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今田 「さてさて…。」 |
-2日目-
暮れなずみが近づいてきた。
そろそろ書き留めておくべき所を書留めておこう。
先ず、書店の入りはボチボチと言った所だった。
最初の御客さんはなんか…威風変わった女性さんで
いきなり『異世界英国パンジャン戦記』がトップバッターとは思いもよらなんだ。
アレは異世界に廻っている架空戦記物ともラノベとかSFとかともジャンルが
四方八方行ってる正直言って評価が天下三分の計以上の何かの売れ残り将軍…。
行きつく人間をパンジャン戦記が見つけたとも等しいなぁ、何言ってんだろう。
時代錯誤なようで悪い人ではない感じだったが何してる人だったんだろうなぁ…。
そして彼女の求める願いが如く今まで何の音沙汰の無かったパンジャン続編の告知。
やべえなあの人、運命力持ってるわ…。
二人目は妙な感じの高校生、高校生…?
俺より歳がありそうな子だったなぁ、和服が妙に似合ってる子だった。
最初は古本屋あるあるの立ち読み勢かと思いきや手に取った本を買っていく。
話しかけにも気楽に応じてくれたし、剽軽な感じにとっつき易かったなぁ。
後々に書く五百蔵さんの学校の…担任?同輩?まぁ知り合いでもあったようで。
話の様子からして誰かに贈るものだったんだろうか、その人が喜んでくれればいいが。
いや、マレモンは喜ぶかあれ…?
湖工房の事は結果的に本当にいい場所を教えてくれた。
此処に来る前より最初の、住んでいた場所をぼんやり思い出せた。
他愛のない田舎の、親友が一人いた、そんな頃だった。
三人目は美形な感じの高校生さん、遠路はるばる本を買いに来た子だった。
武術関連の御求めだったので、思わず力のはいった紹介をしてしまったが。
いやぁちょっと恥ずかしかったが、細見に違わず力のある子だった。
四人目は、その日来た中では一番ごく普通って感じの青年さんだ。
何やら気まぐれな感じの、丁度良さそうな本を求めてた様子。
買われていった小説がお目にかかってるものだと良いけれども。
此方の会話に卒なく答えてもらえた。タニモリから足を運んで来たらしく。
彼から教えてもらった年中咲き続ける桜並木道は、誠に美しいものだった。
また来てくれるだろうか、とそこはかとなく思いながら。
この日の客並はそんなところだった。ま、こんなもんか…。
ある時、隣町ツクナミまで歩いてコンビニに寄るつもりが
土地勘が全くない為に迷ってしまった際、古い住居を訪ね。
住んでいたのは細目で眼鏡の綺麗な青年さん。花を植えていた。
例の高校生さんの担任?の人だと思っているが、どうだろう。
気の良い人ではあったが、思い想いが何やらそこにあるのを感じる。
その心持はその人のみのものだ、言葉も置きつつ心の中で応援しようと思った。
近所の御礼参りとして、最寄りのあるBARに入る。
入ったら子供が寝ていたのでお店の人を待ってたら、さらに子供が一人。
偶にある親子連れのお客さんかと思いきや、まさかの常連。
歳四桁はこの街に初めての超常性を教えられた気がする、どうやらバーテンダーもだが。
二人とも気の合う感じで慣れた掛け合いが通常のBARとは異なる雰囲気を織り成していた。
カクテルもまた異なった、化合物質で作り上げる物でまた一味違う代物に刺激をもらった。
特に例の最後に頼んだものは……少し癖になりそうではある。
店への引き際、最後にみたあの少年は…。
強い円はあるものだと、改めて何度でも思い知る。
次に一番最寄りの和豪邸の場所。ご挨拶だけでもと。
出てきたのは白髪の目立つ女の子だった、今まで会ってきた中でもめっちゃ元気。
少しの挨拶で済ませようと思ったけれども御好意を受けもてなしを頂いた。
コタツめっちゃあったたかったなぁ…近隣の話を聞かせてもらったりと親切だった。
マシカの周辺を粗方回ろうと思ったのはこの人の影響だったと思い出す。
次回ご挨拶の際は、しっかりとお土産話を持ってお訪ねしよう。
にしても、右目の出来物…痛そうだったなぁ…。
次にお訪ねしたのは図書館。
この場所で初めて異能の普及を実感した場所でもある。
あらゆる書物を一人の異能で具現化し、少ない司書員で切り盛りしている模様。
蔵書量はうちの店をはるかに凌ぐ数量で、これを人一人で成してるのが圧巻だ。
特殊性も然ることながら、一人一人の司書員の方達の精鋭感が雰囲気で滲む。
その中でも司書長さんは個性豊かな司書さんを取りまとめる中心的な人物だと。
試しに本棚を調べてみれば、見た事のない蔵書がいくつもあった。
