
空は青く、
日が地を照らす。
平凡な日常、
平凡な午後。
ほどよい風と、
ほどよい日差し。
そして……
ほどよい満腹感とくれば――
襲ってくるのはまどろみだ。
このままゆるりと眠ってしまいたい。
そんな誘惑に襲われるが――
映美莉にとって一つだけ問題があった。
それは……
地味に肌が痛い。
がまんできないほどじゃない。
というより動いていれば気にならないほどの微細な痛み。
映美莉が吸血鬼の力をもっている以上避けきれないもの。
まぁ、単純に、
肌が弱くて日光に弱いレベルの代物ではあるのだが、
じっとして寝ようとした場合、
気になって気になって仕方なくて眠れないものである。
故に、
紛らわすために地を転がる。
まぁ、
転がったところで眠れるわけもないのではあるが。
「あー……」
こうやって映美莉が地面を転がっているのには理由がある。
理由があるといっても大した理由ではないのだが……
それは……
もう一人の自分。
別の世界の自分の夢の事がいまだに忘れられないのである。
思い出すたびに、
そして考える度に、
そういう未来もあったのかと思うと、
世界の無情さというか、
ままならない感じがしてならないのである。
ままならない。
そう。
ままならないものである。
それほどまでに、
この映美莉の能力というものは、
人の世と相容れるのが難しい。
異常性がそれほどまでに強すぎるのだ。
吸血鬼……
それは弱点の多い存在だ。
そして、様々な能力を有し、
特筆すべきはその力の強さそのものだろう。
霧や蝙蝠、犬等に変身が出来る。
血を吸う事ができる。
魔術、魔眼を使う事が出来る。
他にも吸血鬼の種類や伝承、
物語によって様々な力があったりするが、
吸血鬼は人に非ざる存在であるがゆえに、
その力が純粋に人を超えているのだ。
力というのは腕力というだけでなく、
身体能力の高さである。
無論、全ての吸血鬼がそうという訳ではないが……
少なくとも映美莉の能力の中でも、
もっともおそるべきものは身体能力……
力が強い事である。
膨大ともいえる弱点……
むろんこれも吸血鬼によって違ったりすることもあるが、
おおよそにおいて致命的な弱点をもっている。
それでもなお恐れられるに相応しいほどの力が。
そして、
映美莉に関していえば弱点はないに等しい。
故に――
バケモノでしかないのだ。
本来であれば。
たまたま偶然、
いい人に出会えて来た事、
そして、
彼女自身のパーソナリティによって、
そうある事がたまたま偶然によって、
人という社会の枠からはじき出されていない。
無論、
もっと力のある存在や、
それを脅威と感じない存在があるというのもあるだろうが、
それを差し引いたとしても、
それだけでどれほどの奇跡であるのか……
普段は考えないようにしているものの、
改めてそう実感させられ、
映美莉はこうして転がっているわけである。
「あ゛あ゛~……」
多少は兎乃に話してすっきりしたものの、
完全にすっきりしていない感じがいかんともしがたく、
思わず変な声が出る映美莉。
気が完全に抜けきっている。
完全にダメになっている証拠である。
そんな風に5,6分転がり続けた頃だろうか。
突然跳ねるように体を起こしながらその場を離れる映美莉。
その次の瞬間、
映美莉がいた場所に銀色に輝くナイフが3本突き刺さる。
綺麗なナイフだ。
芸術的な価値の方が高いように見える。
むろん、人になげつけていいものではないし、
危険極まりない代物であることに変わりないが。
しかも――
「――危ないものだ。
これが普通の人なら確実に死んでたぞ。
頭、喉、心臓の三点かな?
どうみても急所目掛けての一撃。
我だったからよかったような……
いや、不運だったというべきなのかな?
しかし、
なんだな……
祝福された銀の儀礼短剣……
確かに吸血鬼には有効な装備である事は認めるが、
残念ながら我は吸血鬼であって、
吸血鬼でないようなものだ。
別段弱点という訳では――っと。」
飛来する2本のナイフを、
右手と左手を動かし止める。
それと同時に頭上から飛来するものを察知した映美莉は、
受けて止めたナイフで撃ち落とした次の瞬間――
――パシャリ。
冷たい水が降りかかる。
まあ、この流れからすると当然――
「……聖水ぶっかけられても風邪ひくかもしれないくらいだからな?
