［基本］OK.　［戦闘］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

第10話　正義執行はダイナミックこんにちは



　翌日、目が覚めて身支度をしていると、いつものごく扉が開き、ミーシャ先生が姿を見せた。



　痛みで倒れたきりだったから、その事で話があるだろうとは思っていた。
　悪魔と契約するという離れ業で解決済みではあるのだが。



　確かに異常ですね。悪魔の声が聞こえてしまうのです。


　先生は本当にいい人だ。きっと色々俺の身体を調べてくれたんだろう。
　将来はこんな先生になれたら良いなとふと思った。勉強に、進学費貯めるアルバイトもせねばならないなぁ。まぁ頑張ってみても良いかもしれない。



　とりあえず、様子を見よう。あの野郎の言ってることが本当なら多分必要ない。









　研究したいのか、と頬を引きつらせながら、しかし同時に研究の為という建前で異能者になった自分の居場所を用意してくれようとしていることに感謝する。

　ミーシャ先生はでっかいな
　
　悪魔の事をだまったままの自分に後ろめたさを覚えつつ、一度家に帰って荷物を持ってくると話して先生を見送った。




◆◆◆




──良かったのか？　相談せずに出てきて──


──まぁ、オマエがいいなら何でもいいけどよ。それより、せっかく外に出たんだ。さっそく正義執行するぞ──


──お互いな──


──まぁそう急くなよ。お前に俺の持つ権能の一つ、千里眼を使えるようにしておいた──


──千里眼は使用者に遥か先を見通す力を授ける。コンクリートや木々といった障害物は全て透過して先を見る魔眼の力よ──


──いやらしいこと考えるなよ？──


──正義の名のもとにふらちな使い方は禁止する。あ、服とか透過しないからそこんとこよろしくな──


──いいから目に力を込めろ、体の中の魔力を循環させ、目に集めるんだ──


──あっちの方に銭湯があるな、女湯って書いてあるぞ──


　一瞬体に力が沸いたかと思うと目が少し熱くなる。いやもしかしたら充血しているだけかもしれないが。ビル群の中を抜け、大通りを渡ったその先、駅の近くの銭湯、その暖簾の先、番頭さんが居る横を抜け……

──はいカーット──


──なんだ、出来るじゃねぇか──


──そこまで出来るなら話は早い。三本奥の通りを右に行った廃墟ビル見て見な──


──人命に関わるぜ──


　言われた場所へと力を集中させる。
　すっかり千里眼が馴染んでしまったことに、エロスは世界を救うかもしれないとうっすら思いながら、もう一度力を集める。

　そこには複数の学生服の男に囲まれる少女の姿があった。


──見たまんまの状況よ。さぁ、準備はいいか──

　こくりと頷き四肢に力を入れる。

──正義執行の時間だ！──

　俺は全速力で走りだした。鋼鉄の足が大地を弾く。
　ドンッという軽い衝撃で大地の砂ぼこりを巻き上げ、いきなりトップスピートで走り出した。
　壁の塀を一足飛びに飛び超え、通りを一瞬で駆け抜ける。
　大通りを反対側の歩道へとジャンプで飛び超え、ビルの間の狭い道を駆け抜ける。
　積みあがったゴミの山を前に、ビルの壁を蹴りつければ、鋼鉄の足は見事に壁に食い込み、程よい引っ掛かりとなって体を持ち上げた。


　自分の身体能力をその時はっきりと把握する。
　筋力だけではなく神経も研ぎ澄まされていることに改めて気づく。
　壁を駆け上がるとその勢いのまま3階の窓枠に指を引っ掛け弾くように体を前に打ち出した。
　ついでとばかりにビルの壁を蹴って加速する。
　ビルとビルの間から飛び出すと、見えてきた民家の屋根を一蹴り、弾むような体を前に前にと進めること3軒。
　鉄骨製、コンクリート造りの屋根上を思いっきり踏みつけて大きく跳躍すると、建築現場の資材置き場で囲まれる女性が目に入る。


　ふらちな男どもに囲まれるそのど真ん中へと飛び上がった。








　卑下たる笑みを浮かべた男が少女へと近づく。


　不埒な男共を遮るように、頭上から舞い降りる。
　砂ぼこりを巻き上げ着地すると、少女を背後に庇って立ちふさがる。


　登場にド肝を抜かれたのか、数歩後ずさる男達。
　しかしあまり頭がよろしくないのか、直ぐに調子を取り戻すと、眉根を寄せて顎をしゃくりながら喚きだす。


──薬物を摂取して脳みそがイカレタ可哀そうなゴミ共だな。右から二番目のやつ、見えるか──


　コスプレなのか、グラサン男の頭には薄く光る角が生えている。

──そいつだ。角が見えるだろ。普通のやつには見えねぇが、俺達千里眼持ちにははっきり見える。あれは悪魔が憑依している状態だ。火と死の属性を感じるな。鬼火や亡者火あたりじゃねぇかな。小物だが最初の相手ならこんなもんだろうよ──


