［基本］OK.　［戦闘］OK.　［スキル］OK.　

　……。

　巡回から10日後、再びリオネルはZ区に赴くことになる。リオネルだけではない。もうひとり、壮年の『竜守』を伴って。『閂』と共に。

「血生臭い『閂』が、わざわざ俺たちを呼ぶなんてどういうつもりだ？」
「こっちに来る先に、オレから説明しましたが ――」
「手前の説明なんて信用できるか」

　『閂』たちから、ため息や嘲笑が漏れた。『竜守』は情報の連携も碌に出来ないとでも考えているのだろうか。―― ため息を吐きたいのは、こっちの方だ。

「『竜殺し』出没の噂があって、今回見つけたそれが本当に『竜殺し』か否かの判断はついていません。ただ、少なくとも神の御意思に背く罪深い人間であることに間違いないと判断しました」

　『閂』の代表として、ルニエは話し出す。

「場所も、こちらの伝手を使って割り出しました」
「それで『竜殺し』の対処に慣れている者に応援を頼んだ、と。相手が本当に『竜殺し』だった時のために」
「それ、さっきデュマさんに説明しましたが……。そういえば、どうして『守護者』ではなく『竜守』に依頼したのでしょうか」
「未熟な『守護者』に、たくさん来られても困りますから」

　何もしていないかのように見られることの多い『竜守』であるし、『竜殺し』との交戦頻度そのものは『守護者』とさほど変わりが無いが、『竜守』たちが相手をするのは 周囲の『守護者』の目を掻い潜った者どもばかりだ。
　要するに。『竜守』は、周知されている以上に、『竜殺し』の扱いに慣れている。
　少数精鋭を目指しているのだろうか。そう考えながらもあまり言葉にする気にならなかった。今、この場には自分も呼ばれているのだ。自らを精鋭などと称することに、違和感を覚えた。

「狭い場所にでも行くのか？ 言っておくが俺たちは、忍び込んで蹴散らすようなこと、出来ないぞ」
「それが必要だったら『竜守』に手伝いなんて頼みません。私たちも出向いたりしません。『閂』だってそんなこと出来ませんから」

　『竜守』と『閂』はどちらも元々は『守護者』である。
　『守護者』は、誰かを助ける目的で動くことを得意とする者が選ばれる。『閂』はやや例外的であるが、それでも隠密行動の類いは範疇外らしい。

「……どうするつもりなんですか？」

　こちらは応援の立場だ。全ての決定権は『閂』にある。そして、自分たちは応援の立場であると同時に 作戦の間違いなく参加者でもあるし、『竜守』と『閂』は 敵ではないものの反発しあう関係だ。
　これが意味するところといえば、つまりは 万が一失敗することがあったとして、責任を問われるのは自分たち『竜守』になるかもしれない。たとえ濡れ衣であったとしても、その可能性は拭いきれない。この国は、そういう場所だ。
　―― ルニエさんに限ってそんなこと、考えにくいけれど。
　しかしこの場にいる『閂』は リオネルがよく知る者ばかりではないため、警戒するに越したことは無い。

「正面から乗り込みます」
「……は？」



　Z区の住宅区を、彼らは堂々と歩いていく。

「『閂』と、『竜守』？」
「どうしてこんなところに『竜守』が……」

　そんな声が聞こえてくる。自分が『竜守』であるというだけで目立つというのは最早当たり前のことであったが、目立ち方の違いのようなものは分かった。純粋に珍しいのだ。『竜守』が主に活動するM区から、ここは特に離れている。
　リオネル達の住むこの国に存在するのは、灰と硝子と遺物たる建物のみ。『外』で作物を育てようにも、どういう訳か殆ど育たずに枯れてしまう。灰に順応した作物と銘打ったものも含めて、全てにおいて。『外』に面した区画に生まれた者の中で『灰の呪い』と呼ばれていたが、真偽のほどは定かではない。
　そんな国の人間が餓えずに生きていけるのは、この国に硝子を作る技術があったから。実用品か嗜好品か問わず この国で硝子を作り、あらゆる他国に売る。その金を元に食料を仕入れる。
　そうして他の国から仕入れた物を一時的に保存する、あるいは他の国に出すための硝子を置く。そうすることが適していたのはZ区であった。他の国とやり取りを行う門が存在しているから。
　そんなZ区の居住区画に、どういう訳か『竜殺し』が潜むとの噂。

「噂なぁ……」

　同行者である『竜守』のデュマは何やら胡散臭そうな顔。

「……今は噂の真偽関係なく、兎に角。これから向かう場所に 過ちを犯している人間がいるのでしょう。噂に大きい間違いがあれば、噂を流している人間を洗う必要が出るでしょうけれど」
「ガキの意見は聞いてねぇ」
「仕事でそんなこと言っている場合じゃないでしょう。オレの考えが的外れであればそう仰ってください」

　言い返せば、デュマは一度黙る。
　―― 何でよりによって、オレのこと一番目の敵にしてくる人と。
　そんなことを考えずにはいられなかったが、それを表に出していられる状況ではない。
　―― 多分、守番無い人から選んだんだろうけれど。
　実際は 今日守番が無い『竜守』の中で実力の高い者から選ばれているのだが、リオネルはそれを知らない。互いの性格や関係性等は些末なこととされ、一切考慮されない。

「……。調べることになった発端は噂かもしれねぇが、これから行く先が本当にその噂と関係があるかどうかは誰もハッキリ言ってねぇ」

　リオネルの方を見ることなく、どちらかというと独り言に近い言い方だった。
　しかし、間違いなく リオネルに聞こえる程度に話している。

「ガキが言ったのは、『今から向かう先が噂と関係ある』って前提の話だ。その前提が成立しねぇなら、どのみち噂流した奴らを辿る必要はある。それは『閂』か ここらの『守護者』がやることで、俺がやることじゃない」

