［基本］OK.　［戦闘］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

　ヴィーズィーという人物について、ウィルヘルムが知る事はあまりにも少ない。


　白い鳥のような仮面に、全身を覆うローブ。そして勾玉にも似た宝玉の首飾り。一見して不審者とも取れるその姿に劣らず、中身もまた胡散臭いのは否定しきれない事実だ。年寄りの様などこか古臭い口調と飄々とした言動は、仮面のせいでくぐもった声も相まってその真偽をあやふやにしてしまっていたのをウィルヘルムはよく覚えている。
　ヴィーズィーという名もすら本来の名前ではないと本人は笑って言っていたが、その言葉が冗談などではなく真実であるならば、その殆どが謎に包まれたままの人物だと思っても間違いないだろう。

　まだ知り合っての年数が短いウィルヘルムは当然のことだが、決して短い付き合いではない筈のクリスに聞いてもその印象は変わらない。
　ヴィーズィーを義理の親として育ったクリスは、その経験もあってあの人物を無条件に信じている様だが、それでも知らないことばかりだと笑う。それでも別に問題はないから、というあっけらとした答えにはウィルヘルムも最初こそ呆れたものだが。


「まあ実際、ただ生活する分にはそれでも問題はないんだよな……困ったことに」


　別に敵という訳でもなく、当然ながら自分たちを騙して何か悪巧みをする訳でもなく、ただ普通に生活するだけならば別に相手の正体を深く知る必要はない。お互いに必要なだけの意思疎通が行なえ、尊重し合う関係性さえ築けているならば困ることなど実際になかったのは事実だ。一緒に活動するようになってからそれなりの年月を過ごしては居た経験を思い出してみても、そこは自信を持って断言できる。
　だからウィルヘルムも今まで、敢えてヴィーズィーの正体や過去や思惑を知ろうとも暴こうともしてはいなかった。その必要性は無かったからだ。

　が、ここに来て状況は変わった。
　クリスの体調不良は普通の医者に診せたところで解消されるものではない。逆に、人間に紛れて生活する関係上を思えば下手に医者に診せられない部類のものである。かといって、同じ様に界渡りを行う旅人を探し出して協力してもらう、という訳にもいかない。となると、後は実際にクリスのあの仮の身体を創り上げたヴィーズィーに直接診てもらうしかないという訳だ。


「しかし、そのヴィズとの連絡が取れないってのが痛いな……なにかの不具合か？」


　言って、ウィルヘルムは手の中に握りしめた小さなペットボトルほどの大きさの物を見下ろす。それはアンティークの鳥籠といった見た目の小さな入れ物だ。中には一匹の蝶が収められていて、今は大人しく羽を揺らめかせている。蝶といってもその見た目は既存のどの種類とも異なったものだ。まるで銀細工の様に見えるその全身は淡く紫に輝き、仄かな明滅を繰り返している。

　勿論、ただの蝶ではない。ヴィーズィーの魔力から生み出された、使い魔としての蝶だ。
　常に一緒に行動できるわけでなく、時に離れて活動する事も多いのもあって連絡に困るという事情から預かっていたものである。何せ、このイバラシティは通信手段に事欠かないが、他の世界ではまず遠隔とのやり取りが難しい──鳥類の様な、手懐けられる飛行生物を利用したりする事が多かったりするぐらいだ──のが基本だ。また、界を隔てた連絡などは流石に普通の通信機器では不可能である。その問題を解決する為に用意された使い魔だった。
　もっとも、それはウィルヘルムが預かっているものがその用途に特化しているだけであって、クリスが預かっている光蝶はまた他の機能があるらしいのだが……。





　閑話休題。何にせよ、今この世界でヴィーズィーと連絡が取れるものがあるとしたらこの蝶しかあり得ない。実際、最後に連絡をとったときには何も問題なく通話が出来たのだから、この蝶そのものに問題はないはずである。


「となると、問題が起きたのはヴィーズィーの方になる訳だ。その問題が何なのかってのがわからないのが一番の厄介事な訳だが……」


　ぼやきながらも、ウィルヘルムは歩みを止めないままに足元へと視線を向けた。トトトトト、という軽い足音を立てて半歩前を小走りに行くのは黒猫だ。首元に結わえ付けられた赤いリボンが歩みの度に揺れ、取り付けられている小さな鈴がチリチリと鳴り響く微かな音がする。


「メラン」

「めにゃ」


　呼び掛けにウィルヘルムの飼い猫、もとい使い魔は尻尾を揺らして応えた。


「本当にこっちで間違いないのか？　……どんどん人気が失せてる訳だが」

「にゃ！　めにゃにゃ！？　めにゃーん！！」


　不満げに鳴くのに苦笑を返しながら顔を上げたウィルヘルムは周囲を見回した。
　ここはウラド区の北東の端っこに位置する寂れた商店街の一角である。どれぐらい寂れているかというと、立ち並ぶ店舗が殆どが閉店か或いは定休日だかでシャッター街状態という具合である。人の気配は当然だが殆どない。ウィルヘルムがこんな辺鄙な場所に居るのは迷い込んだわけなどではなく、使い魔メランによる案内の結果だった。

