［基本］OK.　［戦闘］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

　その町を選んだのは、美しい山に寄り添っていたからだ。私が愛する神様も、お山が好きな方だった。生命にあふれる森をたたえた大きな山に恵みを分けてもらうようにして薄っすらと栄える町が、私にはよく合っていた。青い空気も、穏やかな人も、何もかもが私には心地よい。ちょうどよく長期の仕事のできる社もあり、私はしばらくのんびりと暮らすつもりでいた。
　過去形なのは、それを壊す者が現れたからだ。


　彼は、数週間前社にやってきた患者の家族の少年だ。私の仕事を見て以来いたく感激したらしく、こうして半ば押しかけてきたのだ。私は弟子にするとは言っていないのだけれど、こうしてすっかり社に居座って私の世話を焼いている。社のほうも稚児見習いのように扱って袴を穿かせてしまうし、追い返そうにも家族のほうも『説き伏せる前に快諾してくれた』とまでは彼の談だ。仕方がないから放っておいているけれど、私としては早めに帰ってほしい。いくら後衛とはいえ安全な仕事とは言い難いし、まともな仕事とも言えない。第一に、私には弟子を取るつもりがないのだ。
　湾曲に伝えたこともあるけれど、遠慮はなしですよ！と言われてしまえばどうにもならない。直接的に言うのは気が引けるし。


　別に他人がいるのはそれでいい。この歳にしては彼はうるさくないほうだと思うし、彼なりに精一杯世話をしてくれているのもよくわかる。でも、私の中ではどうしてもそれとこれとは別になってしまうのだ。呪禁を教えれば、厄や穢れとは無縁ではいられない。まだ純朴な少年に、どうしてそんなことができようか。
　これを彼にしっかりと説いたこともあるけれど、やっぱりというか案の定というか、突っぱねられてしまった。そんなことは怖くないと。あの時の私のように、役に立てるならそれでいいと。
　そんな簡単に、怖くないと言ってしまうのが私には一番怖いのに。

　社には今日も柔らかな山の匂いが漂っている。
　あの方は、お元気だろうか。







　それから数週間経っても、彼は一向に諦める様子を見せなかった。それどころか私が何をするにも付き従い、真似られそうなことは何でもしようとした。それは身を清める禊祓であったり、瞑想であったり、式陣であったり。一度、おどかすような気持ちでわざと寒い日を選んで水垢離をしようとしたが、彼は蒼い顔をしつつも文句も言わずについてきて、明らかに叫び出したいのを抑えているような顔で必死に耐えているほどだった。どうして彼がそこまでするのかわからないけれど、どうにもそれを無理に止めようという気持ちは起こらなかった。己を清めている程度なら、利はあっても害にはならないだろうし、厄に触れることもない。
　けれど彼にはいま一歩実感が足りないようで、毎日不満そうな顔をし続けていた。


　読書中、不意に話しかけてきた彼に顔を上げる。呪禁師という仕事自体が受け身なものであるし、どれだけ禊祓などの準備を重ねてもそれだけでは一日は終わらない。だからどうしても読書や散歩、日記などで時間が過ぎるのを待つほかない。それが彼にはサボっているように見えるのだろうし、実際彼以外の誰にもそう思われがちなのも理解していた。だからといって懇切丁寧にそれを説明する気もなく、患者が来ないことはいいことだとありきたりな言葉で返すしかないのだ。
　彼はいかにも不服そうに唇を尖らせるが、私は無視して再び本に目を落とす。どう言われようと私のスタイルを変えるつもりはないし、それで彼が弟子入りを諦めてくれるならそのほうがいい。こうして患者について話しているからといって都合よく来たりもしないのが現実だ。
　彼が夢見ているような、次々とやってくる困っている人の誰もを助けて感謝されるような、そんな甘い理想はどこにもない。
　私もそのことに気づくのには何年もかかったのだから、まだ若い彼にすぐに気づけるとは思ってはいないけれど。








