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今田 「もう20日かぁ…。」 |
2階の窓枠に座りながら日記を書く。
夏は人が盛り、より水を流し、より熱さを灯す。
同時に同じくらい気持ちが暑く弾けるとも言える。
この短いぐらいこの暑さの中で、多くの人が一日一日を
どれだけ楽しんだだろうか。
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ある前、マシカの図書館『虎魄館』に再び戻った時の事。
燐司書館に借りた本を返しに行った際、ある人物に目が付いた。
エルフの物よりも毛の付いた長耳の青肌。
今でもそうなのか、いやそうだろう。マフラーで口元を隠していた。
燐司書長に幾許の話を済ませた後、彼の下へ。
どうやら名をトリフェーンという、ここの司書長さんとの付き合いは長いらしい。
自力で喋れなく、其れは口に問題があったが、其れは後述。
長年本に纏わる事において戦い続けていた者達らしい。
然し完全に仲間ではなく、彼の信仰する神とで板挟みを喰らっていた様で。
そんな神を気にすることないんじゃないか(実際にはもっと乏した言い方だったが。)
と、申してみた所、少し不敬が過ぎた様で、その言葉を聞いたせいか
彼の呪いが体に影響されていた。此れに関しては悪い事をしてしまったなと。
その彼の信仰心に敬意を表し、その呪いの痛みに対し施しをした。
『私の知るアレ』とは違う世界線のアレの振る舞いは如何にも『ソレ』であって。
私がその成り立ちにどうこう言うつもりもなく、ただただ、
彼の人間性の望むがままを、そう思う。
請け負った本も、そろそろ修理しなければ。
此れまで依頼を貰った本の中では最も難易度が高いから、やりがいがあるぞ。
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此れもまた前の話。
私が本の納品をしていた、そんなときだったろうか。
何の事もない、唯の一日になるはずだった時の事。
ふと、越えうる力の波が届いてきた。
向けていた背を叩かれた気分にその方向を見た。
一発で解った、それは下手をすれば揺るがす力の規模と。
その場所が感知できたのは桜並木道。人が多い場所だった。
斯様な場所でその力を解き放つ意味は多大なる多くを壊しつつあるものと。
自然と流れるような動きで店を閉め、その力を発した者を追った。
その力を発した人物の先は場所を移した。その先は『かもめのとおりみち』。
大きな力の残り滓を元に辿り着いた先に居たのは、『少女』だった。
その少女の姿は海の潮風に靡いて、どこか。そう。
『美しさ』と『儚さと』と『朧さ』がその場に立ち尽くしていたようだった。
然して紛れもなく、力の所在は彼女からであり、私は接触を試みた。
『イクコ』と名乗った、彼女は空から来た此方に気づいており、
その上で隣をどうぞと、物腰は落ち着いたものだった。
力を放とうとしたのは君かという私の問いに涼やかな様子に
否定はしなかった。知ったところでどうするのかと。
何となくその時に察した、彼女は強い力を持った存在だと。
知った上で私はどうするのかと、ヒーローと言う類の信念か。
そんなものではなかった。そんな彼女の行いを正す道理を
解ける人間でもなかった。ただ”触れた者”として、垣間見た者の
責任として、その彼女の表面に馬鹿なまま自分の心”のようなもの”に従い。
私は彼女を許さないと宣言した。
或るコミックのヒーロー漫画に、こういう言葉がある。
“大いなる力には、大いなる責任が伴なう”
誰でも良かったのだとは思う。彼女と出会う前になにかがあった。
其の何かあったのをを知る人物達が、きっと放っといても。
何とかしてくれたのだとは思う。
でも、放っておけなかった。何故だろうか。
私には、多分一生わからない。わかる記憶を持ちあわせていないけれども。
けれど、力をぶつけあった今の彼女なら、知ってるのかもしれない。
俺に知らない『彼女を許さない』と決めた理由と滾る中身を、彼女なら。
力をぶつけ合いながらも、私は彼女と話を繋いで、彼女を知った。
遂げられない『愛』に苦しんで、諦めきれない『迷い』に飲み込まれ。
手を下げれば手に入れられる『幸せ』の『妥協』を『許せない』様に見えて。
周りの、優しさがわかる人だったんだと思う。
其れは彼女自身も優しかったんだからこそ、その分。
その優しさに縛られて、苦しそうに感じた。
苦しさの先に待つ答えを『決める』事が出来るのは他でもない彼女だと。
私に彼女を救う事はできないし、救う資格すらないとその時解った。
だが自分が彼女に出会って意味も、その時解った気がする。
だからこそ『愚か者』を往く私にできる事こそが、『許さない』事。
力のぶつけ合いに、力を使い切った私は実質負けた。
けれど…力をぶつけた際に『視えたもの』が、共感をくれた様で。
彼女の戦意は無くなり、一波乱は其処で過ぎ去った。
後は警察に突き出すなり、放っておくなり。
………。
すれば、楽だったんだろうなぁ、きっと。

[852 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[422 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[483 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[161 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[354 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
[251 / 500] ―― 《商店街》より安定な戦型
[182 / 500] ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
[118 / 500] ―― 《古寺》戦型不利の緩和
[44 / 500] ―― 《堤防》顕著な変化
[111 / 400] ―― 《駅舎》追尾撃破
[5 / 5] ―― 《美術館》異能増幅
―― Cross+Roseに映し出される。
エディアン
プラチナブロンドヘアに紫の瞳。
緑のタートルネックにジーンズ。眼鏡をかけている。
長い髪は適当なところで雑に結んである。
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エディアン 「・・・・・・・・・うわぁ。」 |
Cross+Rose越しにどこかの様子を見ているエディアン。
白南海
黒い短髪に切れ長の目、青い瞳。
白スーツに黒Yシャツを襟を立てて着ている。
青色レンズの色付き眼鏡をしている。
ノウレット
