
●月×日
奇妙な連絡が脳内を流れた。曰く、アンジニティと呼ばれる世界から侵略者が訪れると。
事実かどうかの確証は無い。そもそも本当であれ、あの男の話通りならばイバラシティの住人とアンジニティを
区別する方法は無いのだから。
だから私は今まで通りの日常を過ごそうと思う。だが、もし侵略が始まった時、私はどうすべきだろうか?
私は自分の異能が好きではない。特に黒(ハラ)は、人を害することしかできない。白(ハリ)もまた、黒によるリソースが無ければまともに機能しない。
しかし、もしこの異能が街を……皆を守るために使えるなら
その時私は、ふさわしく戦えるだろうか?
●月△日
しばらくのうちにクラスメイトも随分増えた、見たことのない顔もいるが、皆こんな私にも明るく接してくれる良い人達だ。
彼らも例の連絡を聞いたのだろうか?表面上は何でもない風だが、「その時」が来た時のことを考えているのだろうか?
……彼らの中にも、アンジニティが紛れているのだろうか?
私はその考えを頭の隅に追いやった。やめよう、疑心暗鬼になればそれこそ思うつぼだ。
たとえこの先どうなろうと、彼らは、少なくとも今は大切な友人なのだから。
■月●日
J.Jが、巽が暴力事件を起こしたという話を語った。
幸い、現状は刑事事件にまで発展はしていないとのことだが、暴行の内容を捕えたビデオがSNSを中心に流出しており、一部から彼の悪名や風評被害が広まっているとのこと。
既に教師陣が動いている以上、今の私にできることは進展を待ち、普段通りに過ごすことだけだ。
私は彼が理由もなく、また悪意を持って人を殴るとは思えない。だが暴行を加えたという事が事実である以上、彼にはしかるべき処罰が与えられるべきか……。
私がもっと前に事件を知っていたら、何かできたのだろうか?
……やめよう、このような意味のない葛藤は。
■月△日
もうすぐクリスマスだ。クリスマスと言えばサンタクロースさんだろう。
私も子供の頃はよくプレゼントをもらった。枕元にお礼の手紙を置いていたら、翌朝プレゼントと一緒に返信が置いてあったこともあった。何故か父さんの筆跡に似ていたが、偶然だろう
一度直接お会いしてお礼を言いたかったが、サンタクロースさんも夜中に起きている子供には感心しないだろう。いつも12時には床につくようにしていたため、一度も顔を見たことは無い。
流石に高校生にもなればもう来はしないだろうが、いつか今までのお礼を言える日が来るといいが。