
「騎士」の人達には、それぞれ役割が存在している
「白の騎士」は、基本的にお家の人達を守ってくれるお仕事
「黒の騎士」は、基本的に外に向けてのお仕事が多い。俺にはよくわからない部分が多い
「灰色の騎士」は、ちょっとだけ特別。「騎士」に対するお仕事だと聞いている
あくまでも「基本的に」、だ。例外はいくつも存在する
「先生」は「白の騎士」筆頭だけれど、外向きの仕事もいっぱいしているし、「黒の騎士」筆頭のジェルトヴァさんや、虎樹さんもなんだかんだ護衛のお仕事が多い
そんな中でも、カースさんはかなり特殊な部類なのだ、とキャストライトさんがこっそり教えてくれたことがある
あの人が守るのは、お家の人じゃなくて違う人
その人は「特別」で、カースはその人を守ると同時、「どうしようもない事態」に備えているだと聞いている
カプリス兄さんから授けられるはずの『騎士よ武器を取れ《ナイト・オブ・グローリー》』が、カースさんだけちょっと違うのもそのせいらしい
その「特別」である事が、任せられている役割が、カースさんにとってはちょっと誇らしい事らしかった
俺はあまりあの人と接触することはないけれど、そのお仕事を誇りに思っているのはなんとなく伝わってきた
だから
…………だから
今のカースさんが、大丈夫かな、と
少し、心配になってしまう
カース・グリムワール
コンソラータ家「黒の騎士」が一人にして「正体不明」
あの男には、20年よりも前の記録が存在していない
突然、そこからぽっと生えたように、突然現れた存在だ
詳しく調べようとすると「妨害」が入る
あの女が「ヤバそうな感じがする」と言っていたから、おそらくコンソラータ家による情報隠蔽が働いているのだろう
「騎士」一人に関することで情報隠蔽を行う事にはやや違和感があるが、それだけの事情がある、という事か
あの男の「仕事後」の現場を見た限りでも、できる限り関わるべきではないのだろう
実際のところ、カースの立場は若干特殊なのだろう
「黒の騎士」ではあるが、あいつが優先すべきは「彼女」の案件だったのだから
まぁ、仕方ない
「彼女」がそういう存在である以上、優先しなければいけない事は確かだ
「万が一」にあいつは備えていた
備えていたつもりだったのだろう
果たして、その「覚悟」がどこまでだったのかは、俺にはわからない
ただ、その「覚悟」は果たされることはなった
あいつにとっては、「約束」が果たされなかった事になる
アーキナイトにとってもそうだった事は確かだが、その「約束」はむしろカースにとってひどく重要なものだった
あいつは、立ち直れるんだろうか
悪い方向へ転がらないことを、俺は祈ることしかできそうにない

[822 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[375 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[396 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[117 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[185 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
―― Cross+Roseに映し出される。
アンドリュウ
紫の瞳、金髪ドレッドヘア。
体格の良い気さくなお兄さん。
料理好き、エプロン姿が何か似合っている。
ロジエッタ
水色の瞳、菫色の長髪。
大人しそうな小さな女の子。
黒いドレスを身につけ、男の子の人形を大事そうに抱えている。
エディアン
プラチナブロンドヘアに紫の瞳。
緑のタートルネックにジーンズ。眼鏡をかけている。
長い髪は適当なところで雑に結んである。
白南海
黒い短髪に切れ長の目、青い瞳。
白スーツに黒Yシャツを襟を立てて着ている。
青色レンズの色付き眼鏡をしている。
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アンドリュウ 「ヘーイ!皆さんオゲンキですかー!!」 |
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ロジエッタ 「チャット・・・・・できた。・・・ん、あれ・・・?」 |
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エディアン 「あらあら賑やかですねぇ!!」 |
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白南海 「・・・ンだこりゃ。既に退室してぇんだが、おい。」 |
チャット画面に映る、4人の姿。
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ロジエッタ 「ぁ・・・ぅ・・・・・初めまして。」 |
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アンドリュウ 「はーじめまして!!アンドウリュウいいまーすっ!!」 |
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エディアン 「はーじめまして!エディアンカーグいいまーすっ!!」 |
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白南海 「ロストのおふたりですか。いきなり何用です?」 |
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アンドリュウ 「用・・・用・・・・・そうですねー・・・」 |
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アンドリュウ 「・・・特にないでーす!!」 |
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ロジエッタ 「私も別に・・・・・ ・・・ ・・・暇だったから。」 |
少しの間、無音となる。
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エディアン 「えぇえぇ!暇ですよねー!!いいんですよーそれでー。」 |
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ロジエッタ 「・・・・・なんか、いい匂いする。」 |
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エディアン 「ん・・・?そういえばほんのりと甘い香りがしますねぇ。」 |
くんくんと匂いを嗅ぐふたり。
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アンドリュウ 「それはわたくしでございますなぁ! さっきまで少しCookingしていたのです!」 |
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エディアン 「・・・!!もしかして甘いものですかーっ!!?」 |
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アンドリュウ 「Yes!ほおぼねとろけるスイーツ!!」 |
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ロジエッタ 「貴方が・・・?美味しく作れるのかしら。」 |
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アンドリュウ 「自信はございまーす!お店、出したいくらいですよー?」 |
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ロジエッタ 「プロじゃないのね・・・素人の作るものなんて自己満足レベルでしょう?」 |
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アンドリュウ 「ムムム・・・・・厳しいおじょーさん。」 |
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アンドリュウ 「でしたら勝負でーすっ!! わたくしのスイーツ、食べ残せるものなら食べ残してごらんなさーい!」 |
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エディアン 「・・・・・!!」 |
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エディアン 「た、確かに疑わしい!素人ですものね!!!! それは私も審査しますよぉー!!・・・審査しないとですよッ!!」 |
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アンドリュウ 「かかってこいでーす! ・・・ともあれ材料集まんないとでーすねー!!」 |
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ロジエッタ 「大した自信ですね。私の舌を満足させるのは難しいですわよ。 何せ私の家で出されるデザートといえば――」 |
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エディアン 「皆さん急務ですよこれは!急務ですッ!! ハザマはスイーツ提供がやたらと期待できちゃいますねぇ!!」 |
3人の様子を遠目に眺める白南海。
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白南海 「まぁ甘いもんの話ばっか、飽きないっすねぇ。 ・・・そもそも毎時強制のわりに、案内することなんてそんな無ぇっつぅ・・・な。」 |
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白南海 「・・・・・物騒な情報はノーセンキューですがね。ほんと。」 |
チャットが閉じられる――