ショートの金髪に橙色の瞳の少女。
ボクシンググローブを付け、カンガルー風の仮装をしている。やたらと動き、やたらと騒ぐ。
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ノウレット 「こんちゃーっすエディアンさん!お元気っすかー??」 |
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白南海 「・・・・・・チッ」 |
元気よくチャットに入り込むノウレットと、少し機嫌の悪そうな白南海。
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エディアン 「あ、えっと、どうしました?・・・突然。」 |
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白南海 「ん、取り込み中だったか。」 |
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エディアン 「いえいえいえいえいえー!!なーんでもないでーす!!!!」 |
見ていた何かをサッと消す。
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エディアン 「・・・・・それで、何の用です?」 |
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白南海 「ん・・・・・ぁー・・・・・クソ妖精がな・・・」 |
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ノウレット 「コイツがワカワカドコドコうるせぇんでワカなんていませんって教えたんすわ!」 |
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エディアン 「・・・・・・・・・」 |
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エディアン 「・・・何かノウレットちゃん、様子おかしくないです?」 |
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白南海 「ちょいちょい話してたら・・・・・・何かこうなった。」 |
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エディアン 「え・・・・・口調を覚えたりしちゃうんですかこの子。てゆか、ちょいちょい話してたんですか。」 |
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ノウレット 「問い合わせ含め58回ってところっすね!!!!」 |
ノウレットにゲンコツする白南海。
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ノウレット 「ひいぅ!!」 |
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白南海 「いやそこはいいとしてだ・・・・・若がいねぇーっつーんだよこのクソ妖精がよぉ。」 |
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エディアン 「そんなこと、名前で検索すればわかるんじゃ?」 |
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白南海 「検索・・・・・そういうのあんのかやっぱ。教えてくれ。」 |
検索方法をエディアンに教わり、若を検索してみる。
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白南海 「――やっぱいねぇのかよ!」 |
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ノウレット 「ほらー!!言ったとおりじゃねーっすかー!!!!」 |
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白南海 「だぁーまぁー・・・れ。」 |
ノウレットにゲンコツ。
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ノウレット 「ひいぅぅ!!・・・・・また、なぐられた・・・・・うぅ・・・」 |
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エディアン 「システムだからっていじめないでくださいよぉ、かわいそうでしょ!!」 |
ノウレットの頭を優しく撫でるエディアン。
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エディアン 「ノウレットちゃんに聞いたんなら、結果はそりゃ一緒でしょうねぇ。 そもそも我々からの連絡を受けた者しかハザマには呼ばれないわけですし。」 |
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白南海 「・・・・・ぇ、そうなん・・・?」 |
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エディアン 「忘れたんです?貴方よくそれで案内役なんて・・・・・」 |
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エディアン 「あー、あと名前で引っ掛からないんなら、若さんアンジニティって可能性も?」 |
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エディアン 「そしたらこちらのお仲間ですねぇ!ザンネーン!!」 |
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白南海 「・・・・・ふざけたこと言ってんじゃねーぞ。」 |
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白南海 「まぁいねぇのは寂しいっすけどイバラシティで楽しくやってるってことっすねー!! それはそれで若が幸せってなもんで私も幸せってなもんで!」 |
こっそりと、Cross+Rose越しに再びどこかの様子を見るエディアン。
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エディアン 「さてあいつめ・・・・・どうしたものか。」 |
チャットが閉じられる――