［基本］OK.　［戦闘］OK.　［スキル］OK.　

［SIDE：H］


「…！ご、ごめんなさい…ちょっと…──」
　　

咄嗟に口元を押さえると、少女は振り向きもせず、近くの建物の影へと駆け込んだ。


──ヒノデコーポレーション前。
本社ビルをひと目見、満足したらしいペンギンの様子に胸を撫で下ろしていたその時…
“彼ら”は、現れた。


『Correte, correte correte!!』


背後から、ミランの緊迫した声が追い立てる。
…が、逃げるには、相手の数が多過ぎた。
ましてや付近は開けた道路や草原ではなく、木々の生い茂る森である。
いくら相手が緩慢な動きといえど、そうそう逃げ切れるものではない。
…結果。
一行は“彼ら”を、迎え撃たざるを得なかった。
──


「……っ」


物陰に入った途端、少女はへなへなと力無く座り込んだ。
握り締めていた木刀が、カランと乾いた音を立ててアスファルトに転がる。
気を抜けばそのまま崩れ落ちてしまいそうな体を、地面についた手がどうにか支えていた。
ふと、俯いた目に自身の指先が映る。
すっかり血の気が引き、冷たくなった指は思う様に動かす事すら出来ず、ぎこちなくアスファルトを掻いた。

──不意にその様子が、生気を失くした“彼ら”の色や動きと重なる。

途端、思い出してしまった。
自身が振るう木刀が腐った肉を裂き、骨を砕いた感触を。
最中はけして考えない、感じないようにしていたものを──


「…………!!…ぇ、う……っ」


こみ上げる嘔吐感に体を丸め、小さな背が痙攣するよう上下する。
何度かえずいたものの、しかし吐くには至らなかった。
いっそ吐いてしまえた方が楽かもしれなかったが、どうやら今の少女の体には、その力さえ入らないらしい。
ただただ苦しいまま解放もされず、目には涙が滲む。


（……だめ……）


ぽっかりと虚ろに空いた眼窩。
肉が腐り落ちた体。
それは、


（…だめ！…いや、考えないで…！）


それはかつて、
何かを思い、誰かを想い、また想われていたであろう、


（………ちがう、ちがうの…やめて……）


自分と同じ。
ミランと同じ。
左近と、弧鉄と、七織と、丹青と、友人たちと。

そう、何も違わない。
皆と同じ、“誰か”だったはずの──


（──………!!）


蓋。
蓋をしないと。
立ち上がって、早く皆の所に戻らないと。


“ごめんなさい。もう大丈夫です、心配しないで。休憩したら、また先を急ぎましょうか”


そう言って、笑わなくちゃ。


…しかし、頭の中で思い描く自分とは裏腹。少女はその場から、ぴくりとも体を動かせずにいた。


（…………くるしい…）


そんな言葉が胸の奥から押し出されると同時、ぽろりと白い頬を涙が伝い落ちた。
いけない、と制する自分を押し流さんばかり、胸が千切れそうな苦しさが堰を切って溢れだす。

…そうして、そんな胸の中。
流されまいと縋る様、無意識の内に手を伸ばすのは…

大きな背中。
大きな、そして優しい手。
穏やかな声と、笑顔。


（…いけない…、だめ…）


その手の温かさを、自分は既に知っている。その笑顔が、言葉が、どれだけ自分を励ましてくれるのかも。
…伸ばした手はしかし、そこに触れる事は許されなかった。

心配させたくない。
迷惑になりたくない。
…嫌われたく、ない。

そのひとに、これ以上、縋ったりしちゃいけない──


心も体も雁字搦めになった様。
もはやどうしていいか分からず、少女は冷たく固い地面に座り込んだまま、動く事が出来なかった。





（−−→Eno.1395日記へ）

ミラン(1395) から 白詰草 を手渡しされました。

装飾LV を 5 UP！（LV82⇒87、-5CP）

ミラン(1395) により ItemNo.19 ビーフ から料理『BANKAの賄い飯（牛）』をつくってもらいました！
　⇒ 美酒佳肴！［ 2 5 4 = 11 ］成功！料理の付加効果のLVが増加！
　⇒ BANKAの賄い飯（牛）／料理：強さ48／［効果1］活力6 ［効果2］体力6 ［効果3］防御6

グランドキリン(1462) とカードを交換しました！

首アタック （フィアスファング）


ボンバルディエ を研究しました！（深度0⇒1）
ボンバルディエ を研究しました！（深度1⇒2）
イグニス を研究しました！（深度0⇒1）

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

ミラン(1395) は スポンジ を入手！
サツキ(1396) は 蒲公英 を入手！
ぺんぎん(1397) は 車前草 を入手！
ミラン(1395) は 鉄くず を入手！
ぺんぎん(1397) は ビーフ を入手！
ミラン(1395) は 橙小石 を入手！
ミラン(1395) は 鉄くず を入手！
サツキ(1396) は ビーフ を入手！

ミラン(1395) に移動を委ねました。

マガサ区 B-3（道路）に移動！（体調12⇒11）
マガサ区 C-3（草原）に移動！（体調11⇒10）
マガサ区 D-3（森林）に移動！（体調10⇒9）
マガサ区 E-3（森林）に移動！（体調9⇒8）
マガサ区 F-3（森林）に移動！（体調8⇒7）

［844 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［412 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［464 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［156 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［340 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［237 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［160 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［97 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［41 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［17 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破



　

　

　

　　　ぽつ･･･

　

　

　

　　　　　　　　　ぽつ･･･

　

　

　



　




　

　

　

　　　　　　サァ･･･――

　

　

　

雨が降る。

　

　

　

　

　

　




よく見ると雨は赤黒く、やや重い。

　




急いで雨宿り先を探す白南海。

　

　

しかし服は色付かず、雨は物に当たると同時に赤い煙となり消える。

地面にも雨は溜まらず、赤い薄煙がゆらゆらと舞っている。

　

　




　

　

　

チャットが閉じられる――