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なんだってこんな事になっているんだろう。
「ハザマ、……ハザマていうてたけども
ここってどこなんやろ……」
慣れない操作で友人にチャット?を送って、
わしわしと指で後ろ頭を掻き撫でた。
「アンジ二ティとか言うんとは違う場所なんやろか……」
そのものではないのかもしれない。
とすると、それじゃあどこなんだ此処は。という気持ちにもなるのだが。
「はあ。返事はよ帰ってきてくれ」
なんだか、あまり嬉しくない情報をあれこれと聞いた気もする。
これで知り合いから連絡が戻らなかった場合、
もしかして、自分が持っているような記憶だって
作られたものだったりするのだろうか。
(いやまあ、たぶん、おれが思い出せるてことは、
そうおかしなことにはなってへんと思うんやけども)
そのはずだ。多分。
ただ、信じている思い出が本当にはなかったなんて、
それはなんだか、ほろ苦い気分だ。
(まあでも……自分の記憶に嘘があるとして。
それが嫌だと思えるて、幸せもんてことやなあ……)
いい思い出だから、真実であってほしい気がするんだろう。
「あちらさんの人たち、
どないな気持ちになるもんなんやろな……」
本当の自分、とやらに戻ったときに、どう感じるのだろう。
それは結局どれだけ考えてみても、手が届かないことではあるのだろうけれど。
「……わからんなあ……。
あちらさんにとって、こっちが住みやすいてことならいっそ、
ずっーと、このままじゃあかんのやろか」
痛いのも、誰かが傷つけられるようなことも、
苦しむようなこともどれもこれも遠慮はしたい。
友人の安否は気になるし、良くないことは起こってほしくない。
「……引き分け、てなことにならんかなあ」
上を見上げると、『login』と赤文字が見える。
他の人たちの状況はわからない。
考えてみても、何か進むわけではない。
ただ、わからないまま、わからないなりにあちら側の人たちは、
こちら側で今、それなりに暮らせているのだろうかと。
そんなことがほんの少しばかり思考の隅にひっかかった。
何も変わらず"このまま"だなんてことを望むのは、
或いは、平和に生きれている人間の傲慢さなのかもしれないのだけれども。