？　……まあいいわ。誕生日を言えばいいのよね──笑わない？」
「いや、笑いませんよ。誕生日聞いて笑うことないですよ。もしそんな奴がいるなら僕が破壊してやりますよ」

きっと彼は本当に笑わないだろう、だが、……正直この誕生日に良い思い出があまりないのも事実だ。
……まあ言って、損するでもない、誤魔化すのも不自然だ。ここはサラッと伝えよう。

「八月三十一日よ」
「え？」
「誕生日。八月の三十一日……夏休みの終わりの日。何か言いたいことがあるなら聞くわよ」

やはりそういう反応が返ってくる。まあ今までもそうだったし、あまり気にはならないが。
幼いときから夏休みの友に誕生会を潰されたり、夏休み最後の日であることで私が夏休みを終わらせるかのような扱いを受けたりと、あまりにも良い思い出がないのは間違いない。

「あ、いやいや。そういう意味ではないんですよ。いや、あの……思ったより近いな、と思って」

そう、近いのだ。夏の終わりが。

「ごほん。ええと。ラッキーアイテムは──」

────

という回想を挟みつつ、それから数日が経過したある日のこと。
彼女、茅芽笹子は自らの手で自らの誕生日をささやかに祝う店を探していた。
だが、ふと、思う。よもや誕生日、祝われるのではなかろうか、と。
いや、自惚れなのはわかっている。過度な期待は禁物だ。だが……。
……店選びを続ける。
簡単なことだ。候補を二つ、最初から二つ用意すればいい。
自分一人で行く用のいつもの隠れ家と、……もし万が一祝われるようなことがあれば、食事を提案する用の店と、だ。
……そんなことを考えながら店を探すうちに、ふと思う。

（……何に言い訳して、何に備えてるのかしら私。）

思えばあの冬にこの街で支所を立ち上げて、
そこから日常の節目は、助手である彼と過ごすのが当たり前になっていたように感じる。
ならば今回のこの日も──

（ふふっ、弱くなったものね。私）

自嘲気味にそう思い、店探しを止め。床に就く。
余計なことをあれこれ考えているつもりであったが、睡魔はすぐに訪れた。

────

「というわけでですね。笹子さん、おめでとうございます」

不意打ちで、真正面から、何の小細工もなく祝福の言葉を受ける。
昨晩、寝る間際に眠たい目をこすりながらウダウダと考えていたことは一体何だったのか。
全て吹き飛ばされた。思わず笑ってしまうほどに、全て、だ。

「あなたそろそろその”というわけで”で突然話題を変えるやつ、卒業した方がいいと思うわよ」
「う、手厳しいですね。しかしこれは僕の専売特許なので今後もやっていくつもりですが……」

なんだか、少し悔しくて言葉尻を取って転がしてみる。
少し極まりが悪そうに目が泳いだところを見るに一定の効果はあったらしい。
ならば、わざとらしく一応訪ねてみよう。

「それで、何がおめでとうなのかしら？」
「そりゃもう、この時期と言えば一つっきゃないじゃないですか」

わかっている。当然だ。
だって──

「うちの父の快気祝い？」
「え、そうなんですか？　いや、そうだとしても今回は大変申し訳ないんですがそっちじゃないんですよ。それはそれでめでたいことではあるのですが」
「冗談よ。ごめんなさい、あんまり意気込んでるものだからちょっと茶化したくなっちゃって」

──小躍りしたくなるほどうれしいのだから。

「そりゃないですよ──ええと、では改めまして……笹子さん、お誕生日おめでとうございます」
「あら、ありがとう……。そうね、もうめでたい日だと扱ってくれる人も少なくなってるから、うん。本当にうれしいわ。」
「それで、プレゼントなんですが……」
「……わざわざ用意してくれたの？本当に？」

冷蔵庫から小箱が取り出される。恭しく机に運ばれたそれが、此方に中身が見えるような位置取りで開かれる。
あぁもう、つくづく、なんで周到なのよ。思わず、自然に、笑ってしまう。

「まずはお祝いのケーキです。ホールってのはちょっときついと思ったので、良さそうな奴を一切れずついくつか選んできました」

ホールケーキがきついというのには大いに同意できる。
そして選ばれたケーキは……なるほど、……成程。
パッと見でケーキは四つ、つまりは互いに一つずつ取っていく形式を提案されるだろう。
どれも、良い。ここから好みの物を一つずつ選び取っていくのは、なかなか楽しそうだ。