　真冬の底冷えも和らぎ、小春日和も近そうになってきたある日、出仕の方から声をかけられた。私に割り当てられている部屋にお通しするように頼むと、あからさまに目を輝かせている彼のほうに振り返った。部屋に戻る道すがら、絶対に依頼主やその周りの人に話しかけたり触れたりしないように、そして表情をできるだけ暗くしてときつく言いつけるが、彼はキラキラとした表情で元気よく返事をするばかりだ。いまいち不安が残るが、仕事の全容を見ればきっと呪禁師のことも諦めるだろうと思えば部屋から追い出すつもりにもならなかった。






　憔悴しきった顔で待っていたのは若い女性だった。仕事を引き受けるかどうかは話を聞いてからだと言っても、お願いしますお願いしますとひたすらに頭を下げるばかりだ。よほど身近な人に何かあったのだろうということはわかるが、それにしてもひどい顔をしている。ちらりと部屋の隅のほうを見やれば、彼は一応複雑そうに見える顔をしていた。実際は仕事を間近で見れる嬉しさと目の前に困っている人がいる心苦しさという半々の顔なのだろうけれど、とりあえず依頼主が不快にならなければいいかと放っておくことにした。それよりも問題なのは、その依頼主のほうだ。


　最後はほとんどすすり泣くような声で話す彼女を、自称弟子の彼はどう見ただろうか。最初の表情からすれば、可哀想で母親思いのしとやかな女性、といったところだろうか。もし彼に生まれつき神力が宿っていれば、もっと違うものも見えただろう。
　女性にまとわりつく、厄と穢れの気配を。






　驚いた。そしてよく気がつくものだと苦笑いするしかなかった。
　その依頼主は先程帰ったところで、今は患者の家に向かう準備をしているところだった。依頼を引き受け、来週家に直接伺うと伝えると彼女は少しだけ胸を撫で下ろし、看病があるからとすぐに帰っていった。数枚の御札は持たせたけれど、効果の程は微妙なところだ。どちらかといえば患者の気持ちに効けばいいというものだから、実際の効果はなくとも構わないといえば構わないのだけれど。
　鼻を押さえていたのには理由がある。私は生まれつき、人よりも数倍鼻が利くのだ。それは一般的な、物理的な匂いを嗅ぐ力ではなくて、もっと感覚的なもの――神力とか妖怪の気配や予感、それから空気のようなもの――を鼻で感じるといったものだ。厄や穢れは訓練次第で誰でもある程度は見えるようになるし、それ以外のものは普通もっと肌や第六感で感じるものらしいのだけれど、五感でわかることも稀にあるらしい。だからといって何の役に立つわけでもないのだけれど。
　そんなことを一から十まで説明してもあまり意味がないので、ちょっとねと流しながら必要な器具を選んでいく。 厄や穢れは、罹っている人から近ければ近いほどよく移る。私の感覚で言えばにおい移りのようなものだ。血の繋がっている親子ならなおさらで、あの様子だと臥せっている間はずっと看病しているのだろうから時間の分さらにより濃く移る。それと慣れさえあれば、直接患者を診ずとも何が原因なのか、どういう術が有効なのかも大体はわかるようになる。
　当然だけれどそれが彼にはかなり不思議に映ったようで、あれこれと尋ねてきては首を傾げている。その様が面白いので一つ一つ答えていくと、彼は得心がいったように何度もうなずき、時たま的確な質問までしてくるので余計なことまで色々教えたくなってしまう。確かに彼のような子が弟子になれば教え甲斐がありそうだ。私は取らないけれど。
　ある程度器具をまとめ、部屋の隅に固めておく。大きい器具はかばんには入らないし、車を出してもらうしかないだろう。そうすると……。


　彼もついてくるんだろうな。

ENo.158 不浄の滝 とのやりとり

特に何もしませんでした。

武術LV を 5 DOWN。（LV5⇒0、+5CP、-5FP）
自然LV を 5 DOWN。（LV5⇒0、+5CP、-5FP）
幻術LV を 5 DOWN。（LV5⇒0、+5CP、-5FP）
変化LV を 5 DOWN。（LV5⇒0、+5CP、-5FP）
解析LV を 15 DOWN。（LV15⇒0、+15CP、-15FP）