珍しい装丁の本を1冊拝借した。そこはかとなく、マヤさんは応援しとこう。
そしてその影響を受けて、自分もより異能を利用した改築をしようと踏み込む決心を、
何処か静かな所で考えを巡らそうと思い、歩いた先に見つけた協会が気になり、中へ
やはりというだろうか、教会の中の静寂さには神聖さが漂う雰囲気がした。
その中にいた少年少女らにもそんな風を感じ取りながら、改築の設計をしようとして、
不意に声を掛けられ今までで一番恥ずかしい驚き方をしてしまった。orz
声を掛けてくれた神父さんは中々に不思議な具合だった。
ある意味、神様の代行者としてはそれが正しいものだろうか、強い信念を感じる。
彼の偶に目開いて見える朱い目が印象的だった。
次来たとき、焼き菓子を御馳走してくれるそうなのでちょっと楽しみだ。
神話に置いて、神とは力を意味する。
神父さんと話の後、帰る途中、在る光が見えて誘われるように向かった。
この街に来て恐らく一番の絶景だったと、言えるかな。
満天の星が夜空に映り、このマシカの海が綺麗たる由縁だろう。
海そのものが地上に降りた天の川の様に、波の先まで輝いていた。
そして何よりもその海沿の波際で星と遊んでいた少女。
恐らくその光景が、この街で一番強く残っているものだろう。
誰よりもその時、輝いて見えていた気がする。
また別の時、マシカを歩いていて見えたとある喫茶店。
最初はいったときの寒さは今でも記憶にある。
中に入ってみれば涼しげな印象の店員さんだった。
今まで会った中でも素気ない感じが何というか…とてもクールだった。
紅茶を飲んでたときのあの簿記、なんだったんだろうな…。
また行こうとは思った。
色々な所を回った際、手ごろな移動手段が欲しいと…。
湖に……行ったとき……とても、実感したので、バイクが欲しいなぁとウシ区の店に。
店員が店長以外マッチョであの、店長の表情…いかんなぁ、いかんいかん。
まぁなんか気苦労は耐えなさそうだが、若いなりに仕事は確かだった。
最初は手頃な利便性の高いスクーターにしようと思ったが、店長さんの熱弁を聞いて
思わずそれよりも早いデルビを選ばせてもらった、些か店長さんに試される様子は
実のところ緊張が走ったが、なんとかOKを貰えて安堵した。
これからデルビには長らくお世話になるだろう……。
そして今回の日記において最も濃かったのは…、他でもない、あの人だな。
一生で一度のあの話をするのは、恐らく彼女で最後だろう。
リュウジン区でまだバイクを貰ってない頃、徒歩でそれとなく歩いていた際。
通り過ぎた店先のドール人形に目を奪われた、思わず。
だけれど確かな理由があって止まったのも間違いない、少し追憶したんだ。
その時不意に声を掛けてきたのが、その店の女性。
最初は…清楚な感じの店の人という雰囲気に違わない女性だった、
その時までは。
声を掛けられ流れるままに店へ入り、ドールショップを見回してた。
その見る目を見透かされたのだろうか、心持があることを指摘され驚く。
初めてそう言う事を言われたからだろうか、印象が強かった。
だからだろうか、その理由に基づく。ある一つの話を彼女にした。
話している内にその女性の清楚で御淑やかそうなのとは一転する喜怒哀楽が
予想外とギャップが激しく、話が異様に盛り上がったのを覚えている。
ゲームが好きだったり淡々としてたり、口調が最初と全然違ったりで、
此処まで親近感を覚える相手も早々ないだろうと今では思える。
何よりも、藝術展に誘われたのは個人的に大きな機転だった。
恐らく彼女の誘いが無ければ、参加もせず、コンサートの熱狂や
あの子と再会することもままならなかったろう。
故に、テレジアさんにはとてつもなく感謝するべきだろう、私は。
藝術展の感想はまた次回、本当に楽しかったのは間違いない。
長い長い時に残された、たった一つの主軸の記憶。
今の私が私である最たる物語、双子の姉妹の願いを叶える物語。
今回は此処までとしよう。
人気のレストラン、掘り出し物の和食料理、料理教室、タバコ屋、桜並木道、藝術展。
そして湖の釣竿職人、あたたかなで元気な少年のレストラン、ヒーローとヴィラン。
書くことが、一杯だな。
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マルドゥック 「いやいやぁ…。」 |
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マルドゥック 「因果ってのは、あるもんだなぁ…楽しくなってきたぜ。」 |