「どれでも好きなものをどうぞ……と、これがまず一つ目」
「一つ目？」
「ええ。正直に言うと、僕の力不足で全然答えにたどり着けなかったんです。誕生日という節目のタイミングに、笹子さんに何をプレゼントするのか……だからいくつか用意してみました」

待って。待って欲しい。脳が追い付かない。
ケーキだけで十分だと感じたのだが、まだ何かあるというのか。
ごそごそと机から何かを取り出す。そして机に置かれたものは。
──お煎餅だ！

「二つ目はこれです。甘い物の後には最適な醤油せんべい。塩分補給も大事な時期だなと思って」

「どっかずれてる気がしない？」

緩急の付け方と言えばいいのだろうか。
こう、何というか……気が付くとすっかり相手にペースに乗せられている気がする。
……全く悪い気はしない、多分心から祝福してくれているのがわかる。

「そしてこれが三つ目。大本命です……よいしょ、と」

薄い不織布に包まれ、リボンで封がなされた、いかにもプレゼント然とした包みが取り出される。
緩急の付け方が、つくづくズルいなと思う。さて、箱のサイズ等から、中身の予測が立たないが……。

「成程」

何もわかっていないが一先ずわかったようなことを口にして。

「……これは……あれよね。……この場で開けてみても？」
「ええ、どうぞ。そのための奴ですよ」

全く中身が読めない箱を手に取る。
そこそこの重量があり、包装もしっかりしている。
いや、迷っていても中身はわからないだろう、リボンに手をかけ解き、袋を開く。

「これは……これは？」

白い紙箱に入った……一冊の本。予想外の物が出てきた。これは、あれだ。
思わず助手の顔を見る。ゆっくりと頷く彼の顔は、謎の自信に満ちていて。

「カタログギフト、よね。……これは予想できなかったわね。えぇ、好きよこれ。選ぶの楽しいし」

そう言いながら、カタログを眺め、もう一度助手の顔を見る。

「どうしても、どうしても……何が喜んでもらえるのか、僕には絞れなくて……なら選んでもらえば間違いないと思って……」

ふふっと笑顔がこぼれる。
恐らく、これらの品はあの日誕生日を告げてから、時間のない中急遽用意てくれたものだろう。
日常的に欲しいものがあるといった話もしていなかったし、実際に今現在欲しいものも特にない。
そんな私に、何か贈り物をと考えて、きっとこの本に至っている。
こういう時、素直に喜べたらと思う。どうにもそのあたりがうまく生きられないのだが、
しかしこの数日で、この日のためにそこまで考えてくれた。その事実が何よりもうれしいと感じる。

（自分より自分の誕生日のこと考えてくれる人がいて祝ってもらえるって……久しく忘れていたわね。こんな感じ）

「それにしても……こんなに一杯貰っちゃって良かったの？　なんというか、その、結構かかったんじゃない？」

そう、これだけの品々をもらうだけのことを、彼にした覚えがあまりない。
事務所の立ち上げでは車を手配してもらい、忘年会では酒で大迷惑をかけ、山では体力の枯渇から心配を掛け下山してもらい、そして今に至る。
並べるとつくづくひどい上司だな私は。

「気にしないでください。日頃のお礼も兼ねてますからね。お世話になってますし……命を救っていただいた恩義もありますし」

これまでの自身の悪行を自戒をした直後に日頃のお礼といわれると、うぐっとなるが笑ってごまかす。

「大げさね……クーラー使わせてあげただけじゃない、しかも職場の。でも嬉しいわ。ありがとう」

────

「というわけで、になるわ。今夜、食事にでも行きましょう。」
「さっき、笹子さんそうやって突然話題を変える手法は好ましくないって言ってませんでしたっけ？」
「大丈夫よ。話題、変わってないもの。本来、誕生日だしと私が私を鼓舞するためにちょっといいものでも食べようと思っていたのだけど」

