
やっちゃった。
もうちょっと我慢できた筈なんだけど、つい手を出しちゃったわ。
反省反省。そうねぇ、例えば争いを始めたのに狼狽する杏子ちゃんを抱きしめて安心させてから……なんて方がもっとドラマチックで良かったかも。
あーん! でもあんまり引き伸ばしすぎるとダレるから難しいのよねぇ。
でもあのままだと誰かが離脱しちゃいそうだったし?
ピコンちゃんも我慢できなかったみたいだからこれがベストだったって思っときましょ。
せっかくこんなめぐり合わせがあったのに掻き乱さないなんてもったいないもんね?
さぁ、明るくとぼけた御降先輩の時間は終わり。
ここからは、明るく戯けたお狐様の時間。
一番最初が貴方になるなんて……これも運命ってやつかしら。
コンコンコーン♪
そう言ってちょっと脅かしてあげた彼女の顔、観物だったわ。
そして割って入ってきたナイト様も、あはは……なんだそうだったの、貴方も化け物だったのね。
あはははははははは!!
さいっこー!!
血の匂い、異形の血の匂いがする。
十把一絡げの人間とは違う、そこにいるだけで世界を歪ませる一因となりうる幽世の血の匂い……我らが偉大なる稀血の香り!!
最高じゃない、なんて命の無駄遣い!
私は私の欲を満たし、貴方は貴方の希望にすがる。
悪意とエゴのぶつかり合いで、薄れ行く神秘を浪費する、私達みたいな化け物に相応しい退廃さ!!
ほらほら、守らなくて良いの?
貴方の大事な人が串刺しになっても良いの?
そう! それが見たかった!!
守って、庇って、立ち塞がって、大切な大切な杏子ちゃんを私なんかの手で汚さないように頑張ってよ!!
もっと、もっと血みどろの争いをしましょうよ!
私を嗤い、私を見下し、私を蔑み、私を憎み、私を殺しに来ると良い!!
そうして何度でも思い出しなさい、この一瞬一瞬で何度でも。
杏子ちゃんを守りきったその先に

[770 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[336 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[145 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[31 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
―― Cross+Roseに映し出される。
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エディアン 「・・・おや。チェックポイントによる新たな影響があるようですねぇ。」 |
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エディアン 「今度のは・・・・・割と分かりやすい?そういうことよね、多分。」 |
映し出される言葉を見て、腕を組む。
カオリ
黒髪のサイドテールに赤い瞳、橙色の着物の少女。
カグハと瓜二つの顔をしている。
カグハ
黒髪のサイドテールに赤い瞳、桃色の着物の少女。
カオリと瓜二つの顔をしている。
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カオリ 「ちぃーっす!!」 |
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カグハ 「ちぃーっす。」 |
チャット画面に映し出されるふたり。
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エディアン 「あら!梅楽園の、カオリちゃんとカグハちゃん?いらっしゃい!」 |
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カグハ 「おじゃまさまー。」 |
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カオリ 「へぇー、アンジニティの案内人さんやっぱり美人さん!」 |
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エディアン 「あ、ありがとー。褒めても何も出ませんよー?」 |
少し照れ臭そうにするエディアン。
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エディアン 「間接的だけど、お団子見ましたよ。美味しそうねぇあれ!」 |
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カオリ 「あー、チャットじゃなくて持ってくれば良かったー!」 |
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カグハ 「でも、危ないから・・・」 |
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エディアン 「えぇ、危ないからいいですよ。私が今度お邪魔しますから!」 |
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エディアン 「お団子、どうやって作ってるんです?」 |
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カオリ 「異能だよー!!私があれをこうすると具を作れてー。」 |
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カグハ 「お団子は私。」 |
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カオリ 「サイキョーコンビなのですっ!!」 |
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カグハ 「なのです。」 |
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エディアン 「すごーい・・・・・料理系の異能って便利そうねぇ。」 |
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カオリ 「お姉さんはどんな能力なの?」 |
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エディアン 「私は・・・アンジニティにいるだけあって、結構危ない能力・・・・・かなー。」 |
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カグハ 「危ない・・・・・」 |
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カオリ 「そっか、お姉さんアンジニティだもんね。なんか、そんな感じしないけど。」 |
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エディアン 「こう見えて凶悪なんですよぉー??ゲヘヘヘヘ・・・」 |
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カオリ 「それじゃ!梅楽園で待ってるねー!!」 |
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カグハ 「お姉さん用のスペシャルお団子、用意しとく。」 |
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エディアン 「わぁうれしい!!絶対行きますねーっ!!!!」 |
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エディアン 「ここじゃ甘いものなんて滅多に食べれなさそうだものねっ」 |
チャットが閉じられる――