
明るく白い紙に、インクを重ねていく。
明日の天気はきっと冬の空らしい寒さに身を包むことになるだろう。
この私と明日の私のご機嫌は、とても良いものになるでしょう。
世界の事をよく知らない私ですが、歩いてそのあたりを観察し、内心他人をうらやんだりするかな。
それが私の中にはないものだからこそ、尊いと感じるときもある。
私は物語が好き。
その物語では、二人の女の子が世界の命運を握っている。
二人は全然違っていて、本当は出会わないほうが良かったのかもしれない。
世界は二人の間のけんかでもう、めちゃくちゃ。
ありとあらゆる秩序がグダグダで、使い物にならなくなる。
それで二人に怒った世界の人々が、世界を元に戻そうとする。
二人をのけ者にして、世界からいらないものとして消し去ろうとしてしまうのね。
私はそこで思った。
この世界の人々は、どうして二人のせいで世界がぐちゃぐちゃになったと思うのだろう、って。
世界は最初からぐちゃぐちゃだったのを、二人が暴いただけなんじゃないか、ってね。
けんかする二人は世界の人々の思惑に全然気づかないまま、それでもけんかを続ける。
その度に世界の秩序は消えていくから、世界の人々の数もだんだんと減っていく。
世界はこうなるように予め作られていたんだ。
私はそこまで思っていた。
どうせ二人の女の子とは何の関係もなかったはずの世界の人々が世界と二人とを無理やり関係づけたばっかりに、物語の中の世界の人々は大変な目に合う。
そうやって、世界を説明しようとすることは神話に等しい。
神話の中の神々と、当時の人々は自分たちの歴史や文化を対応付けして説明した。
そして、滅びの時が来るまではその神話の中の説明で満足したんだ。
私もきっと、この物語が好きなのは神話的だったからかもしれない。
どこか今生きている世界を説明付けしてくれているようで安らぐ。
本当の世界の事は私は知ることはないだろうけど。
それでも、自分がこうして明日の天気や、明日も世界が波乱に満ちていると信じられることに、日々の生活の中でこうして文字をしたためて安寧を得ることに、どうか私の日記の意義を見出させて欲しい、と切に願うのであった。
かおる