
*大井真海 12回目日記*
[……さて、これで「こちら」で半日……。
結構移動したとは思うのですが、それでもまだチナミ区から出れませんね。
いえまぁ、BCに戻ったりもしてましたが。
3分の1が経過して、何か変化があるのでしょうか……。
―――
……?
今、誰かに呼ばれたような――?]
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真海 『しかし、景色が変わり映えしませんね』 |
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“魔術師” 「そこに梅の木が並んでんじゃん」 |
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真海 『どう見ても敵対意思しか感じ取れないんですが?』 |
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“魔術師” 「…………まぁな」 |
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“魔術師” 「ところで協力者。 結構時間経ったけど、体調とか大丈夫か?」 |
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真海 『自分の体調管理は基本ですから。 今のところは問題ありませんよ』 |
*“魔術士” 12回目日記*
[…………普通はこんな光景の中、12時間もずっといればそれなりに精神にクると思うんだが……。
まぁ協力者だしな……。
模擬戦や対人戦はともかく、通常戦はほぼ負けてねーからこれでも「楽」な方なのか。
今まで引っ張り出してきた文章だけでどんだけ過酷な旅してきたのか想像に余りあるぜ……。
さて、切り替えるか。
疑問点は「魔王の正体」「「勇者」への精神干渉の有無」「神殺しがなぜ失敗したか」辺りか。
「もう一人の男の「勇者」の行方」と「現在の向こうの世界の状況」は個人的な疑問だが。
と、なーるーと……文章でそういうのに引っ掛かってそうな情報を残してるのはどの辺だ?
スパイル帝国:魔王研究チームの覚書
地名「最果ての荒野」に奇妙な城が出現して10年が経ち、モンスターの活性化が続いている。
獣人などの種族の者から「ずっと誰かに心を逆なでされているようだ」という証言も相次いでいる。
よってスパイル帝国第33代皇帝はこれを「魔王」の出現と認定。
同日研究チームを発足させた。
研究チームの最初の仕事は、奇妙な城(以後「魔王城」と呼称)への挑戦状況の調査だ。
少なくとも各国一度は騎士団などの保有戦力によって挑戦しているが、悉く惨敗。
多くの場合は生存者ゼロという結果となっている。
この結果をもって皇帝は、以後の出兵を取りやめる決定を下した。
研究チーム発足から1年経過。
「魔王城」出現以降のスパイル帝国近辺のモンスター分布やダンジョン発生率の調査がひと段落。
やはり加速度的にモンスター及びダンジョン発生数が増えている。
このまま加速するのであれば、間もなく世界中がモンスターで覆い尽くされるだろう。
研究チーム発足から2年経過。
皇帝は冒険者ギルドに手厚い支援を行っている。
それが功を奏したのか、この1年で発生しているモンスター被害は横ばい。
しかし決定打にはならず。いずれ限界を迎えるのが見えている。
何か手を打たなければ。
研究チーム発足から3年経過。
ファイリト王国が「勇者」を召喚したとの知らせが入った。
神の奇跡はかの国の得意とするところ。
神に願ってばかりでは立ち行かぬ、という我が国とは相いれぬ。
皇帝は即座に「勇者」の監視を開始したようだ。
研究チーム発足から3年と3か月経過。
「勇者」はどうやら殺しても死なないらしい。なるほど。
最初は行商人でも蹴散らせる程度の野盗に苦戦していた「勇者」達だが、今は対処できるようになっている。
その成長速度にも注目する必要があるだろう。
研究チーム発足から3年と8ヶ月経過。
「勇者」から脱落者が発生。
どうやら精霊の地の守護を行うようだ。
そんな事は現地住民に任せればいいのでは、と思ったが、どうやら国境に近い場所らしい。
それこそ冒険者ギルドの出番なのではないだろうか。
研究チーム発足から4年経過。
「勇者」が吸血族と接触したらしい。
意外と普通に接しているようだ。
同時に、「勇者」も「魔王」の存在に疑問を持ったらしい。
研究チーム発足から4年と半年経過。
どうやら野盗の中に他国のスパイが混ざっているようだ。
見目麗しい特級戦力、となれば、確かにどこにでも売れるだろう。
そもそも、どうやって捕まえるのか、という問題があるが。
研究チーム発足から5年経過。
「勇者」から更なる脱落者が発生。
気が狂って仲間を殺しにかかり、返り討ちに遭ったようだ。
周辺の地形が変わっている。天候に変化が出そうか。
研究チーム発足から5年と3か月経過。
ファイリト王国から「勇者召喚の儀の詳細」が「提出」された。
あくまで「提出」である。善意の協力である。
条件や必要な物資を解析し、なるべく早期に召喚の儀を執り行うよう皇帝の命が下った。
研究チーム発足から5年と4か月。
我々は偉業を成し遂げた。
複雑怪奇な魔法陣を解析、必要物資を用意、召喚実行、しめて丸1ヶ月に収めて見せた。
召喚された「勇者」は、異世界の人間だという。
ただし、我らは「魔王研究チーム」だ。「勇者研究チーム」ではない。
研究チーム発足から5年と半年。
我々が召喚した「勇者」がファイリト王国の「勇者」に接触したらしい。
大量の情報を受け取っている。解析しなければ。
研究チーム発足から5年と9か月。
「勇者」達がようやく「魔王城」に辿り着いたようだ。
ファイリト王国からすれば目と鼻の先なのに随分と遠回りだが、力をつけるという意味では必要だったらしい。
「勇者」をもってしても「魔王」は非常に強力な個体のようだ。
会話を試みた「勇者」に言葉での応答があったらしい。
神の力ではなく、命の力による術を使っていると回答があった。
あらゆるモンスターの技や特徴を自由に出し入れできるようだ。
通常時は幼い子供の姿をしているとの事。
一度殺しただけでは死なず、より強力になって復活する力がある。
3度目の死を確認。まだ死なないようだ。
「魔王城」の再探索で生命力の源と思しき結晶を発見。その場で砕く。勿体ない!
