［基本］OK.　［戦闘］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

　　　　　　　『英雄:１』


その男は仄暗い岩壁の隙間で生まれた。
ただでさえ暗鬱で闇深いアンジニティの、どこでもないような岩山の端であるから、その誕生を知るものは彼の母親だけであった。祝福などない。そこに喜びもない。おおよそ知的生命体の生まれる瞬間とは言い難いものであっただろう。
彼の唯一の家族である母は、男が生まれ落ちた瞬間のその姿を見て、かつての感情と記憶と意識を全て喪った。それは不快感故の事か、それとも罪悪感の至る先であったのか、もう誰にも確かめる術はない。
物言わず時々思い出したように我が身を叩いたり撫でつけたりしてくる母との生活は長くは続かなかった。栄養の少ない枯れ果てた地の食事と悪辣な環境に、純粋な人間としての彼女が耐えられる筈もなく、男が生まれてから二か月と経たずに母は天へと召されてしまった。当時の男にはそれを悲しいと思うほどの知識もなく、感情も育っておらず、ただ、動かなくなったその姿を数日眺め、美しかった肢体のあちこちが腐敗していくにつれて、ぼんやりと『これはもう居なくなった抜け殻なのだろう』という実感だけを持つに至っている。言葉も知らない男には、本当に実感だけの事であったのだが。

岩壁の隙間での生活は一年続いた。
男は普通の人間とは違う。勿論見た目もそうなのだが、成長する速度はとにかく早く、半年くらいの頃には既に現在の身体つきは出来上がっていた。
食べ物はほとんど無いため、母の肢体に寄り付いてくる虫や、襲い来る痩せた野犬や、壁を伝って落ちてくる夜露を舐めて凌いでいた。それでも男はしっかりと育っていたし、知識は無いが知能だけはあったので、様々に試行錯誤を繰り返して生活環境を整えていた。
彼がそうせざるを得なかったのは、時々自分の姿を見ては激しく追い立てる異例の生物　――　人間の存在のせいだった。
食べ物を求めて暗がりから這い出て少し先までいくと、人間の集落がある。その集落の中で、男が噂に上がっていたのだ。白骨死体に寄り添って過ごす異形、それを見たものが、まるで熊のようだが熊ではなかったと集落中に広めたのだった。
おかげで子供や武勇自慢の大人まで、様々なものが男を見物しに現れた。時には、武器を持って襲い掛かって来たりもしたが、男は運良くそれらの襲撃を全て逃げ切った。
枯れ木を積んだだけの住居は荒らされ――もっとも、元から整っていたわけではないのだが――男にとっては住みづらい場所になってしまった。気づけば母の白骨もどこかに消えてしまっていたし、貯めこんだ腐敗した肉などにも舌がビリビリする何かが撒かれていた。男はこの時点で、住み慣れたこの地を離れる事を心に決めていたように思う。

旅立ちの日、男が見上げた空には珍しく星の瞬きが見えていた。岩壁の隙間に居た頃は知らなかった世界の広さを男が実感し、感激を覚えた大切な日だった。

旅立ち、なんて言葉をヒロイックに記せばそれは壮大で美しい物語の一片のように聞こえるだろうが、現実は全身が毛むくじゃらの怪しい生物が、一昼夜歩いた程度で至れる先へと向かっただけの事なので、そんな大仰なものでは無いのだが、男にとってはまるで未知の連続だ。人一人の感情としては、まったくそれに相応しいものであった。
小高い丘を越え、暗い闇が支配する枯れ木の森を横目に、目前に広がる新たな荒野を背にした一つの山を見つけて立ち止まる男に朝の光が訪れると、なんとそれは、夥しい廃棄された物品が堆く積まれた人造の小山であった。見るもの全てが自然に存在しないような不可思議な眼前の風景に、男はここで初めて異常なまでの違和感と恐怖を抱いた。だが、半分は人間である彼にも、恐怖の対象こそ好奇心の対象となり得る人間の性質が持ち合わせられていたのだろう。その風景から彼は目線を逸らす事が出来ず、結果的にこのゴミ山に興味を持ったことにより、彼の旅はここで終わりを迎える事となる。

そのゴミ山には、本当に様々なものが存在した。全てが薄汚れていて、綺麗な状態のものなど殆ど無かったが、それでも男にとっては何もかもが輝いているように感じた。
何度も濡れては乾燥を繰り返したのであろうカラカラの毛布は身体に巻き付けたら暖かかったし、どろどろに腐った生ごみに寄り付く他の動物を食べれば飢えを感じる事もないし、たらいや窪みに溜まった水は夜露を舐めていた頃に比べれば無限に湧き出る恵みのように感じるものだ。周囲には人の住む集落も無く、彼を見に来る厄介な敵も居ない。地上の楽園で、男は、時折見える大好きな煌めく星を見上げながら、初めて『満たされる』という感情を覚えていた。
男にとってゴミ山での生活は本当に楽しかった。特に、書いてあることの意味は分からなかったが、本や絵を眺めるのが好きで、昼のうちはずっとそれを見つめて過ごした。それと、ピカピカと光ったものを搔き集めて眺めるのも楽しく、気づけば金属片からクズのような宝石まで一か所に小さく集めて、それを見つめて過ごす事もあった。何もかもが新鮮で、物に溢れるということの喜びは男を虜にしていた。いつまでも、いつまでもこうしていたかった。

