［基本］OK.　［戦闘］OK.　［戦闘:エイド1］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

（−−→Eno.1396の日記から）　






──ひどい、戦いだった。


　マーレが警戒していないことを確かめ、どうにか安全な休息場所を確保することができた。
　荷を下ろし、汚れた上着を着替え、野営の準備を整えてようやく息を吐いた。
　そして一番最初に浮かんだのが、冒頭の言葉だ。

　ミランには軍属経験がある。
　それはかつて故国では徴兵制度があったためで、ミランが望んで志願したわけではなかった。
　それでも軍務に従事し、実戦に近い訓練を受けて軍人として過ごした時間があった。
　時には災害が起こった際に救助隊として現地へ向かったこともある。
　救助するまでに時間が経ってしまい、救えなかった人もいた。
　土砂に埋もれ、建物や家具に押し潰された悲惨な遺体を見た。

　けれど腐乱した死体に襲われるなんて経験は、流石にない。

　Ｂ級ホラー映画のような展開で仲間を追い立てながら走ったことも。
　逃亡の際に小道を外れたせいで道なき森に行く手を阻まれ、結局そのまま戦闘にもつれ込んだことも。
　かつて生きていたはずの人間の体が、あんな風に『壊れる』様を目の当たりにしたことも、ない。なかった。


（そうだ、サツキちゃん…）


　ミランが防御と回復に専念しているせいで、主に攻撃するのは館長と少女。
　館長は自らの異能でアリアをはじめとする精霊のようなものを絵の中から呼び出すことができるが、彼女はそうはいかない。
　実戦に近いとされる訓練を年単位で受ける軍人でさえ、本当の現場を経験すればPTSDを発症することも珍しくないのだ。
　多少武術の心得があるとはいえ、少女は一般人。
　時にマフィア同士の抗争で銃撃戦もあり得るミランの故郷と違い、イバラシティは異能犯罪率も随分低い。
　そんな環境で生きてきた、一般人の少女なのだ。ショックを受けないはずがない。


「マーレ、サツキちゃんを探してくる。館長とアリアを頼めるかい？」

「キュイ！」

「何かあったら火球を打ち上げて逃げるんだぞ、できるな？」

「キュウ！」

「いい子だ」


　任せて！と胸を張ったベビードラゴンの喉をくすぐるように撫でてから、ミランは少女が逃げるようにして駆け込んで行った建物へと向かった。
　おそらく、安全を確保できている休息場所からさほど離れてはいないはずだ。
　ミランのその予想通り、少女は建物の陰で力が抜けたように座り込んでしまっていた。


「サツキちゃん！」


　慌てて駆け寄れば、のろのろと上がった夕暮れ色の眼差しが見開かれる。
　赤毛が散った目元は赤く、少女が泣いていたのは明白で。
　微かに動いた唇は声を発することこそなかったが、それでも何を言ったのかは分かってしまった。


──どうして…？



　ぐっと心臓の奥が重くなる。
　分かっている。
　これまでの関わり方から十分察することができる…彼女は自分の中に感情を押し込めがちで、他者に頼ることが苦手だ。
　今回だってこうして隠れるようにして、自分だけで何とかしようとしている。
　だから多分、彼女がミランに頼って来ないのは、彼女がそれを良しとしないからなのだろう。

　彼女のその気遣いは、このハザマという特殊な環境下に置いてある意味で正しい。
　指針を決め、中心となる人物に負担をかけまいとする判断は、大の大人でもなかなかできることではない。
　でも、それでは駄目だ。
　そうやって負担をかけまいと自分の中に溜め込んで、心に負った傷を放置してしまうことの方が怖い。
　張りつめた糸はいつ切れるのか分からないのだから。

　だから…


「…！ミラン、さ…ﾜﾌﾟｯ?!」


　だから、ミランは手を伸ばす。
　一人では立てなくなった少女の傍らに膝をつき、着ていたコートを少女の頭に被せて視界を塞いだ。
　いつかのベースキャンプ地のような、そっと支えるそれではなく。
　自分の心音が相手に伝わるほどに、ぎゅっと強く抱きしめた。


