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　親愛なるワトソンへ

　思うところあって日記をつけることにした。
　そうしたのはいいんだが、どうにも筆が進みにくい。
　だからお前にも協力してほしい。
　いいだろ？　いいよな。
　日記と言うのはしっくりこないもんだな。
　そもそも俺は記録を付けるのが苦手だ。
　だから、手紙という形式に落とし込むことにする。
　誰かに向けたメッセージと思えば少なくとも伝えたいことは書けると思う。
　その手紙の宛先がたとえ自分のペットであったとしてもだ。
　ハローワトソン。調子はどうだ。ケージの中は退屈か。

　お前と会ったのは引っ越してきた当日の夜だったな。
　そもそもゴミ捨て場でイグアナを拾った時点で何かおかしいと考えて然るべきだった。
　警察署にお前を持って行っても訝しげな顔をされたし、待てど暮らせど飼い主は現れやしない。
　結局お前を飼うことになったのは数奇な運命と言っていいと思う。
　なにせ普通の街にイグアナは徘徊してないからな。

　そしてお前を拾ったあの日、俺は妙な世界で妙な男にあった。
　見てくれからして一般人らしくなかった。
　反社会的勢力、所謂ヤクザ者の装いと言動だったと思う。
　そいつが言うことにはこのイバラシティは侵略を受けているんだとか。
　俺達が負けると敵側である―――強く鉛筆で掻き消した痕―――
　悪い、名前は忘れた。とかくその相手側に街を交換させられるらしい。
　ただそれから何も起きていないので、きっと夢だったんだと思う。
　それにしてはやけに男の声が鮮明に耳に残っているが。
　まあ日記を書こうとしたのはそれがきっかけだ。
　頭の中によくわからない記憶が残っているというのは少し気持ち悪いからな。
　謎を解くのが探偵だというのなら、俺もまたそうするべきだ。
　それじゃあまた、気が向いたらお前に手紙を書こう。

2019/12/20　菱形世論より　　　

PS.飯食う時にペットフード盛大に散らかすアレ、なんとかならないか？　　　

手紙はそのまま封筒に入れて、机の引き出しにしまっておいた。
ポストに出しても宛先が空欄ではきっと自分の家に戻ってきてしまうだろうから。

いつものとおり寝転がって。
いつものとおり電気を消して。
いつものとおり目を閉じて。

それから。












瞬きのあとに見た世界は異質だった。












やわらかなベッドではなく硬い地面から身体を起こす。
荒廃した街並みにどことなく見覚えがあるのは何故なのだろう。
そして唐突に思い出す、あの夜のこと。シロナミと名乗ったあの男。ハザマ。ロスト。
侵略者、相手の名はアンジニティ。
ああ、名前を思い出すことができた。現実世界に戻っても覚えていられるだろうか。
きっと覚えてはいられないのだろう。今ここで感じていることも、考えていることも。
ハザマでの記憶は一切維持･反映されない。そう言っていたから。
アンジニティ、アンジニティ、繰り返しながら菱形世論はハザマを歩む。
正直なところ何も分かっていない。
ただ、あちこちから感じ取れる不穏な空気に、ひたすらに嫌な予感がしていた。
こういう時の予感と言うのは当たってほしくないのによく当たるものだ。
探偵の勘を恨みつつ、菱形世論はたまたま持っていた小さなメモに手紙を書く。
覚えていられない。忘れることしか出来ない。それでも託そう。

差出人は自分、宛先は――世界の謎を解く未来へ。

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　菱形世論へ

　忘れるな。今日を絶対に忘れるな。
　お前がこの謎を解き明かせ。

XXXX/XX/XX　菱形世論より　　　

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2019年12月某日――探索開始。幸運を祈る。

▲	シュリ 「担任の三久間です。菱形くん、無事ですか？ 安全を優先した行動を心掛けてください。 可能なら連絡をお願いします」

▲	安嗣 「世論――、気を付――……裏切り者――お前の近――に――魔……女――」

	安嗣 「――――」

ホットペッパー団 ENo.1258 セロン

ハザマに生きるもの ナレハテ

たくさんの声が聞こえてきます！

ホットペッパー団 ENo.1234 末吉 ENo.1245 メルクーリオ ENo.1258 セロン ENo.1275 あざやん

ハザマに生きるもの ヤンキー ヤンキー 歩行石壁 ヤンキー

221

321

ホットペッパー団 ENo.1234 末吉 ENo.1245 メルクーリオ ENo.1258 セロン ENo.1275 あざやん

TeamNo.398 ENo.398 トキワ ENo.435 ラヴィアルテ ENo.1350 れこ ENo.1371 リコ

255

542