──ぶん殴れ。殺すなよ？──




　ゲス野郎で良かった。殴るのに呵責が無くていい。

　一歩踏み込む。

　身を低く地を舐めるように前に進み、引いた右手をただ前に突き出す。
　押し出すように突き出された拳は不良Ａの顔面に頬から綺麗にめり込んだ。


　綺麗に拳が入った男はその場で錐揉み回転しながら弾け飛び、無様に顔面から大地に激突した。
あれは痛そうだ。


　喚いて拳を振りかぶった不良Ｂを無造作に蹴り上げる。

　大して威力を出したつもりはなかったのだが、鋼鉄の足だったことを忘れて蹴った為、男は鉄柱でぶん殴られたようにくの字になって地面を滑った。


　背中から殴り掛かってくる不良Cの拳を振り向きざま、左手で外へと交わし、右手の裏拳で頬を叩く。
　これまた鋼鉄の手だということを忘れて叩いた為、男の鼻は嫌な形に曲がって血にまみれた。
意識があるようだったので、前蹴りをして大地に転がす。


──お前の師匠のミーシャは、言っておくが人類史の中でも頂点付近の使い手だからな。あれを相手に命を懸けたスパーリングで技を盗んでるんだ。おまけにこの身体能力。不良なんかただの雑魚よ──


──今のオマエはも大概だがな。ほら、獲物が来るぞ、無力化しろよ──
　金属パイプを持った角ありグラサンがヨダレを垂らしながら襲ってくる。



──オマエで遊ぶ気だろうかね──


　絶対にお近づきになりたくない系の悪魔であった。

　もはや容赦はない。


　振り下ろされた鉄パイプを義手で弾く。
　硬質な音を響かせてパイプが曲がり、弾かれる。
　がら空きの腹に目掛けて全力の左フックを叩きこんだ。
　アッパー気味に斜め下から打ち上げるようにねじ込まれた拳に、相手の身体が一瞬浮き上がる。
衝撃でグラサン男の頭が下がる。
　そこに追い打ちのハイキックをお見舞いする。鞭のようにしなった蹴りが、グラサン男の首を狩るようにぶち込まれた。

──容赦ねぇなぁ──


──ケッケッケッケ。ほら本性を現したぞ──

　ゆらりと揺れるようにグラサン男が立ち上がると、背中から炎を噴き出した。
　さらにグラサンを地面に捨て、目と口、鼻からも火を噴き出す。
　背中の火は羽に、顔面から噴き出す火は虫の頭の形を取った。
　グラサン男改め、虫頭が手を前にかざすと、火で出来た槍が現れる。

　虫頭は虫顎を歪めて醜く笑うと、天に向かって奇声を上げた。


──ここからが本番だ──

特に何もしませんでした。

ミーシャ(1059) に ItemNo.11 ポプラ を送付しました。
サクモ(1057) に ItemNo.6 毒牙 を送付しました。
チヨミ(1238) に ItemNo.23 何かの骨 を送付しました。

自然LV を 5 UP！（LV15⇒20、-5CP）
合成LV を 5 UP！（LV15⇒20、-5CP）

サクモ(1057) により ItemNo.22 翌檜 から装飾『耐衝撃デジタル腕時計：諜報仕様』を作製してもらいました！
　⇒ 耐衝撃デジタル腕時計：諜報仕様／装飾：強さ200／［効果1］幸運25 ［効果2］－ ［効果3］－

ItemNo.22 耐衝撃デジタル腕時計：諜報仕様 に ItemNo.3 駄物 を付加しました！
　⇒ 耐衝撃デジタル腕時計：諜報仕様／装飾：強さ200／［効果1］幸運25 ［効果2］体力10 ［効果3］－

ミーシャ(1059) の持つ ItemNo.20 投擲用Bジャベリン に ItemNo.21 ポプラ を付加しました！
ミーシャ(1059) の持つ ItemNo.19 北栄の壺 に ItemNo.1 駄物 を付加しました！

ミコト(998) とカードを交換しました！

ファルクスドール （ファルクス）


ヒドラジン を研究しました！（深度1⇒2）
マスフレイム を研究しました！（深度0⇒1）
マスフレイム を研究しました！（深度1⇒2）

グランドクラッシャー を習得！
強打 を習得！
オートイグニッション を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

ユウ(1049) は ペットボトル を入手！
サクモ(1057) は ボロ毛布 を入手！
ミーシャ(1059) は ペットボトル を入手！
チヨミ(1238) は ボロ毛布 を入手！
チヨミ(1238) は 蒼小石 を入手！
ユウ(1049) は 鉄くず を入手！
ユウ(1049) は 不思議な牙 を入手！
チヨミ(1238) は 蒼小石 を入手！

ウシ区 F-7（道路）に移動！（体調11⇒10）
ウシ区 G-7（山岳）に移動！（体調10⇒9）
ウシ区 H-7（山岳）に移動！（体調9⇒8）
ウシ区 I-7（道路）に移動！（体調8⇒7）
ウシ区 J-7（沼地）に移動！（体調7⇒6）

［842 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［382 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［420 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［127 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［233 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［43 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［27 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　




　






　

　

　

落ち着きなくウロウロと歩き回っている白南海。





　




　

ゆらりと顔を上げ、微笑を浮かべる。

　













　

　

　






　




　

　




　




　

　

　

チャットが閉じられる――