ハザマの刻。 ハヤミは一人だ。 けれどもイバラシティでの記憶は貴方と共にある。 泡沫の絵画の残像が 貴方の心、記憶、頭の中に。 |
ハヤミ 「ハア、お嬢さんはなんだって練習試合なんかやってんだ? 制服見た感じ、まだ中学生だろ。まったくやりづらいったらないねえ……。」 |
ハヤミ 「で、隣に浮いてるそちらさん、とてもじゃねえけど人間には見えねえな。 まあ、何でも構わないけどよ。そんじゃあ、お手合わせよろしくな……。」 |
ヤツメ 「練習戦だっけ?よろしく頼むぜ!」 |
アカリ 「あれ、ひとりなの? なんか悪いわね」 |
《攻撃》――色褪せた現実と紙上の暴力 |
《器用》――妄想を継ぎ接ぎ、ありもしないものをかたちどった |
《活力》――美は再び 立ち上がるちからを齎す |
《幸運》――知らしめよう 描き出せ 己はまだここにいる |
《幸運》――色彩との出会いという至上の幸運 |
《体力》――生命の息継ぎ、肉体に残された力を見付け出した |
《活力》――美は再び 立ち上がるちからを齎す |
《回復》――知らしめよう 描き出せ 己はまだ生きている |
ヤツメ 「一つ、こんな噂があるんだってさ……」 |
白い小鳥がその肩から飛び立った。 上空から今ここにいる者たちの姿を捉え、己のデータベースに記録する。 |
イバラシティでの記憶にほだされて、否定された罪人たちは滑稽に踊る。 すべてが終わったあと、このワールドスワップの記憶が残るかどうかは分からない。 記録する。もしかしたら、なにかが残るかもしれないと期待する。 記録する。それと同時に、何ひとつも残らないことを期待した。 |
戦いながら作品と呼べるものを描くなど、そのような芸当を一体誰ができるものか。 少なくとも、ここにいる絵描きにそれはできない。 何か描けるとすれば、線を描いただけの白いらくがきぐらいだ。 この場、描くならば速写しか許されない。 ざらりとえがいたクロッキーをちぎり取る。 |
――――“絵さえ用意できれば”、自らの異能を行使することぐらいは造作もない。 |
まぼろしたちがざわめいた。 |
ハヤミ 「そっちの坊主は幽体化する異能持ちか何か? いくらハザマとはいえさあ、四六時中そうやってんの、疲れないのかね。」 |
ハヤミ 「そんじゃ、手加減なしで構わない? ま、こっちがバテるほうが早いかもしれねえけどなあ。」 |
線をえがいた。 |
ヤツメ 「◼️つめの不思議--『成敗金タライ』!」 |
『遊ぼう、つまり絵を描こう』 |
ヤツメ 「聞く耳無し、ってか!」 |
『許して』 |
異形の絵。 |
『沢山かけて、すごく幸せ』 |
『思い出したくない』 |
生命の万感 |
咄嗟に黒塗りのキャンバスで防壁を打ち立てる。 |
ヤツメ 「◼️つめの不思議--『成敗金タライ』!」 |
描き足されていく。 |
今頃、アガタは何をしているだろうか。こっちが必死こいて頑張ってるのに、 のんきに寝てたり遊んでたりしたらちょっとむかつくな……と思った。 |
そこにあった仮初めが、はらりと溶けるように消えた。 |
ヤツメ 「聞く耳無し、ってか!」 |
『 』 |
《祝福》ハヤミはコヌマキャンプ場での アガタの姿を思い出した。 |
キャンバスの上に、淡い色彩を落とす。一輪、素朴な花の姿を描いた。 |
『なかったことにしたい』 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
ヤツメ 「◼️つめの不思議--『成敗金タライ』!」 |
ヤツメ 「◼️つめの不思議--『成敗金タライ』!」 |
イマジナリ・フレンズは勝手に落ちてたカードを拾っていた。 |
光のおえかきのカード発動! |
敷き詰められた模様。 |
よくある感じの絵。 |
『絵を描くのってたのしいばかりだねえ』 |
『沢山かけて、すごく幸せ』 |
まぼろしは消える前に言葉を投げ掛けた。 |
『思い出したくない!』 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
ヤツメ 「◼️つめの不思議--『成敗金タライ』!」 |
ささやき。 |
『絵を描くのってたのしいばかりだねえ』 |
ヤツメ 「◼️つめの不思議--『成敗金タライ』!」 |
『忘れさせてよ』 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
『遊ぼう、つまり絵を描こう』 |
ヤツメ 「恐怖が蔓延していく・・・ってな」 |
ヤツメのカード発動! |
ざわめき。 |
ハヤミのカード発動! |
――邪気が満ちる。 ――時間が『停滞(と)』まる。 ――――怠惰の悪魔が、目を覚ます。 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
《祝福》ハヤミはコヌマキャンプ場での アガタの姿を思い出した。 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
イマジナリ・フレンズは勝手に落ちてたカードを拾っていた。 |
光のおえかきのカード発動! |