　それだけ話して、今度こそデュマは静かになった。
　その言葉に言い返すような真似は、出来なかった。尤もな言葉だと感じたから。仕事に感情を持ち込んでいないつもりでいたが、考えていた以上に自分も感情的になっていたかもしれない。
　先頭を行く『閂』の背を見つめた。立ち止まる様子も振り返る様子も、まだ無い。
　『閂』たちの伝手を使って場所を割り出したとは聞いたが、どうにも違和感のようなものを拭いきれない。そうかといって、その違和感 がどの部分にあるのか見つけ出すようなことは出来ない。少なくとも『竜守』達には、今はまだ。
　周囲に目を向けて、初めて気づく。自分たち以外に、人間が見当たらない。『竜守』の存在を訝しむ声も、途絶えている。
　ここで、『閂』たちは止まった。指し示す先には、扉がひとつ。
　今のところ、声は聞こえない。
　全員、それぞれ得物に手を添える。得物を持たないリオネルも、盾を持ち直す。『閂』の中で軽装の者と入れ替わるようにして前へ。
　横のルニエは、リオネルを一瞥した。――『守護者』の時から変わっていなければ、それは突撃の合図だ。
　ルニエが扉を開き踏み込む。ほぼ同時にリオネルも、中に入っていく。
　そこは変哲もない建物だ。おそらくは元々倉庫として使われていた場所に、どこからか運んできた机や椅子を置いて 溜まり場のようにしている。そんな溜まり場に人は、ひとりしかいない。

「『閂』あたりが来るだろうとは思っていたが、まさか『竜守』までいるなんてな」

　たったひとり、その場にいた者がそう投げかけた。体型の隠れる大きめの服を身に着け、頭にも布を被っていて容姿が隠されている。声の低さから、男であることは読み取れた。

「おれたちがどういう立場か知りもしない癖に」

　『竜殺し』疑惑の男は両手を挙げた。その様子を見て、『閂』たちは散会。得物を向けた。

「ここにいるのはあなた一人ですか？」
「ああ、そうさ。他の連中はとっくに逃げた」
「その『他の連中』とやらは、どこに逃げましたか？」
「言う訳あるか、馬ァ鹿」

「―― 何故、逃げない？」

　『竜殺し』疑惑の男に向けて、思わずリオネルは問いかけた。逃げるどころか、抵抗の素振りも無い。それが『竜殺し』の在り方とは、大きく異なるように感じられたから。

「他の連中はどうだか知らんが、おれがやってきたことは 誰かが勝手に『悪い』と決めたことだ。おれはそれが許せなくてやりたいようにやったが、そう思わない連中が多いことを知っている。いつかこうなる覚悟が無いわけでもない」

　―― これは確かに、ルニエさんが言った通り、罰する必要がある人間だ。
　―― けど、あまりにも『竜殺し』らしくない。

「『竜守』までいるなら、尚更名乗らないとな。おれは『竜殺し』ではないし、『竜殺し』を名乗るつもりもない ―― 3年前、C区の露店通り襲撃計画を立てた。元『硝子職人』のブラン」

　リオネルの夕焼け色の髪を見つめながら、そいつは名乗った。
　3年前。C区。露店通り。
　―― オレがまだ、名無しだった時の。

「お前らは勝手に『竜殺し擬き』って呼ぶんだろうけどな」

ENo.19 翠眼の怪物 とのやりとり


ENo.581 ツクシ とのやりとり


ENo.658 天弖 とのやりとり

特に何もしませんでした。

守護者の姿が消え去った――

　

　

六角形の柱から天に向け、赤色の光柱が立つ。

どうやら次元タクシーで行けるようになったようだ。

使役LV を 5 UP！（LV10⇒15、-5CP）
防具LV を 5 UP！（LV75⇒80、-5CP）

はらぺこ蒼羽(739) とカードを交換しました！

ショップカード （ツインブラスト）


パワフルヒール を研究しました！（深度0⇒1）
ミゼラブルメモリー を研究しました！（深度0⇒1）
エアスラッシュ を研究しました！（深度0⇒1）

ラッシュ を習得！
フィアスアタック を習得！
救済 を習得！
インディグネイション を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

シエ(11) は 翠小石 を入手！
不幸喰らい(546) は 翠小石 を入手！
シエ(11) は 皮 を入手！
不幸喰らい(546) は 皮 を入手！

次元タクシーに乗り ウシ区 R-4：チェックポイント《古寺》 に転送されました！


シエ(11) に移動を委ねました。

ウシ区 S-4（森林）に移動！（体調30⇒29）
ウシ区 S-5（森林）に移動！（体調29⇒28）
ウシ区 S-6（森林）に移動！（体調28⇒27）
ウシ区 S-7（山岳）に移動！（体調27⇒26）
ウシ区 T-7（山岳）に移動！（体調26⇒25）

採集はできませんでした。
　　 - シエ(11) の選択は ウシ区 R-4：チェックポイント《古寺》（ベースキャンプ外のため無効）

MISSION - 未発生：
　　 - シエ(11) の選択は ウシ区 R-4：チェックポイント《古寺》（ベースキャンプ外のため無効）

［845 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［409 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［460 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［150 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［311 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［202 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［149 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［68 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　




　





不機嫌そうな表情。

　











首を傾げる白南海。

　





ポケットから黒いハンカチを取り出す。

それを手で握り、すぐ手を開く。

　

すると、ハンカチが可愛い黒兎の人形に変わっている。

　









眼鏡をクイッと少し押し上げる。






咄嗟に腕を組み、身構える。

　







そう言ってチャットから抜けるエディアン。

　




　

チャットが閉じられる――