
ええと。
ここが向こうの写しなら、この辺りたしかヒノデ区かなあ。
最初の場所よりいくらかさ、人気も少なくなってに来たね。
やっと、ちょっぴり、静かになったら
ようやく、いくらか、落ち着ける。
あぁ。
今ってさ、どれくらい時間経ったっけ?
だけれどまだまだ、経ってないよねえ。
大きな時計のあの針も、一度も帰ってないものねえ。
一分、一秒、時間てさ。こんなに沢山長かったっけ。
……あーぁ。
ねぇ。
向こうはあれから季節が流れて、今頃確か6月だ。
夏に向かって雨が降る、梅につく実が熟す頃。
君はさ、だけど雨って嫌いかなぁ。
僕は結構、好きなんだけどね。
青い枝葉を雫が打ってさ、ぽつ、ぽつ、地面を濡らす音。
透明をした音の霧が、被さるみたいに辺りを包んで、
そうして全く静かみたいで。
なんだかとっても、落ち着くんだよねえ。
ふふ。こう言うのって。不思議と忘れない物だよねえ。
僕が生まれたの、あの頃なんだ。
まだね、まだ。君と出会うより幾年前の、6月の雨の日だったなあ。
あのね。僕にも母さんが居たんだよ。
あはは。
だけど、当然だよね。
生まれて幾らも短い頃の、雨の6月の頃にはさ
くうるり抱かれた腕の中でね、その音じいっと聞いていた。
なんだか、懐かしいなあ。
あのね。僕には兄妹が沢山いたんだ。
みいんな、それきり散り散りで。誰のひとつも会っちゃあないけど。
今頃みんな、どうしてるかなあ、だなんて、ね。
ひょっとして。誰も今頃、死んだのかも。
……まさかね。
君にはさ、兄妹はだけど居なかったよね。
そうしてずうっと独りで居た事、だって、僕はね知ってるもの。
きっととっても、寂しかったでしょう。
君ってばいつも独りで居てさ
誰か避けるようにすごしてた。
独りで居るのが好きだって
誰かに言ったの知ってるよ。
それからそれが、嘘って事もね。
君はさ、君は、知らないんだ。
そうしてずうっと独りでいたから
ずいぶん寂しいその癖に、独りでいる事その他に
どうしていいかが知らなかったんだ。
……人っていっつも嘘を言う。
そうしてまさか、君さえも。
零して嘘を言うんだものね。
あはッ。
だけど、君の嘘ってかわいくて。
それってとっても下手なんだ。
あのね
嘘って、覚えてゆくものだ。
誰かと話して交わって、揉まれて汚れて覚えて行くもの。
だから君はさ、君はそうして、嘘言う事さえわからないんだ。
あふふ……
勘違いをしないで。
馬鹿にしようって言うんじゃないんだ。
僕はね、だから好きなんだから。
そうして君が綺麗でいるから。
だからね、僕は好きなんだから。
あのね。
だけど君はもう。もうね。もう二度と。
嘘だなんては言わなくて良いんだ。
君をもう。もうね。もう二度と。
独りに何てしないから。
僕がずうっと一緒にいるから。
何があっても、一緒だからさ。
はぐれたりなんて、しないから。
……ねえ。
僕たちこれからどこへ行こうっか。
もしもね、君が望むなら。
生まれ変わるのもけれど、悪くはないかなあ、なんて。
ちょっぴりだけどさ。今ね、想った。
ふふ、大丈夫だとも。
そうしてどこへ流れて行っても。君の事はね、離さないから。
もしもそうして生まれ変わって。
君と兄弟になるのも、いいかな。なんて……
ふふ。ちょっぴりね、ちょっぴりだけ。
なんだか、そんな事を想ったんだ。
……あーぁ。
ねえ。
ここにも雨って、降るのかなあ。

[822 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[375 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[396 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[117 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[185 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
―― Cross+Roseに映し出される。
アンドリュウ
紫の瞳、金髪ドレッドヘア。
体格の良い気さくなお兄さん。
料理好き、エプロン姿が何か似合っている。
ロジエッタ
水色の瞳、菫色の長髪。
大人しそうな小さな女の子。
黒いドレスを身につけ、男の子の人形を大事そうに抱えている。
エディアン
プラチナブロンドヘアに紫の瞳。
緑のタートルネックにジーンズ。眼鏡をかけている。
長い髪は適当なところで雑に結んである。
白南海
黒い短髪に切れ長の目、青い瞳。
白スーツに黒Yシャツを襟を立てて着ている。
青色レンズの色付き眼鏡をしている。
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アンドリュウ 「ヘーイ!皆さんオゲンキですかー!!」 |
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ロジエッタ 「チャット・・・・・できた。・・・ん、あれ・・・?」 |
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エディアン 「あらあら賑やかですねぇ!!」 |
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白南海 「・・・ンだこりゃ。既に退室してぇんだが、おい。」 |
チャット画面に映る、4人の姿。
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ロジエッタ 「ぁ・・・ぅ・・・・・初めまして。」 |
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アンドリュウ 「はーじめまして!!アンドウリュウいいまーすっ!!」 |
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エディアン 「はーじめまして!エディアンカーグいいまーすっ!!」 |
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白南海 「ロストのおふたりですか。いきなり何用です?」 |
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アンドリュウ 「用・・・用・・・・・そうですねー・・・」 |
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アンドリュウ 「・・・特にないでーす!!」 |
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ロジエッタ 「私も別に・・・・・ ・・・ ・・・暇だったから。」 |
少しの間、無音となる。
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エディアン 「えぇえぇ!暇ですよねー!!いいんですよーそれでー。」 |
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ロジエッタ 「・・・・・なんか、いい匂いする。」 |
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エディアン 「ん・・・?そういえばほんのりと甘い香りがしますねぇ。」 |
くんくんと匂いを嗅ぐふたり。
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アンドリュウ 「それはわたくしでございますなぁ! さっきまで少しCookingしていたのです!」 |
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エディアン 「・・・!!もしかして甘いものですかーっ!!?」 |
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アンドリュウ 「Yes!ほおぼねとろけるスイーツ!!」 |
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ロジエッタ 「貴方が・・・?美味しく作れるのかしら。」 |
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アンドリュウ 「自信はございまーす!お店、出したいくらいですよー?」 |
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ロジエッタ 「プロじゃないのね・・・素人の作るものなんて自己満足レベルでしょう?」 |
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アンドリュウ 「ムムム・・・・・厳しいおじょーさん。」 |
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アンドリュウ 「でしたら勝負でーすっ!! わたくしのスイーツ、食べ残せるものなら食べ残してごらんなさーい!」 |
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エディアン 「・・・・・!!」 |
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エディアン 「た、確かに疑わしい!素人ですものね!!!! それは私も審査しますよぉー!!・・・審査しないとですよッ!!」 |
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アンドリュウ 「かかってこいでーす! ・・・ともあれ材料集まんないとでーすねー!!」 |
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ロジエッタ 「大した自信ですね。私の舌を満足させるのは難しいですわよ。 何せ私の家で出されるデザートといえば――」 |
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エディアン 「皆さん急務ですよこれは!急務ですッ!! ハザマはスイーツ提供がやたらと期待できちゃいますねぇ!!」 |
3人の様子を遠目に眺める白南海。
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白南海 「まぁ甘いもんの話ばっか、飽きないっすねぇ。 ・・・そもそも毎時強制のわりに、案内することなんてそんな無ぇっつぅ・・・な。」 |
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白南海 「・・・・・物騒な情報はノーセンキューですがね。ほんと。」 |
チャットが閉じられる――