そう言って助手の目を見て、にっこりと微笑み、

「折角だから、一緒に行きましょ？ちょいちょい隠れ家的に使ってたお店だけど、良い部下になら教えちゃっても良いって思えたわ」
「あっ、そんないいお店黙ってたんですか」
「良いじゃない、今日この後わかるんだし。じゃ、予約入れとくわね」
「えぇ、勿論お供しますよ。あ、それならケーキ持ち込んで大丈夫か聞いていただけると、可能ならさっきのを持っていけるかなと」
「良いわね、確認しとくわ。……何食べてもおいしいお店だから、期待していいわよ」
「そんなに？そう断言されると、否が応でも期待しちゃいますね」

そうして彼女たちは職場を後にし食事へ向かう。
一人で行っても自身を鼓舞できる店だ。二人なら、尚の事楽しい時間が過ごせるだろう。
店へ向かう道中の暑さも、日が沈んだ後ならばかなる和らいでいる。
夏の終わり、秋の始まり。
その境目に存在した幸せな誕生日の話。

麺屋の龍人(1595) に ItemNo.19 すごい液体（石） を手渡ししました。

守護者の姿が消え去った――

　

　

六角形の柱から天に向け、赤色の光柱が立つ。

どうやら次元タクシーで行けるようになったようだ。

偽黒初(77) に ItemNo.23 どろどろ を送付しました。

幻術LV を 20 DOWN。（LV20⇒0、+20CP、-20FP）
付加LV を 50 DOWN。（LV50⇒0、+50CP、-50FP）
料理LV を 5 DOWN。（LV40⇒35、+5CP、-5FP）

命術LV を 10 UP！（LV20⇒30、-10CP）
百薬LV を 5 UP！（LV25⇒30、-5CP）
領域LV を 10 UP！（LV20⇒30、-10CP）
防具LV を 30 UP！（LV0⇒30、-30CP）
装飾LV を 30 UP！（LV0⇒30、-30CP）

偽黒初(77) により ItemNo.1 皮 に ItemNo.20 紅小石 を合成してもらい、謎の肉 に変化させました！
　⇒ Which,Yes or No?！［ 1 1 5 = 7 ］不発！
　⇒ 謎の肉／食材：強さ20／［効果1］増幅10(LV5)［効果2］攻撃10(LV15)［効果3］強撃10(LV30)

秀真(636) とカードを交換しました！

応龍詩片 （スヴィニール）


ディメンションブレイク を研究しました！（深度0⇒1）
イディオータ を研究しました！（深度0⇒1）
キュアサイクロン を研究しました！（深度0⇒1）

一望千里 を習得！
アルヒェ を習得！
百孔千瘡 を習得！
☆水霊力 を習得！
☆四百四病 を習得！
☆アジール を習得！
☆応病与薬 を習得！
☆高速治癒 を習得！
☆クラーレ を習得！
☆隔壁作製 を習得！
☆護符作製 を習得！
☆薬箱作製 を習得！
☆初習得ボーナス：各FPが18増加した！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

偽黒初(77) は 看板 を入手！
Dr.笹子(831) は 欠けた刃 を入手！
麺屋の龍人(1595) は 欠けた刃 を入手！
麺屋の龍人(1595) は 爪 を入手！
麺屋の龍人(1595) は 鉄板 を入手！
Dr.笹子(831) は 鉄くず を入手！
Dr.笹子(831) は 不思議な粉 を入手！
麺屋の龍人(1595) は 不思議な粉 を入手！
Dr.笹子(831) は 不思議な粉 を入手！

現在のパーティから離脱しました！

チナミ区 D-2（ベースキャンプ）に戻りました！
チナミ区 D-2（ベースキャンプ）に戻りました！
チナミ区 D-2（ベースキャンプ）に戻りました！
チナミ区 D-2（ベースキャンプ）に戻りました！
チナミ区 D-2（ベースキャンプ）に戻りました！
体調が全回復しました！

『リュウジン区 L-3：チェックポイント《果物屋》』へ採集に向かうことにしました！

［860 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［431 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［492 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［171 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［369 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［274 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［193 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［134 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［47 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［116 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［1 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［24 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［72 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　

　　　ザザッ――

　

　

　

暗い部屋のなか、不気味な仮面が浮かび出る。

　



　





　

女性の声で、何かが語られる。

　

　

　

　

　





　






　

　

　

　

　




　






　





　

　

　

　

　

チャットが閉じられる――