やがて　―――時間にして二週間程度が過ぎた頃だろうか。

男は、聞いた事もない異音に、身体をびくりと震わせて目を覚ました。
ゴミ山の頂上から眼下を見下ろすと、何かが　――本当に見た事の無い何かが近づいて来ているのが分かる。
ガラガラと回る丸い何かが支える、四角い何かを、何かが引いていて、その上に何か見た事の無いものが乗っていた。こうとしか表現のしようがない、まさしく未知の存在だ。
後から考えればそれは荷馬車だと分かったのだが、それに搭乗している『あれ』は、現在の男にとっても表現のしようがないものだった。球状で、表面は常に濡れそぼっていて、黒くて、たくさんの細長い何かが飛び出していて。

異形である自分からしてもあまりにも異質、生命なのかどうかも分からないそれを茫然と見下ろしていると、その球状の何かはゴミ山の前で荷馬車を止め、コツコツコツと地面に細長い手足――と言っていいかは分からないが、それを下ろして降り立った。

そして、降り立つや否や　――――それは、何と、どこから発しているのかは分からないが、男に向けて、声を上げたのだ。


「おやぁ」


「お客さんだ。お客さんがいる」


その、声は、これまでに聞いた人間たちの声とはまるで違う、不思議に穏やかなものだった。

ぺちか(34) に ItemNo.14 合金製の磨いた杖 を手渡ししました。

ItemNo.18 わたあめ を食べました！
　体調が 1 回復！（16⇒17）
　今回の全戦闘において 攻撃13 防御13 増幅13 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

武術LV を 5 UP！（LV20⇒25、-5CP）
命術LV を 2 UP！（LV15⇒17、-2CP）
武器LV を 2 UP！（LV50⇒52、-2CP）
合成LV を 5 UP！（LV0⇒5、-5CP）

ぺちか(34) の持つ ItemNo.1 不思議な武器 に ItemNo.11 毛 を合成し、駄物 に変化させました！
エリカ(649) の持つ ItemNo.4 試製武装γ【暮亡】 に ItemNo.6 拡光鏡玉Ⅰ型 を合成し、駄物 に変化させました！
土塊と黄花(498) の持つ ItemNo.4 牙の先 に ItemNo.5 二輪花 を合成しようとしましたが、LVが足りないようです。

土塊と黄花(498) により ItemNo.12 真鍮製の磨かれた杖 に ItemNo.2 駄物 を付加してもらいました！
　⇒ 真鍮製の磨かれた杖／武器：強さ90／［効果1］攻撃10 ［効果2］攻撃10 ［効果3］－【射程2】

バイタルエクス(262) とカードを交換しました！

ヒーリングソング （ヒーリングソング）


フィアスファング を研究しました！（深度0⇒1）
イグニス を研究しました！（深度0⇒1）
バーニングチューン を研究しました！（深度0⇒1）

☆フィアスファング を習得！
☆初習得ボーナス：各FPが2増加した！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

ぺちか(34) は ラベンダー を入手！
ジアン(740) は 薔薇 を入手！
ジアン(740) は 韮 を入手！
ジアン(740) は ダンボール を入手！

▼エイド化候補（基本行動にてエイド化可能）
ぺちか(34) のもとに 韮マン が恥ずかしそうに近づいてきます。
ぺちか(34) のもとに ダンボールマン がゆっくりと近づいてきます。

ぺちか(34) に移動を委ねました。

カミセイ区 Q-1（山岳）に移動！（体調17⇒16）
カミセイ区 R-1（山岳）に移動！（体調16⇒15）
カミセイ区 R-2（山岳）に移動！（体調15⇒14）
カミセイ区 S-2（山岳）に移動！（体調14⇒13）
カミセイ区 T-2（山岳）に移動！（体調13⇒12）

採集はできませんでした。
　　 - ぺちか(34) の選択は チナミ区 H-16：チェックポイント《瓦礫の山》（ベースキャンプ外のため無効）
　　 - ジアン(740) の選択は チナミ区 H-16：チェックポイント《瓦礫の山》（ベースキャンプ外のため無効）

MISSION - 未発生：
　　 - ぺちか(34) の選択は カミセイ区 H-4：チェックポイント《森の学舎》（ベースキャンプ外のため無効）
　　 - ジアン(740) の選択は カミセイ区 H-4：チェックポイント《森の学舎》（ベースキャンプ外のため無効）

［787 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［347 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［301 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［75 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　

　　　ザザッ――

　

画面の情報が揺らぎ消えたかと思うと突然チャットが開かれ、

時計台の前にいるドライバーさんが映し出された。



　





　







　




　

チャットが閉じられる――