◆◆2◆◆
ケンタ
『健康兄弟』の兄、健太。相良伊橋高校の1年生。
人見知りをまったくしないタイプで少しでも気になるとすぐに人に話しかける。基本的には温厚。
言動が軽く見られがちだが本人は至って真面目。
コウタ
『健康兄弟』の弟、康太。相良伊橋高校の1年生。
用心深くすぐには人を信用しない。…のに、健太がすぐに人に気を許すので頭を悩ませている。
どうやら健太には黙って別行動をしているようだ…。
―イバラシティにて―
――2年ほどまえのカミセイ区東部でその男とは出会った。
その場所は『アンダーストリート』と呼ばれる一帯で、通称『アンスト』は怪しい店も多数あるようなところだった。
当時中学二年生だった健康兄弟がうろつくにはあまりにも不釣り合いな場所なのは確かだ。
「こんなとこ」と言っているが、そこは男が経営している個人ブランド『ZippeR』の店の前だ。
あまり人通りの多いところではないため客の入りも悪いのだろう。
暇そうに入口の前で堂々と座って休憩をしていたようだ。
見知らぬ男に「何してる」と問われ、答える義理はないのでシカトしてそのまま男の前を通り過ぎた。
…―が、そのまま見送るような男ではなかった。
しつこく食い下がって来たので仕方なく対応することにした。
男は『セキ』と名乗った。
苗字なのか名前なのかは未だに知らない。
生まれつきだという尖った耳が特徴的で、両頬に赤いタトゥーを入れており、頭部左右には黄金色の角が生えて…
いや直接生えているわけではなく、帽子に施されたアクセサリーだろう。
…そういえば、帽子を脱いでるとこは見たことがない気がする。
ファッションとしては奇抜だなと思ったが本人は気に入ってるようなので直接は言わないでおく。
セキは遠慮なく人の事情を色々と聞きたがる奴だった。
本人曰く、
「積極的にいかねーと人との縁なんかつくれねーだろ!」
との事。
この信条はのちに健太も影響を受けて康太が頭を抱える事になる。
意外にも『ZippeR』の服は健康兄弟の好みに合っていたらしく、この出会い以降行けつけとなった。
何よりも助かったのがパンツの尾骶骨辺りにジッパーを付けるオーダーメイドが可能だった事。
異能で顕現する尻尾のための『穴』である。
セキが作る服にはどれもジッパーがついているが、大半がイミテーションジッパーだ。本物ではない。
全部がイミテというわけでもなく、中にはちゃんと開閉できるジッパーも付いている。
「本物の中に偽物が、偽物の中に本物がある絶妙なバランスがいいんだよ!」
だそうだ。
この予期せぬ出会いは今でも続く関係となる。
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セキ(店長) 「店を改装するぜ!」 |
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ケンタ 「へーよくそんな資金が確保できたね。」 |
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セキ(店長) 「スポンサー様に頭下げてお願いしまくったからな!へへ!」 |
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コウタ 「…あの人にそんなことしたのか…見返りに何をされるかわからないのに…」 |
『あの人』というのは現在健康兄弟の後見人になっている人物のことだ。
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セキ(店長) 「そこはあれだよ、バンッバン売上上げて倍返ししてやりゃいいんだよ。」 |
ただでさえ人通りの少ない場所に店を構えているのにその自信はどこから来るのか謎だ。
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セキ(店長) 「そこで、だ。 新装開店時にフライヤーを用意しようと思ってるんだがな、まだモデルが決まってねーんだよ。 お前らやってくんね?モデル代はもちろん出すからさ!」 |
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健康兄弟 「「いやだ!!」」 |
珍しくハモる。
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ケンタ 「俺達がそういうの絶対やりたくないって知ってるよな。」 |
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セキ(店長) 「~~っっわかってるよ!一応聞いてみただけだっつーの! くっそ…こいつらなら出費安くですんだのに…ぶつぶつ」 |
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ケンタ 「…モデルは無理だけど、店は手伝うからさ。な、康太。」 |
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コウタ 「…ん、まぁそれくらいなら…」 |
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セキ(店長) 「おっしゃ!その言葉確かに聞いたからな!労働力ゲットだぜっ!」 |
そんな経緯があり、健康兄弟はカミセイ区のアンストにある店『ZippeR』で時折バイトする事になった――。

[845 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[409 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[460 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[150 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[311 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
[202 / 500] ―― 《商店街》より安定な戦型
[149 / 500] ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
[68 / 500] ―― 《古寺》戦型不利の緩和
―― Cross+Roseに映し出される。
白南海
黒い短髪に切れ長の目、青い瞳。
白スーツに黒Yシャツを襟を立てて着ている。
青色レンズの色付き眼鏡をしている。
エディアン
プラチナブロンドヘアに紫の瞳。
緑のタートルネックにジーンズ。眼鏡をかけている。
長い髪は適当なところで雑に結んである。
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白南海 「・・・ロストの情報をやたらと隠しやがるなワールドスワップ。 これも能力の範疇なのかねぇ・・・・・とんでもねぇことで。」 |
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白南海 「異能ならリスクも半端ねぇだろーが、なかにはトンデモ異能もありやがるしねぇ。」 |
不機嫌そうな表情。
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エディアン 「私、多くの世界を渡り歩いてますけど・・・ここまで大掛かりで影響大きくて滅茶苦茶なものは滅多に。」 |
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エディアン 「そういえば貴方はどんな異能をお持ちなんです?」 |
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白南海 「聞きたきゃまずてめぇからでしょ。」 |
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エディアン 「私の異能はビジーゴースト。一定の動作を繰り返し行わせる透明な自分のコピーを作る能力です。」 |
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白南海 「あっさり言うもんだ。そりゃなかなか便利そうじゃねぇか。」 |
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エディアン 「動作分の疲労は全部自分に来ますけどねー。便利ですよ、周回とか。」 |
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白南海 「集会・・・?」 |
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エディアン 「えぇ。」 |
首を傾げる白南海。
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エディアン 「――で、貴方は?」 |
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白南海 「ぁー・・・・・どうすっかね。」 |
ポケットから黒いハンカチを取り出す。
それを手で握り、すぐ手を開く。
すると、ハンカチが可愛い黒兎の人形に変わっている。
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エディアン 「わぁー!!」 |
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エディアン 「・・・・・・・・・」 |
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エディアン 「・・・手品の異能ですかー!!合コンでモテモテですねー!!」 |
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白南海 「なに勝手に変な間つくって憐れんでんだおい。」 |
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白南海 「糸とかをだなー・・・・・好きにできる?まぁ簡単に言えばそんなだ。 結構使えんだよこれが、仕事でもな。」 |
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白南海 「それにこれだけじゃねぇしな、色々視えたり。」 |
眼鏡をクイッと少し押し上げる。
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エディアン 「え!何が視えるんです!?」 |
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白南海 「裸とか?」 |
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エディアン 「ぇ・・・・・」 |
咄嗟に腕を組み、身構える。
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白南海 「・・・嘘っすよ、秘密秘密。言っても何も得しねぇし。」 |
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エディアン 「ケチですねぇ。まぁ私も、イバラシティ生活の時の話ですけどねー。」 |
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白南海 「・・・・・は?」 |
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エディアン 「案外ひとを信じるんですねぇー、意外意外!」 |
そう言ってチャットから抜けるエディアン。
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白南海 「あぁ!?きったねぇだろそれ!クッソがッ!!おいいッ!!!
・・・アンジニティぶっ潰すッ!!!!」 |
チャットが閉じられる――