　ヴィーズィーがウィルヘルムやクリスに使い魔である光蝶を預けたように、ウィルヘルムもヴィーズィーに頼まれてこの黒猫──正確には、同じ使い魔から生み出された分体だが──を貸し出した事があるのだ。それも、このイバラシティにヴィーズィーが滞在していた頃にである。
　その後、理由は不明だがこの黒猫だけはウィルヘルムの元へ再び返されていた。短期間とはいえこのイバラシティへの滞在していた記憶を持っているこの黒猫の記憶を辿れば、ヴィーズィーの居場所への手がかりが見つかるのではないか。そんな予想から、こうして案内をさせている訳である。

　メランの記憶が正しいならば、ヴィーズィーはこの商店街の一角で店を構えていたという。しかし、それらしいものは見当たらない。だいたい、シャッター街の中に開いている店舗自体が少ないように見えた。


「ヴィーズィーは占いの店を開いていたんだったか？　……しかし流石にこれだけ探して見つからないとなると、今はもう店そのものが無いとしか言えないかも知れないな」

「めにゃ……」


　しょんぼり、といった様子で落ち込んだ姿を見せるメラン。この黒猫は、今も熱で寝込んだままのクリスに一番懐いて──そう、主人であるウィルヘルムよりも、だ──いる。連日辛そうな姿を心配げに見守っていたメランとしても、ヴィーズィーを早急に見つけ出したいのだ。


「もしかしたらこの商店街が寂れすぎているから移転した可能性もある。近くの、もうちょっと人がいそうな所も探してみよう」

「めにゃ」

「確か……ウラド駅の近くにイバモールウラドがあったな。そっちを探してみるか」

「めにゃーん！」


　目標を定めた途端、意気揚々と走り出す黒猫。
　その姿に苦笑しつつ、ウィルヘルムもまた、小走りに後を追うのだった。

ウィル(72) から Wizard Robe を手渡しされました。

ミラン(1395) に ItemNo.9 毛 を送付しました。
ミラン(1395) に ItemNo.10 毛 を送付しました。

ウィル(72) から 腐木 を受け取りました。

領域LV を 5 UP！（LV0⇒5、-5CP）
装飾LV を 5 UP！（LV40⇒45、-5CP）

新田(1390) の持つ ItemNo.14 花びら から装飾『花の腕輪』を作製しました！
ウィル(72) の持つ ItemNo.4 何か柔らかい物体 から装飾『Defensive amulet』を作製しました！

レイジ(1278) により ItemNo.2 アルミ缶 から射程1の武器『鋼鉄の救急箱』を作製してもらいました！
　⇒ 鋼鉄の救急箱／武器：強さ82／［効果1］攻撃15 ［効果2］－ ［効果3］－【射程1】

ミラン(1395) により ItemNo.12 お野菜 から料理『BANKAラーメン野菜増し』をつくってもらいました！
　⇒ BANKAラーメン野菜増し／料理：強さ55／［効果1］器用10 ［効果2］幸運10 ［効果3］命脈10

ウィル(72) により ItemNo.2 鋼鉄の救急箱 に ItemNo.9 腐木 を付加してもらいました！
　⇒ 鋼鉄の救急箱／武器：強さ82／［効果1］攻撃15 ［効果2］腐食15 ［効果3］－【射程1】

新田(1390) により ItemNo.11 紫水晶の光珠 に ItemNo.7 黄鉄鉱 を付加してもらいました！
　⇒ 紫水晶の光珠／装飾：強さ100／［効果1］回復15 ［効果2］光纏10 ［効果3］－

ユヅキ(118) とカードを交換しました！

かわはるのらくがき （ユニティ）


五月雨 を研究しました！（深度0⇒1）
五月雨 を研究しました！（深度1⇒2）
五月雨 を研究しました！（深度2⇒3）

クイックレメディ を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

クリス(62) は たけのこ を入手！
ウィル(72) は たけのこ を入手！
ウィル(72) は 不思議な牙 を入手！
ウィル(72) は 皮 を入手！

ウィル(72) に移動を委ねました。

チナミ区 J-20（道路）に移動！（体調25⇒24）
カミセイ区 J-1（道路）に移動！（体調24⇒23）
カミセイ区 J-2（道路）に移動！（体調23⇒22）
カミセイ区 K-2（森林）に移動！（体調22⇒21）
カミセイ区 L-2（森林）に移動！（体調21⇒20）

採集はできませんでした。
　　 - クリス(62) の選択は チナミ区 H-16：チェックポイント《瓦礫の山》（ベースキャンプ外のため無効）
　　 - ウィル(72) の選択は チナミ区 H-16：チェックポイント《瓦礫の山》（ベースキャンプ外のため無効）

MISSION - 未発生：
　　 - クリス(62) の選択は チナミ区 O-16：梅楽園（ベースキャンプ外のため無効）
　　 - ウィル(72) の選択は チナミ区 O-16：梅楽園（ベースキャンプ外のため無効）

［707 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［297 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　





　




チャット画面にまたまたふたりの姿が映る。

　








　





　

ふたりの背後から突然現れる長身。





　




ダルそうな、面倒そうな、そんな様子の青年。

　





　




ふたりの反応を気にすることなく、




前髪を手でくしゃっとさせて、目のあたりを隠す。




　

そう言って、さっさと姿を消してしまう。

　

　

　






うーん、と悩むふたり。

　




白南海の姿が消える。

　





チャットが閉じられる――