普通の人に水ぶっかけるようなもんだからな?
というか、
流石にいい加減にしないと怒るぞ。
別段何かされる覚えは……
……お礼回りくらいしか思いつかんな。
とはいえ、その手の輩がやる事でもなし。
……
とりあえず出てきたらどうだ?」
くいくいと分かってるんだぞというように手招きをする映美莉。
気配を探るも何もあれだけ攻撃されたら、
流石にどこから攻撃してきてるのかくらいは分かる。
後はその方向に向かって挑発する簡単なお仕事……
というやつである。
出て来るならよし、
出てこないのであればめんどくさいから逃げよう……
等と映美莉が考えていると……
「……くっ……」
動きやすいように改造が加えられているが、
一目が分かるシスター服に身を包んだ女性が1人現れる。
容姿は美しい。
年の頃は20前後くらいだろう。
蒼い髪がシスター服の頭につけているコイフから見える。
背は高すぎず低すぎず、
引き締まってはいるものの、
それなりに出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいる。
これで敵対的でなければ映美莉にとっては嬉しいのだが、
残念ながら敵対心ばりばりというか、
そもそもこちらの命を最初から狙ってきている。
命を狙った理由はといえば、
相手の服装からすると一目瞭然ではあるが。
「なるほど。
目的に関しても大体分かった……
というか、吸血鬼そのものではなく、
吸血鬼の能力を持っている只の人だというのに、
ご苦労な事だ。
まぁ、確かに敬虔な信者という訳ではないが……
別段信仰などいろいろあるし、
その形も様々だから問題はあるまい。」
やれやれと両手を広げ首をふりながら、
こちらに敵対の意思はないし、
そちらにどうこうされる理由もないというのをアピールするが……
「だ、黙りなさい!
吸血鬼の能力をもった人間って、
それもはやほとんど吸血鬼じゃないですか!
それに、私は聞いています……!
貴女という人はいろんな女性に声をかけて……!
同性愛の人間で、
それに……!
それに……!」
否定できるところが一切ないが、
「まぁ、いわれてみればさもありなんというか、
否定出来る要素はないな。
とはいえ、
そこまで怒られるようなことでもないし、
というか……
それに……なんだい?
……
……?」
他に何かあったっけと思いながら、
思い出しつつ、
何かひっかかるものがある。
そういえば彼女とは本当に初見だったろうか。
声をかけてナンパした相手なら忘れないのだが、
忘れているという事は少なくとも声はかけてない。
だが、ひっかかるものはある。
そうして考えていると、
シスター服の彼女はぷるぷる震えながら、
真っ赤になって懐から白木の杭を取り出し――
「う……うううううう!
やはり貴女は女の敵です!
女の敵!
私の純情をかえしてください!
男の人に絡まれていたところをサラっと助けてもらって、
気が付いた時にはいなくなってて、
あとでいろんな人に話を聞いた時の私の気持ちが分かりますか!?
ええ、ええ……!
