［基本］OK.　［戦闘］OK.　［スキル］OK.　

───────人のものを盗るのはいけないこと。
───────イバラシティはもっと眩しくて面倒くさいぜ。

「…うるさい」

考えたくなくても、頭が自然と反芻してしまう。
そうして湧き上がってくる言葉を、片っ端から否定した。

「うるさい、うるさい、うるさい…っ！！！」

叫んだ途端、足元を何かが這う感触がして、リズは息を止めた。
暗がりの中、怪物が足元に縋っていた。
気遣っているのではない。ただ獲物を探しているのだ。
人間がこういう悲鳴をあげるとき、たいていはより大きくて脂の乗った獣も近くにいるからだ。

息を殺していると、胸の内に焦燥が広がってくる。


───────人のものを。

違う。リズは首を振る。奪うのではない。取り返すのだ。
我々が先に奪われたのだ。

薄暗い記憶が脳裏を駆け、心の奥、怒りが爪を立てる。
無遠慮に闇を塗りつぶしながら燃え上がる篝火、そこかしこにばら撒かれる聖別の水。
誰のものでもなかった場所を、まるでずっと自分たちのものであったみたいにして。
そこにいたものを追い出して、好き勝手に耕して。
その、締め出された外側で生きてきた。それでも足りずに、世界からさえ追い出されてきた。
それがわたしだ───────わたしたちだ。
あの街だってそうしてできたに違いない。だからこれは侵略ではない。奪還だ。
あの街の下敷きに、住民どもの餌食になったものたちのために取り返すのだ。


───────もっと眩しくて。

違う。違う！違う！！！
あの街にいれば、───────少なくとも、飢え凍えて死ぬことはない！

瞬間、街で見た光景がフラッシュバックする。
いや、「街で見た」は正確ではない。あそこで生きる「彼女」の世界は、ほとんど檻の中がすべてだからだ。
不純物が混ざって記憶が混濁する。自分の意識の間に、自分じゃない自分が忍び込んでくる。
大きな檻。散らかった部屋。薄いカーテンを超えてくる西日。扉の開く音と、思い出したように流れ込んでくる外気。
自分よりも遥かに大きいものたちが、自分を覗き込んでいる。

───────誰だ。

記憶をよぎるいくつもの目。それぞれ違う誰か。
「彼女」は目が弱い。覗き込んでくるものたちがはっきり見えない。
それでも、彼らが自分より遥かに大きいことと、その視線が自分に注がれていることはわかった。
その視線にあるのが、たぶん、好奇と好意なこともわかった。
敵意がなかった。誰も。彼も。

「…っ、」

抱きしめた自分の身体は、たしかに人の形をしている。
五本の指も、白い髪も、昔からそこにあったものがそのままにある。
これが本当だ。こうして思い出して初めてわかる。檻が大きいのではない、自分が小さいのだ。
そうして、消えていく違和感に悪寒がした。「思い出す」？誰の記憶を？

「彼女」が、自分の中で存在感を持ち始めている。
「彼女」は自分とは違う。「彼女」は無邪気だ。
「彼女」は切羽詰まった空腹を知らない。死を覚悟する凍えを知らない。十分な食べ物と、清潔な水とがいつもそこにある。
「彼女」が何をするわけでなくても、「彼女」を生かすために支度をする誰かがいつもそこにいる。
生まれてこの方得たことのない、そんな誰かが、そこに。

そうだ───────全身に鳥肌が立った。誰か。
よく見知った、見覚えのない男。乱暴な声。そのわりに繊細な手つき。火傷と切り傷の耐えない手。汗の匂い。毛を梳いていく太い指先。
あれが連れてくるほかの誰か。誰か。誰か誰か誰か。

誰だ、───────誰だ。

あの街にいたということは、ハザマにもいるということだ。しかし同じ姿をしているとは限らない。それこそ自分のように。
どのみち、目が弱い「彼女」は顔をよく覚えていない。同じ顔で現れたところでそれと解る保証はない。
あれらもいる。みんないる。このハザマのどこかに。
あるいは、これまで衝突してきた誰かの中に。
敵の中に。味方の中に。