命術LV を 5 UP！（LV25⇒30、-5CP）
制約LV を 5 UP！（LV2⇒7、-5CP）
響鳴LV を 30 UP！（LV0⇒30、-30CP）
百薬LV を 5 UP！（LV25⇒30、-5CP）

リカルド(28) により ItemNo.20 ビーフ から料理『牛肉の大和煮』をつくってもらいました！
　⇒ 牛肉の大和煮／料理：強さ20／［効果1］活力5 ［効果2］体力5 ［効果3］防御5

ItemNo.3 不思議な装飾 に ItemNo.11 ネジ を付加しました！
　⇒ 不思議な装飾／装飾：強さ10／［効果1］－ ［効果2］舞乱10 ［効果3］－／特殊アイテム

日明と月夜(285) の持つ ItemNo.10 ネジ に ItemNo.23 羽 を付加しようとしましたが、指定アイテムが装備品と素材ではありませんでした。
リカルド(28) の持つ ItemNo.5 風詠の護符 に ItemNo.19 剛毛 を付加しました！

トリィ(47) とカードを交換しました！

【春霞】リナリアの涙 （クライオセラピー）


ヴァンパイアピット を研究しました！（深度0⇒1）
ヴァンパイアピット を研究しました！（深度1⇒2）
ヴァンパイアピット を研究しました！（深度2⇒3）

エチュード を習得！
コールドウェイブ を習得！
アラベスク を習得！
トランス を習得！
ビブラート を習得！
フリーズノート を習得！
エネルジコ を習得！
ヒーリングソング を習得！
アクアレゾナンス を習得！
パーガティブ を習得！
エファヴェセント を習得！
マナ を習得！
アディクティブチューン を習得！
ノクターン を習得！
高山流水 を習得！
サイケデリア を習得！
☆水霊力 を習得！
☆石破天驚 を習得！
☆四百四病 を習得！
☆バルカローレ を習得！
☆応病与薬 を習得！
☆催眠術 を習得！
☆付加強化 を習得！
☆初習得ボーナス：各FPが14増加した！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

リカルド(28) は 月長石 を入手！
八生(271) は 方解石 を入手！
日明と月夜(285) は 月長石 を入手！
冷泉といちか(533) は コベリン を入手！
日明と月夜(285) は 牙 を入手！
リカルド(28) は 毛 を入手！
日明と月夜(285) は 虹色の雫 を入手！
リカルド(28) は 毛 を入手！

日明と月夜(285) に移動を委ねました。

リュウジン区 C-10（山岳）に移動！（体調20⇒19）
リュウジン区 C-11（道路）に移動！（体調19⇒18）
リュウジン区 C-12（山岳）に移動！（体調18⇒17）
リュウジン区 C-13（山岳）に移動！（体調17⇒16）
リュウジン区 C-14（森林）に移動！（体調16⇒15）

MISSION!!
リュウジン区 C-11：リュウジン橋 が発生！
　　 - リカルド(28) が経由した リュウジン区 C-11：リュウジン橋
　　 - 八生(271) が経由した リュウジン区 C-11：リュウジン橋
　　 - 日明と月夜(285) が経由した リュウジン区 C-11：リュウジン橋
　　 - 冷泉といちか(533) が経由した リュウジン区 C-11：リュウジン橋

［860 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［431 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［492 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［171 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［369 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［274 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［193 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［134 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［47 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［116 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［1 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［24 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［72 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　

　　　ザザッ――

　

　

　

暗い部屋のなか、不気味な仮面が浮かび出る。

　



　





　

女性の声で、何かが語られる。

　

　

　

　

　





　






　

　

　

　

　




　






　





　

　

　

　

　

チャットが閉じられる――

大きな川に架かる大きな橋。

川の水は他の地域と比べて綺麗に見える。

　

　

　　　ゴォゥ――

　

　

突風。

　

橋の上の雲が散り、何かが姿を現す･････

　



　

巨大な龍がこちらを睨み、襲いかかるッ！！