私情、私怨が混ざっているのは否定しません、
否定しませんが……!」
こちらに向かって構えてくる。
そして、言われて思い出した。
あれは――
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えみりん 「はい。ここまで。今回の日記は終了。」 |
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えみりん 「後は茶番回となりまーす。いえ―拍手ー」 |
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えみりん 「やっぱり10日ってきついね。もうちょっと猶予ほしい今日この頃。」 |
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えみりん 「当初の予定だからわかってたんだけど、こう体とかのサイクルがね。うん。」 |
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えみりん 「のりにのってる時はいいんだけど、ムラも多いからねぇ。。。」 |
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えみりん 「だからこそさくっとかける人は凄いなと思う訳だが。」 |
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えみりん 「駄文なんだからさっさとかけよとかいわれそうだけどね!うん!」 |
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えみりん 「ごめんねごめんねーって事で。」 |
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えみりん 「という訳で折角の茶番なので、何か語っていきたいと思うが……」 |
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えみりん 「やはりキャラについてだな。割とNPCを多用してるけど……」 |
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えみりん 「時間が足りない、ネタを用意してかかねばならないとなると、」 |
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えみりん 「便利!便利なのだ!NPCというものは!」 |
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えみりん 「設定とか気にせずに使えるしな。だって設定元我だし。仕方ないね。」 |
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えみりん 「では、次に我が忘れものをしまくる件についてだが……」 |
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えみりん 「運命……そう我は運命に愛されている!故に運命がそうさせるのだ!」 |
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えみりん 「……………………………………………………………ダメかな?」 |
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えみりん 「メタメタな話をするならば、完璧であるより欠点がある方がいい、」 |
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えみりん 「そして、その欠点は望みを致命的に失敗に導き、なおかつ……」 |
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えみりん 「身近に感じられ愛されるものがいい!」 |
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えみりん 「そういう事らしいな。我にとっては迷惑この上ない話ではあるのだ、」 |
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えみりん 「あるのだが……」 |
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えみりん 「だからこそ……身近にいても危険性を感じない。そんな意味合いもある。」 |
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えみりん 「で、あるが故に、まぁ、キャラとしては単なる不注意な訳であるが、大きな意味合いをもつ。」 |
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えみりん 「不注意であるのはどんな形であれ満たされているからだ。」 |
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えみりん 「ならば、満たされていなければ、こいつの忘れ物はほぼなくなる訳だ。」 |
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えみりん 「満たされていない状態。それは……」 |
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えみりん 「私に平穏が望むべくがない状態、そして……私が闇に堕ちてしまった状態のいずれかだ。」 |
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えみりん 「分かりやすい例でいうとアンジニティえみりんだな。」 |
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えみりん 「もっと簡単にいえば、バッドエンド後じゃねぇか!いい加減にしろ!って奴だな。」 |
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えみりん 「あらゆる意味で我よりも格上だ。力とかでなら手に入らないものなどほとんどないだろう。」 |
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えみりん 「しかし極一部の例外を除き、基本的に永遠に満たされぬ宿命にとらわれ、幸せはない。」 |
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えみりん 「その変わりわすれものはない、ないのだ。」 |
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えみりん 「意味ない上に解決方法ないじゃないか、いい加減にしろ!」 |
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えみりん 「我が!我が何度!かっこつけてきめて!それで失敗してきたと思っている!」 |
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えみりん 「くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!訴訟も辞さない!」 |
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えみりん 「という訳で大事な要素である。で、我の実力についてだが……」 |
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えみりん 「まぁ、強いし、制圧力はあるが、戦いとなれば話は別だな。」 |
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えみりん 「ぶっちゃけ!経験不足!です!」 |
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えみりん 「喧嘩とかならまぁ、つよくても、命のやりとりとかは……って奴だな。」 |
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えみりん 「経験さえ、経験さえつめば……!」 |