「大丈夫。見えてないから」


　きっとこの子は、負担になってしまうことを恐れてる。
　できればもっと頼ってほしいと言葉で伝えても、恐縮して遠慮してしまうだろう。
　ならばいっそ…


「俺は何にも見てない。だから、大丈夫だよ、サツキちゃん…」


　泣いてもいいよと言ってあげられたらどれだけよかったか。
　しかし今ではそれすらも彼女の負担になりかねない。
　それゆえに。


「俺は何にも見てないし、聞いてない。だから、全然、大丈夫。大丈夫だよ」


　
　いつかは口にできなかった言葉を、今日はあえて口にする。
　矛盾なんてことは分かっている。
　それでも何かしらの理由を付けなければ、この少女は泣くことすらできないのだ。
　もうそこまで、彼女は耐えてしまっている。

　名目だけとはいえミランが気付かず、聞かなかったことにさえしていれば、コートの下の震える体も、くぐもった嗚咽も許される。
　こんなことでしか彼女の心を守ることができないのは堪らなく不甲斐ないけれど…
　ミランが深く刻んだ眉間の皺も、食いしばった奥歯も、今の少女には見えないことだけが、なんだか救いのようだった。

サツキ(1396) に ItemNo.9 白詰草 を手渡ししました。

百薬LV を 5 UP！（LV25⇒30、-5CP）
料理LV を 5 UP！（LV82⇒87、-5CP）

ItemNo.24 ビーフ から料理『BANKAの賄い飯（牛）』をつくりました！
　⇒ 美酒佳肴！［ 1 6 3 = 10 ］成功！料理の付加効果のLVが増加！
　⇒ BANKAの賄い飯（牛）／料理：強さ48／［効果1］活力6 ［効果2］体力6 ［効果3］防御6

サツキ(1396) の持つ ItemNo.19 ビーフ から料理『BANKAの賄い飯（牛）』をつくりました！
　⇒ 美酒佳肴！［ 2 5 4 = 11 ］成功！料理の付加効果のLVが増加！
ぺんぎん(1397) の持つ ItemNo.14 ビーフ から料理『BANKAの特製すり餌（牛）』をつくりました！
　⇒ 美酒佳肴！［ 4 4 6 = 14 ］成功！料理の付加効果のLVが増加！

みどり(1472) とカードを交換しました！

おいしい水（500ml） （アクアヒール）


イクスプロージョン を研究しました！（深度0⇒1）
イクスプロージョン を研究しました！（深度1⇒2）
ティンダー を研究しました！（深度0⇒1）

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

ミラン(1395) は スポンジ を入手！
サツキ(1396) は 蒲公英 を入手！
ぺんぎん(1397) は 車前草 を入手！
ミラン(1395) は 鉄くず を入手！
ぺんぎん(1397) は ビーフ を入手！
ミラン(1395) は 橙小石 を入手！
ミラン(1395) は 鉄くず を入手！
サツキ(1396) は ビーフ を入手！

マガサ区 B-3（道路）に移動！（体調11⇒10）
マガサ区 C-3（草原）に移動！（体調10⇒9）
マガサ区 D-3（森林）に移動！（体調9⇒8）
マガサ区 E-3（森林）に移動！（体調8⇒7）
マガサ区 F-3（森林）に移動！（体調7⇒6）

［844 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［412 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［464 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［156 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［340 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［237 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［160 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［97 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［41 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［17 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破



　

　

　

　　　ぽつ･･･

　

　

　

　　　　　　　　　ぽつ･･･

　

　

　



　




　

　

　

　　　　　　サァ･･･――

　

　

　

雨が降る。

　

　

　

　

　

　




よく見ると雨は赤黒く、やや重い。

　




急いで雨宿り先を探す白南海。

　

　

しかし服は色付かず、雨は物に当たると同時に赤い煙となり消える。

地面にも雨は溜まらず、赤い薄煙がゆらゆらと舞っている。

　

　




　

　

　

チャットが閉じられる――