『沢山かけて、すごく幸せ』 |
『消えてよ』 |
『絵を描くのってたのしいばかりだねえ』 |
『やめて』 |
《祝福》ハヤミはかんろ通りを先導する アガタの後姿を思い出した。 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
意味を持たない絵。 |
《祝福》ハヤミはイバラシティの駅で見た アガタの展覧会の広告を思い出した。 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
『許して』 |
よくある感じの絵。 |
『描いていれば、いずれは絵を描くことが好きになってくる』 |
そこにあった仮初めが、はらりと溶けるように消えた。 |
『遊ぼう、つまり絵を描こう』 |
ヤツメ 「聞く耳無し、ってか!」 |
らくがきに命が吹き込まれる。 |
《祝福》ハヤミは喫茶店・沙羅で描かれていた アガタの絵を思い出した。 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
『もう必要ないのに』 |
《祝福》ハヤミはアガタの画集を思い出した。 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
『もう必要ないのに』 |
『絵を描く人は絵を描くのがだいすきだ』 |
――――予定調和。 |
辺り一帯が黒く塗りつぶされる。 機は熟した。時は満ちた。あとはもう、始めるだけだ。 |
《祝福》ハヤミはかんろ通りを先導する アガタの後姿を思い出した。 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
『遊ぼう、つまり絵を描こう』 |
ヤツメ 「聞く耳無し、ってか!」 |
ハヤミ 「それじゃあ始めようか。 今回のたった一時間が、終わる前にな。」 |
トントンと靴底で地を叩く。一面の黒が沸き立つように波打った。 ここにくるまで描きためられた、無数に折り重なった異形が黒から噴き出す。 ざわめき。ざわめき。ざわめき。まぼろしが鳴き喚く。 空気をぐちゃぐちゃにかき混ぜるようなそのノイズが蠢いた。 |
さてはて、上手くいくものか。 これはただの実験。これはただの予行演習。これはただの好奇心。 思った通りに上手くいったら面白いだろうなという期待感と、 |
ほんの少しの暴力性。 |
《祝福》ハヤミはアガタの画集を思い出した。 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
ヤツメ 「これ、浄化の光的なアレじゃないよな?」 |
『忘れさせて』 |
《祝福》ハヤミはコヌマキャンプ場での アガタの姿を思い出した。 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
砕け散った架空が地に落ちて消えた。 |
ヤツメ 「聞く耳無し、ってか!」 |
『助けて』 |
『絵を描くのってたのしいばかりだねえ』 |
咄嗟に黒塗りのキャンバスで防壁を打ち立てる。 |
ヤツメ 「聞く耳無し、ってか!」 |
『聞きたくない』 |
《祝福》ハヤミはイバラシティの駅で見た アガタの展覧会の広告を思い出した。 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
《祝福》ハヤミは喫茶店・沙羅で描かれていた アガタの絵を思い出した。 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
ヤツメ 「恐怖が蔓延していく・・・ってな」 |
ヤツメのカード発動! |
『消えてよ』 |
『苦しい』 |
目標を見失った魚たちが虚空を泳いでいく。 |
ハヤミのカード発動! |
――邪気が満ちる。 ――時間が『停滞(と)』まる。 ――――怠惰の悪魔が、目を覚ます。 |
『絵を描く人は絵を描くのがだいすきだ』 |
『消えてよ』 |
《祝福》ハヤミはコヌマキャンプ場での アガタの姿を思い出した。 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
イマジナリ・フレンズは勝手に落ちてたカードを拾っていた。 |
光のおえかきのカード発動! |
『どうして』 |
『描いていれば、いずれは絵を描くことが好きになってくる』 |
『助けて』 |
「もっとちゃんと狙いなよ」と小鳥が耳元で小言を囁いた。 |
《祝福》ハヤミはばらの湯で描かれていた アガタの絵を思い出した。 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
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ハヤミ 「……この辺で終わりにすっか。こっちも試したいことは試したし。 なんにせよ、お手合わせどうも。今後とも無事でやってくれよな、少年少女。」 |
アカリ 「へー、結構頑張れるのね私。付き合ってくれてありがと」 |