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えみりん 「というのが解決策だし、普通ならそれでうまくいく。」 |
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えみりん 「実際アンジニえみりんはそういう経験高いからつよ……あれ?」 |
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えみりん 「我も今経験つんでるから問題なく強くなれ……」 |
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えみりん 「ないんだよなぁ。というのも我が積極的に命を奪うタイプじゃないし……」 |
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えみりん 「故に、経験値が足りなくて劇的につよくなれません!解散!」 |
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えみりん 「必然、力にたよった戦い方しかできないっていうオチが待っていると。」 |
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えみりん 「まぁ、そうはいっても、基礎能力が高いのと戦ってはいるわけだからな。」 |
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えみりん 「当然それなりには強くなってはいくし、それなりには強い。」 |
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えみりん 「……強くなりたいなぁ。うん。ま、弱点が非常に多い訳だ。経験豊富だったり、」 |
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えみりん 「力の強い相手と戦う手段を持ってる相手だとなー。つらい。」 |
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えみりん 「まぁ、最大の弱点は女の子なんだがな!女の子!」 |
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えみりん 「レディ相手だとやっぱりどちらかというといちゃいちゃしたい気持ちもあるし、」 |
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えみりん 「いなかったらいなかったで、こう……なぁ?」 |
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えみりん 「悲しいけど仕方ないね。。」 |
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えみりん 「という訳で本日はこの辺りでだな。次回は回想と戦いの決着。」 |
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えみりん 「頑張ってかくぞ!……」 |
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えみりん 「かけるといいなぁ。」 |
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えみりん 「ま、期待してる人は気長にまってくれ!」 |

[843 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[396 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[440 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[138 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[272 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
[125 / 500] ―― 《商店街》より安定な戦型
[125 / 500] ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
[24 / 500] ―― 《古寺》戦型不利の緩和
―― Cross+Roseに映し出される。
フレディオ
碧眼、ロマンスグレーの短髪。
彫りが深く、男前な老翁。
黒のライダースジャケットを身に着けている。
ミヨチン
茶色の瞳、桜色のロング巻き髪。
ハイパーサイキックパワーJK。
着崩し制服コーデ。
エディアン
プラチナブロンドヘアに紫の瞳。
緑のタートルネックにジーンズ。眼鏡をかけている。
長い髪は適当なところで雑に結んである。
白南海
黒い短髪に切れ長の目、青い瞳。
白スーツに黒Yシャツを襟を立てて着ている。
青色レンズの色付き眼鏡をしている。
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フレディオ 「いよぉ!なるほどこう入んのか、ようやく使えそうだぜ。」 |
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ミヨチン 「にゃー!遊びに来たっすよぉ!!」 |
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エディアン 「にゃー!いらっしゃいませー!!」 |
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白南海 「毎度毎度うっせぇなぁ・・・いやこれ俺絶対この役向いてねぇわ。」 |
ロストのふたりがチャットに入り込んできた。
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ミヨチン 「・・・・・?おっさん誰?」 |
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フレディオ 「フレディオにゃー。ピッチピチ小娘も大好きにゃん!」 |
 |
ミヨチン 「・・・・・」 |
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エディアン 「・・・・・」 |
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フレディオ 「・・・いやジョークだろジョーク、そんな反応すんなっつーの。」 |
 |
ミヨチン 「大好きなのは嬉しーけど、そのナリでにゃんは痛いっすよぉ! なんすかそれ口癖っすかぁ??まじウケるんですけど。」 |
 |
フレディオ 「え、あぁそっち?・・・ジョークだジョーク。」 |
 |
エディアン 「私はそっちじゃないほうですね。顔がいいだけに残念です。」 |
軽蔑の眼差しを向けるエディアン。
 |
白南海 「・・・別にいいだろーよ。若い女が好きな男なんてむしろ普通だ普通。」 |
 |
フレディオ 「おうおうそうだそうだ!話の分かる兄ちゃんがいて助かるわッ」 |
 |
フレディオ 「・・・っつーわけで、みんなで初めましてのハグしようや!!!!」 |
 |
ミヨチン 「ハグハグー!!」 |
 |
エディアン 「ダメダメやめなさいミヨちゃん、確実にろくでもないおっさんですよあれ。」 |
ミヨチンを制止する。
 |
フレディオ 「・・・ハグしたがってる者を止める権利がお前にはあるのか?」 |
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エディアン 「真面目な顔して何言ってんですかフレディオさ・・・・・フレディオ。おい。」 |
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白南海 「お堅いねぇ。ハグぐらいしてやりゃえぇでしょうに。」 |
 |
フレディオ 「そうだそうだ!枯れたおっさんのちょっとした願望・・・・・」 |
 |
フレディオ 「・・・・・願望!?そうかその手が!!!!」 |
 |
エディアン 「ゼッッッッタイにやめてください。」 |
フレディオの胸倉をつかみ強く睨みつける!
 |
白南海 「そういえば聞きたかったんすけど、あんたらロストって一体どういう存在――」 |
――ザザッ
チャットが閉じられる――