誰だ、誰だ、───────誰だ。

ちらと足元の怪物を見た。
獲物がいないのを悟ったのか、大人しく地表に伏せている。つまらなそうだ、と思った。
思っただけだ。つまらないと感じる情緒があるのかどうかさえ定かではない。
怪物は、どこまでいっても、彼女と感情を共有したりはしなかった。

吐き出せない感情が中で腐る。街に飲まされた偽の記憶は、吐き気がするほど甘ったるい。
胃から嫌悪がせりあがる。汗で体が冷えていく。
静まり返るハザマの暗がりの中、心臓ばかりやけにうるさかった。

自分を取り戻そうとするほど、「彼女」の感覚が強くなった。
自分の腕を抱きしめるほど、これが自分の手でしかないことを思い出した。
ぐしゃぐしゃに髪を掻き毟るほど、梳かれたことがないのを思い出した。
腹を抱えるほど、そこにある空腹を思い出した。
ここで前へ進むほど、誰かの敵意を浴びるのを思い出した。

正しく自分の記憶であるものが、「彼女」に敵わないのを、思い出した。
わたしが「彼女」に食い潰される。
───────あんなちっぽけなけだものに。

最初の記憶を思い出した。
身体を押さえつけ水を浴びせる無数の手は、わたしの記憶だった。
木から落っこちた身体を拾い上げる大きな手は、「彼女」の記憶だった。

いっそ、食い潰されるとしても。
あの誰かたちを食い潰すとしても。


「…行くぞ」

足元の怪物を蹴飛ばす。嘔吐いている時間はない。
なんとしても。なんとしても奪い返さなければならない。


餌に慣れたけものは、森へ帰れない。

ItemNo.7 たまごサンド を美味しくいただきました！
　体調が 1 回復！（14⇒15）
　今回の全戦闘において 治癒10 活力10 鎮痛10 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

藤井(998) は ド根性雑草 を入手！
ナヴァル(1173) は ネジ を入手！
藤井(998) は ボロ布 を入手！
ナヴァル(1173) は 毛 を入手！

▼エイド化候補（基本行動にてエイド化可能）
藤井(998) のもとに 歩行軍手 が泣きながら近づいてきます。

命術LV を 3 UP！（LV9⇒12、-3CP）
防具LV を 3 UP！（LV29⇒32、-3CP）

すてら(130) とカードを交換しました！

スプリング・ステップ （クレイジーチューン）


エリアグラスプ を研究しました！（深度0⇒1）
エリアグラスプ を研究しました！（深度1⇒2）
エリアグラスプ を研究しました！（深度2⇒3）

水特性回復 を習得！
アイシクルランス を習得！

チナミ区 Q-3（沼地）に移動！（体調15⇒14）
チナミ区 Q-4（沼地）に移動！（体調14⇒13）
チナミ区 R-4（沼地）に移動！（体調13⇒12）
チナミ区 S-4（沼地）に移動！（体調12⇒11）
チナミ区 T-4（沼地）に移動！（体調11⇒10）

採集はできませんでした。
　　 - 藤井(998) の選択は チナミ区 P-3：瓦礫の山（未開放のため無効）
　　 - ナヴァル(1173) の選択は チナミ区 P-3：瓦礫の山（未開放のため無効）

MISSION!!
チナミ区 P-3：瓦礫の山 が発生！
　　 - 藤井(998) が経由した チナミ区 P-3：瓦礫の山
　　 - ナヴァル(1173) が経由した チナミ区 P-3：瓦礫の山

―― ハザマ時間が紡がれる。









時計台の前でタバコをふかす、ドライバーさん。






時計台をぼーっと見上げる。






自分の腕時計を確認する。






･･･とても嫌そうな表情になる。