「魔王」は最終的に、黒く胴の長い異形の竜になったようだ。
5度目の復活に死を与えた所で、砂のようになって消滅。復活の予兆は無し。
同時に「魔王城」も崩れ、「勇者」は一度生き埋めになったらしい。
研究チーム発足から6年経過。
わが国で召喚された「勇者」達の帰還が行われる。
「魔王」は討伐され「魔王城」は崩壊した。
よって「魔王研究チーム」の存在意義は「魔王」という存在を後世に残すことに変化する。
そう言えば「勇者」の証言によると、「魔王」の末期の言葉は
『我とて、生まれたくて、歪みたくて、こうなったのではない』
だったというが……どういう意味だろうか。
…………あー。
大体、察した。特に最後。
どうしてそうなったのかは分からんが、どうなってたのかは理解した。
本来「魔王」ってのは、世界が壊れる危険が出た時に出る危険信号だ。
危険信号であると同時に、その原因を具現化して「倒せる形」に変える安全装置でもあるが……。
たぶんその辺の扱いは、協力者の召喚先の世界でも一緒みたいだな。
で。
その安全装置がここまでヤベー事になってるって事は……そのまま、世界がヤベーって事だ。
つまり、「魔王」を倒してめでたしめでたし……ではない可能性が、高い。
……。
…………。
まだ「魔王」が生まれるに至った直接原因つか、世界の危機については分かってない訳だが。
なんだろうな。滅んだって聞いても納得しかねぇんだけど]

[843 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[396 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[440 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[138 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[272 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
[125 / 500] ―― 《商店街》より安定な戦型
[125 / 500] ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
[24 / 500] ―― 《古寺》戦型不利の緩和
―― Cross+Roseに映し出される。
フレディオ
碧眼、ロマンスグレーの短髪。
彫りが深く、男前な老翁。
黒のライダースジャケットを身に着けている。
ミヨチン
茶色の瞳、桜色のロング巻き髪。
ハイパーサイキックパワーJK。
着崩し制服コーデ。
エディアン
プラチナブロンドヘアに紫の瞳。
緑のタートルネックにジーンズ。眼鏡をかけている。
長い髪は適当なところで雑に結んである。
白南海
黒い短髪に切れ長の目、青い瞳。
白スーツに黒Yシャツを襟を立てて着ている。
青色レンズの色付き眼鏡をしている。
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フレディオ 「いよぉ!なるほどこう入んのか、ようやく使えそうだぜ。」 |
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ミヨチン 「にゃー!遊びに来たっすよぉ!!」 |
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エディアン 「にゃー!いらっしゃいませー!!」 |
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白南海 「毎度毎度うっせぇなぁ・・・いやこれ俺絶対この役向いてねぇわ。」 |
ロストのふたりがチャットに入り込んできた。
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ミヨチン 「・・・・・?おっさん誰?」 |
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フレディオ 「フレディオにゃー。ピッチピチ小娘も大好きにゃん!」 |
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ミヨチン 「・・・・・」 |
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エディアン 「・・・・・」 |
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フレディオ 「・・・いやジョークだろジョーク、そんな反応すんなっつーの。」 |
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ミヨチン 「大好きなのは嬉しーけど、そのナリでにゃんは痛いっすよぉ! なんすかそれ口癖っすかぁ??まじウケるんですけど。」 |
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フレディオ 「え、あぁそっち?・・・ジョークだジョーク。」 |
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エディアン 「私はそっちじゃないほうですね。顔がいいだけに残念です。」 |
軽蔑の眼差しを向けるエディアン。
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白南海 「・・・別にいいだろーよ。若い女が好きな男なんてむしろ普通だ普通。」 |
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フレディオ 「おうおうそうだそうだ!話の分かる兄ちゃんがいて助かるわッ」 |
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フレディオ 「・・・っつーわけで、みんなで初めましてのハグしようや!!!!」 |
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ミヨチン 「ハグハグー!!」 |
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エディアン 「ダメダメやめなさいミヨちゃん、確実にろくでもないおっさんですよあれ。」 |
ミヨチンを制止する。
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フレディオ 「・・・ハグしたがってる者を止める権利がお前にはあるのか?」 |
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エディアン 「真面目な顔して何言ってんですかフレディオさ・・・・・フレディオ。おい。」 |
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白南海 「お堅いねぇ。ハグぐらいしてやりゃえぇでしょうに。」 |
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フレディオ 「そうだそうだ!枯れたおっさんのちょっとした願望・・・・・」 |
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フレディオ 「・・・・・願望!?そうかその手が!!!!」 |
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エディアン 「ゼッッッッタイにやめてください。」 |
フレディオの胸倉をつかみ強く睨みつける!
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白南海 「そういえば聞きたかったんすけど、あんたらロストって一体どういう存在――」 |
――ザザッ
チャットが閉じられる――